東京為替見通し=ドル円、実質ゴトー日に絡んだ実需フローに振らされる展開か

 昨日の海外市場でドル円は欧州前半の137円前半からNY序盤には136円前半まで下落。もっともその後は方向感なく136円台で上下した。ユーロドルは1.05ドル割れで下げ渋り、1.0560ドル台まで強含み。米株高を背景にユーロ円が144.36円まで上値を伸ばした。

 本日の東京市場でドル円は週末を控えた実質ゴトー日(5・10日)に絡んだ本邦実需フローに振り回されそうだ。ゴトー日仲値はドル需要が通常より多めの場合が確かに多いものの、必ずしもそうではない場合もあり、思い込みだけは注意したい。

 本日のニューヨーク序盤(日本時間22時30分)には、鈍化が予想される11月米卸売物価指数(PPI)の発表が予定されている。来週も低下見込みの11月米消費者物価指数(CPI)や上げ幅鈍化の織り込み優勢の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているため、実需以外でドルを買い上げる動きは強まらないかもしれない。

 なお前回10月分のPPI(11月15日発表)は市場予想より下振れし、ドル円は139円前半から137円後半まで急落したものの、結局それがセリング・クライマックス(Selling Climax)となった。その後の安値を下回るには2週間ほど要している。

 アジア時間の重要指標は日本時間10時30分に発表される中国の11月インフレ指標。消費者物価指数(CPI)は前年比+1.6%と前回から0.5%の減速が予想されている。見込み通りであれば、3月以来の低水準。また、CPIの先行指標とされる生産者物価指数(PPI)は前年比-1.5%と、前回記録した2020年12月以来のマイナス幅から更に低い数値が予想されている。

 7日に発表された11月中国貿易収支でも黒字幅が前回から縮小していただけでなく、輸出入ともに予想以上の落ち込みとなった。同国成長の鈍化が鮮明となるなか、本日のインフレ結果次第では当局による景気支援策の強化期待が高まることになりそうだ。オフショア人民元だけでなく、経済では依然として中国と関係が深い豪州の通貨・豪ドルの動きにも目を向けておきたい。

 他の波乱要因としては、5日続落して年初来安値を更新しているWTI原油先物相場の動向か。時間外ではポジション調整が中心になりがちだが、約1年ぶりの70ドル割れが視野に入っており、仕掛け的な売りには注意したい。産油国通貨でもあるカナダドル(CAD)が神経質な動きとなりそうだ。資源国通貨のクロス円にドル円が引きずられる局面もあるか。

(小針)
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