ニューヨーク外国為替市場概況・20日 ユーロドル、3日ぶり反発

 20日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.0922ドルと前営業日NY終値(1.0866ドル)と比べて0.0056ドル程度のユーロ高水準だった。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「今後数カ月のうちに利下げ開始に向けた確信の度合いを高められるような証拠を得られるだろう」との認識を示すと、ECBの利下げ開始時期が近づいているとの見方から、欧州市場では一時1.0836ドルまで値を下げた。
 ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢に。米連邦準備理事会(FRB)は今日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を市場予想通り据え置き、政策金利見通し(ドット・チャート)では年内3回としていた利下げ予想を維持した。市場では年内の利下げ予想が2回に減ると警戒する向きもあっただけに、FOMC後はドル売りが優勢となった。5時前には一時1.0923ドルと日通し高値を更新した。
 なお、パウエルFRB議長はFOMC後の会見で「インフレは大幅に緩和したが継続的な進展は保証されていない」「インフレ率は依然として高すぎる。今後の道筋も不透明」などと発言。利下げ回数を減らさなかった理由については「インフレ率が2%に向かって徐々に低下し、時には険しい道もあるという全体的なストーリーは変わっていないと思う」と話した。

 ドル円は7日続伸。終値は151.26円と前営業日NY終値(150.86円)と比べて40銭程度のドル高水準だった。日銀が緩和的な金融環境を維持するとの見方を背景に、この日も円売りが継続。FOMC結果公表を前に思惑的なドル買いも入り、22時30分過ぎには一時151.82円と年初来高値を更新した。
 FOMCが公表したドット・チャートでは年内利下げ予想が3回に維持された一方、2025年・2026年の金利見通しが上方修正され、来年以降の利下げが昨年12月時点の予測よりも緩やかになるとの見通しが示された。市場では「景気を下支えするために利下げを急ぐ必要性はますます薄まっている。全体的には12月時点よりもタカ派的」との見方があり、当初は売買が交錯した。ただ、そのあとに日経新聞の「日銀の追加利上げ『10月』『7月』観測」との記事が英語で伝わると円買いが強まり、4時前に一時150.73円と日通し安値を付けた。
 もっとも、当該記事はあくまでも「観測記事」との見方から、円買いでの反応は一時的だった。日銀が緩和的な環境を維持するとの期待は根強く、引けにかけては151.40円付近まで持ち直している。

 ユーロ円は続伸。終値は165.21円と前営業日NY終値(163.92円)と比べて1円29銭程度のユーロ高水準。日銀の利上げに関する記事を受けて一時164.31円付近まで売られる場面もあったが、下押しは限定的だった。日銀の緩和的スタンスが当分継続されるとの見方から、全般円売りが優勢となり、5時30分前には165.35円と2008年8月以来の高値を更新した。ダウ平均が400ドル超上昇するなど、米株式相場が底堅く推移したこともリスク・オンの円売りを誘った。
 ポンド円は一時193.54円と15年8月以来の高値、豪ドル円は99.66円と14年12月以来の高値、カナダドル円は112.26円と08年1月以来の高値、メキシコペソ円は9.08円と08年10月以来の高値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:150.73円 - 151.82円
ユーロドル:1.0836ドル - 1.0923ドル
ユーロ円:163.83円 - 165.35円

(中村)
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