週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、対円での荒い値動きに警戒

◆豪ドル、金利先物市場は2024年半ばからの利下げを織り込む
◆豪ドル、対円ではドル円に振らされる荒い値動きに警戒
◆ZAR、SARBはインフレ警戒姿勢を維持

予想レンジ
豪ドル円 96.00-100.00円
南ア・ランド円 7.77-8.10円

4月1日週の展望
 豪ドルは対円での荒い値動きに警戒が必要となるだろう。27日に公表された2月消費者物価指数(CPI)は前年比3.4%となり、市場予想の3.5%をやや下回る結果となった。同指数は2022年12月につけた8.4%をピークに鈍化傾向が続き、市場では今後数カ月のうちに豪準備銀行(RBA)のインフレ目標レンジ(2-3%)内に収まると見方が拡大。金利先物市場では2024年半ばからの利下げを織り込み始めている。

 一方で、2月CPIのトリム平均値は前年比3.9%となり、前月の3.8%から伸びが加速。財価格の上昇などインフレ圧力もくすぶっており、アナリストからは「インフレ再燃の兆しがある中でRBAは緩和方向へ動きづらい」との声も聞かれた。RBAはインフレ目標レンジ(2-3%)内まで低下する時期を2025年としており、前のめり気味に利下げを織り込み始めた市場とはかなり乖離があるようだが、今後は市場とRBAのどちらが方向性を修正していくかで豪ドル相場の動向を左右していくことになるだろう。なお、来週はイースター休暇明けの4月2日に18-19日開催分のRBA理事会議事要旨が公表される。

 また、豪ドル円の動向を占ううえではドル円相場にも注意が必要となる。ドル円が1990年以来の高値を更新した27日には、財務省・金融庁・日銀が3者会合を開催。会合後には神田財務官が為替介入の可能性も含めて「あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」と強い円安けん制発言を出しており、市場では円買い介入への警戒感が高まった。ドル円は日銀の緩和的な金融環境が継続するとの観測を手掛かりにした買い意欲も根強いため、来週も思惑的な動きから不安定な推移となる可能性が高い。豪ドル円も含めてクロス円全般に大きな影響を与えることが予想されるため警戒しておきたい。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値の重い動きとなりそうだ。南アフリカ準備銀行(SARB)は27日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利を市場予想通り8.25%で据え置くことを決定。CPI見通しを上方修正したほか、クガニャゴSARB総裁は会見で「(インフレ目標3-6%の)中間点4.5%への回復は信じられないほど遅い」ことに言及した。景気低迷の中でもインフレリスクが高い状態が続いていることもあり、SARBはこれまでと同様にインフレ警戒姿勢を維持。ZARを巡っては好材料が乏しく、対ドルを中心に上値が重くなるだろう。また、ZAR円は豪ドル円と同様にドル円相場の動向に振らされる可能性に注意が必要となる。

3月25日週の回顧
 豪ドルはさえない動き。全般にドル高が強まった流れに沿って対ドルを中心に上値の重さが目立ったほか、2月CPIが予想を下回る結果となったことも相場の重しとなった。ZARも対ドルで弱含む展開となり、対円もつれ安で推移。なお、SARBの金融政策を受けた相場の反応は限定的だった。(了)
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