東京為替見通し=中東情勢に注意を払いつつ、日米金融当局者の発言に注目

 24日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、イスラエルとイランの停戦合意の報を受けて、「有事のドル買い」の解消が進行する中、6月米消費者信頼感指数が予想を下回った事もあり軟調推移。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「インフレが低下し労働市場が軟化した場合、利下げ前倒しの可能性も」などと発言すると、144.51円と日通し安値を更新した。ユーロドルは低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに全般ドル売りが優勢になり一時1.1641ドルと2021年10月以来の高値を更新した。

 本日の東京時間では、ドル円は引き続き中東情勢の行方に注意を払いながら、日米金融当局者の発言のほか、株価や時間外の米長期金利の動向を確認することになるか。

 昨日はトランプ米大統領が「イスラエルとイランの間で、完全かつ全面的な停戦が合意された」などと発言すると、中東情勢に対する過度な懸念が後退。これまで「有事のドル買い」で買われたドル円は売り戻しが優勢となった。その後イスラエルとイランの停戦が日本時間13時から発効したことも、ドルの売り戻しを後押しした。前週末から7月利下げに言及するFRB高官の発言が相次いだほか、パウエルFRB議長からも利下げ前倒しの可能性について言及したことで、本日の東京市場でもドルが売られやすい地合いを引き継いで推移することが予想される。

 ただ、市場のリスク回避ムードの緩和は株高要因であり、昨日はダウ平均が終値で約3カ月半ぶり高値となるなど米株は主要3指数がそろって上昇している。この流れを引き継いでアジア株が上昇するようならば、リスク・オンの流れの中でクロス円に連れてドル円も値を上げる展開もあり得る。そのほか、中東情勢が再び緊迫化する場合は「有事のドル買い」再開に備えておきたいところ。

 国内では、日銀金融政策決定会合における主な意見(6/16-17開催)が公表される。今回は長期国債の買い入れペースの縮小が決定されたが、どのような議論がなされたか気になるところ。

 また、田村日銀審議委員の発言機会が予定されている。同委員は16-17日に開催された日銀金融政策決定会合にてただ一人、長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきであるとして、2027年1-3月まで月間の買入れ予定額を原則として毎四半期4000億円程度ずつ減額する議案を提出(反対多数で否決)した。政策委員会の中でタカ派とされる同氏が今後の金融政策について言及があれば確認しておきたい。

 他方、豪州では5月消費者物価指数(CPI)が発表予定。市場予想は前年比+2.3%と前月+2.4%よりわずかな伸びの鈍化が見込まれている。7月に豪準備銀行(RBA)理事会を控える中、予想よりも弱い結果となれば豪ドル相場の重しとなる事も考えられる。

 そのほか、豪CPIの少し前にはタカ派とされるシュミッド米カンザスシティー連銀総裁の講演も予定されている。先週末から7月利下げについての言及が相次ぐ一方、昨日同じくタカ派とされるハマック米クリーブランド連銀総裁は「政策金利は当面の間、据え置かれる可能性」との見方を示すなど、FRB内でも次の一手についての見方が分かれている様子。どのような見通しを示すか確認しておきたい。


(川畑)
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