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東京為替見通し=和平交渉に揺れる相場は変わらず、月末・実質ゴトー日で神経質か

 昨日の海外市場でドル円は、米ニュースサイトのアクシオスが「米国とイランは停戦を延長するとともに、イランの核開発計画を巡る交渉を開始するための60日間の覚書で合意に達した。トランプ米大統領の最終承認が必要」と報じると、WTI原油先物価格が一時1バレル=87.11ドル前後まで急落。為替市場では全般ドル売りが優勢となった。前日の安値159.18円を下抜けると一時159.12円まで下げ幅を広げた。ユーロドルも一時1.1661ドルまで上昇した。

 本日の東京市場でも、ドル円は引き続き米国とイランをめぐる中東情勢関連の報道に左右される展開となりそうだ。また、本日は月末の実質5・10日(ゴトー日)扱いとなることで、特殊玉が出やすく、ニュース材料が乏しい場合でも市場が動意づく可能性があるだろう。加えて、円安が急速に進行した場合には、政府・日銀による円買い介入への警戒も引き続き必要となりそうだ。

 経済指標では、本邦から複数の発表が予定されているが、全国消費者物価指数(CPI)の前哨戦とされる5月東京都区部CPIに市場の注目が集まっている。

 米国とイランの和平交渉を巡っては、楽観論と悲観論が入り交じるなか、原油相場も激しく上下を繰り返している。27日には、ホルムズ海峡の扱いを巡って米国とイラン双方から真っ向から矛盾する公式見解が示された。その影響もあってか、28日には米国がバンダルアッバスの地上管制施設を攻撃。一方、イラン側もクウェート方面へミサイルやドローンによる攻撃を実施した。

 ただ、同日にはイラン側から和平交渉の草案に合意したとの発表もあり、再び楽観論が優勢となっている。しかし、それにもかかわらず双方が停戦協定違反を非難し合う状況は変わっておらず、依然として流動的な情勢と言える。本日も関連報道次第では市場が大きく動意づく展開となりそうだ。

 米国側が和平交渉を急ぐ背景には複数の理由がある。1つ目は、中間選挙を控えるなかでトランプ政権の支持率が急速に低下していることだ。これまで複数の州で予備選が行われ、多くはトランプ大統領が支持した候補が勝利を収めている。ただ、これは必ずしも本選での優位を意味するものではなく、むしろ中間選挙では民主党優勢につながるとの見方も出ている。

 2年前の大統領選挙でトランプ大統領に投票した無党派層の多くが、今回はトランプ氏の支持候補には投票しないとの調査結果もあり、トランプ政権としては原油高騰によるインフレ圧力を早急に抑制し、支持率回復につなげる必要がある。

 2つ目は、ようやく今週に入り、米国内のガソリン平均価格が「異常値」ともされる1ガロン4.5ドルを下回ったものの、夏場の需要期を迎えるなかで米国内の原油需要が一段と高まっていることだ。昨日、コストコホールセールは「記録的な」ガソリン販売量に達したと発表。また、エクソンモービル幹部も、中東紛争の影響で今後数週間以内に原油在庫が「極めて低い水準」まで減少する可能性があると指摘している。

 和平交渉の進展がこれまで以上に明確にならなければ、トランプ政権はさらに苦境に立たされることになるだろう。

 中東情勢に振らされる展開が続く為替市場だが、足もとでは原油先物価格が下落する局面でもドル買いの巻き戻しは鈍い。昨日のドル円も、高値から50銭程度下落したにとどまり、159円を割り込む場面すら見られなかった。

 イラン攻撃前から、高市政権の財政拡大路線に対する市場の警戒感や、政策面での圧力からFRBよりも日銀の利上げペースの方が緩やかになるとの見方が根強く、ファンダメンタルズ面では依然としてドル買い・円売り圧力が強い状況が続いている。

 ただ、政府・日銀による円買い介入への警戒感を緩めることはできないだろう。これまでの為替介入でも、これほど短期間で介入効果が薄れたケースは稀であり、円安がさらに進行する局面では再介入の可能性も十分に意識されそうだ。

 本邦の経済指標では、本日発表される東京都区部の5月消費者物価指数(CPI)に注目したい。市場では生鮮食品を除くコア指数への関心が高く、前年比は前回と横ばいの+1.5%と予想されている。6月の日銀金融政策決定会合を控えるなか、国内インフレ動向を見極めるうえで重要な指標となるだけに、結果が市場予想から大きくかい離した場合には、相場が想定以上に動意づく可能性もあるだろう。

 また、本日は月末で実質5・10日(ゴトー日)扱いとなることで、通常以上に多様な需給フローが市場に出てくる可能性が高い。東京仲値にかけた実需のフローや、欧州時間のロンドンフィキシングに絡んだ特殊玉で、急な相場変動には注意しておきたい。

(松井)
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