週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米PCEや介入の可能性に注意

◆ドル円、米PCEデフレーターに注目
◆日銀金融政策決定会合、円買い介入の可能性や中東の地政学リスクにも注意
◆ユーロドル、ユーロ圏4月製造業・サービス業PMIや独4月Ifo景況感指数に注目

予想レンジ
ドル円   151.00-157.00円
ユーロドル 1.0300-1.0800ドル

4月22日週の展望
 ドル円は、30日-5月1日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、米3月PCEデフレーターで米国のインフレ動向を見極めつつ、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や中東の地政学リスクの高まりに警戒していく展開となる。

 米国3月の雇用統計、消費者物価指数、小売売上高を受けて、パウエルFRB議長やジェファーソンFRB副議長が利下げ開始時期の先送りを示唆している。FRBがインフレ指標として注視している3月PCEデフレーターの予想は前年比2.6%と、2月の2.5%から上昇することが見込まれている。予想通りにインフレ率の下げ止まりが確認できた場合は、ドル買いに拍車がかかることになるが、逆に2.5%以下だった場合の反応には注意したい。

 日本では、25‐26日の日銀金融政策決定会合では、現状のゼロ金利政策の継続が見込まれている。注目ポイントは、関係筋が示唆したように、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2024年度のコアCPI見通しを従来の2.4%から引き上げることを検討する可能性である。また、4月の展望レポートから公表される2026年度のコアCPI見通しがインフレ目標2%程度となった場合、早期の追加利上げ観測が高まることになりそうだ。人手不足を背景に賃上げ圧力が高まるなか、日銀は賃金と物価がともに上昇する好循環が一段と強まるとの見方を強めており、中東情勢緊迫化による原油相場の高騰や円安に伴う輸入原材料価格の上昇などから、引き上げ幅に注目。また、植田日銀総裁は、円安による輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に影響を与える可能性に言及し、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」と述べており、原油価格上昇と円安による「第1の力」が再浮上した場合への対応策には注目だろう。

 更に、イランとイスラエルの軍事衝突の激化という中東の地政学リスクにも、引き続き警戒しておきたい。最悪のシナリオではあるが、仮に第5次中東戦争のような状況に拡大した場合は、原油価格の高騰が円安圧力を高めることにもなる。

 ユーロドルは、ユーロ圏4月製造業・サービス業PMI速報値や独4月Ifo景況感指数が悪化した場合は、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ開始の可能性を高めることになり注意が必要だろう。また、4月下旬に公表予定のユーロ圏の賃金データにも警戒しておきたい。

4月15日週の回顧
 ドル円は、パウエルFRB議長が利下げ時期の先送りを示唆したことで154.79円まで上昇した後、日米韓財務相会合やG7会議で過度な為替変動への懸念が表明されると153.96円まで反落。ただ、その後は米金利上昇などを受けて154.68円まで反発した。
 ユーロドルは1.0601ドルから1.0690ドルまで上昇も上値は抑えられている。ユーロ円は162.71円から164.95円まで上昇。(了)
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