東京為替見通し=ドル円、米中首脳会談や日米財務相会談を控えて伸び悩む展開か

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米4月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、148.27円付近から147.38円まで値を下げた。ユーロドルは4月CPIを受けて1.1195ドルまで上昇した。ユーロ円は米国株相場が底堅く推移したことで165.21円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、週末に予定されている米中首脳会談や来週の日米財務相会談への警戒感から伸び悩む展開が予想される。

 ドル円は、12日に米中貿易協定を受けて148.65円まで上昇して一目均衡表・雲の中へ入ったものの、現状は、今週末に予定されている米中首脳会談や来週の日米財務相会談での為替協議への警戒感から、雲の下限147.61円付近で伸び悩む展開となっている。

 米4月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%だったものの、トランプ関税の不確実性は払拭されず、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は9月と12月の2回となっている。

 明日発表される米4月卸売物価指数(PPI)では、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの手掛かりを確認できるため、30日発表の4月PCEデフレーターに向けて、4月の米国の物価動向を見極めて行くことになる。

 8時50分に発表される4月企業物価指数は前年比+4.0%と予想されており、5カ月連続での4.0%台が見込まれている。また、輸入物価指数は2月、3月と2カ月連続で前年比マイナスに落ち込んでおり、ドル円相場が昨年同期比で円高気味に推移していることが下押し要因となっている。

 昨日公表された日銀金融政策決定会合(4/30-5/1)の「主な意見」の冒頭には、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる。こうした見通しが実現していくかは、不確実性がきわめて高いことを踏まえ、予断を持たずに判断していくことが重要である」との意見が示された。

 今後は6月16-17日の日銀金融政策決定会合に向けて、英米貿易協定や米中貿易協定の合意を受けて、「不確実性」がどの程度減退しているのかを見極めていくことになる。

 また、加藤財務相は、来週20-22日にカナダで開催予定のG-7財務相・中央銀行総裁会議で、日米財務相会談をセッティングして、ベッセント米財務長官と為替協議を行う、と述べている。米国と英国、及び中国との通商協議では為替協議への言及がなかったため、注目しておきたい。
 ベッセント米財務長官のドル円相場に関する発言は以下の通りとなっている。
 4月9日「最近の円高ドル安傾向について懸念していない」
 4月26日「加藤財務相との会談は建設的であり、為替協議も継続していきたい」

 米中貿易協定の締結を受けて、トランプ米大統領は、今週末に習中国国家主席との会談の可能性を示唆している。トランプ米大統領は「ジュネーブで生産的な交渉が行われ、中国との関係は完全にリセットされた。今週末に習主席と話をすることになるかもしれない」と述べた。習・中国国家主席は、「関税戦争や貿易戦争に勝者はいない。いじめや覇権主義は孤立を招くだけだ」と述べている。



(山下)
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