週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、指標や発言に一喜一憂

◆対円は円買い介入、対ドルではFOMCに注目
◆ポンド、利下げをめぐり英指標や要人発言に一喜一憂
◆加ドル、6月利下げ思惑も根強く2月GDPに注目

予想レンジ
ポンド円 192.00-198.00円
加ドル円 111.00-116.00円

4月29日週の展望
 来週、対円では引き続き日本当局の円買い介入関連のヘッドライン、対ドルでは米連邦公開市場委員会(FOMC)とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見が注目される。今回のFOMCでは政策金利が6会合連続で据え置かれることがほぼ確実視され、経済見通しやドットチャートの公表もないことから大きなサプライズはなさそうだ。ただし、声明やパウエルFRB議長の発言次第では利下げの思惑は一段と後退し、ドル高が加速する可能性はある。

 ポンドは足もとで利下げ時期をめぐり、英経済指標やイングランド銀行(英中銀、BOE)金融政策委員会(MPC)メンバーの発言に一喜一憂の動き。今週はMPCメンバーからタカ派寄りの発言が伝わった。ピル委員は、「インフレが持続するリスクへの警戒を怠らないことが重要だ」と述べた。「利下げ時期の判断には慎重に慎重を重ねる必要がある」とし、「利下げはまだ先」との見解を示した。また、最近まで利上げを支持したハスケル委員は「労働市場が依然として極めてタイト」だと警告し、「インフレ目標の2%にとどまるとの確信を得るには労働市場の一段の緩みが必要」との認識を示した。グリーン委員も労働市場についてハスケル委員と同様の見解。「利下げは差し迫っていない」と述べた。5月9日にBOE会合を控え、年内の利下げ思惑はやや緩んでいる。

 来週は英国内で4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値の発表が予定されている。今週発表の速報値では、製造業が48.7と予想外に3月から低下した一方で、サービス部門は予想を上回る54.9と3月から大幅上昇。総合PMIは54.0と11カ月ぶりの高い水準となった。賃金や輸送・原材料価格の上昇により、コストも過去約1年で最も速いペースで上昇しており、BOEの利下げ決断はもっと慎重になる可能性が示された。

 加ドルは、カナダ中銀(BOC)の6月会合での利下げ警戒感が一部では根強いなか、カナダの経済データを睨みながら利下げ時期を見極める展開となる。来週は2月GDPの発表が予定されている。カナダの23年第4四半期GDPは前年比1.0%、1月GDPは0.9%と市場予想を上回り、BOCは4月会合で今年の成長見通しを1月時点の0.8%から1.5%に上方修正した。2月GDPが好調な結果となれば、早急な利下げを迫る圧力は和らぐ可能性がある。なお、短期金融市場では6月利下げ確率が五分五分で、7月利下げは完全に織り込んでいる。

4月22日週の回顧
 ドル円が介入ラインと警戒された155円を突破して円が全面安。ポンド円は2008年9月以来の高値となる196円台まで上昇。加ドル円は115円手前まで2007年12月以来の高値を更新した。

 ポンドドルは1.2300ドルまで昨年11月中旬以来の安値をつけたが、4月サービス部門PMIの予想比上振れやBOEメンバーのタカ派寄り発言を手がかりに1.25ドル台に切り返した。ドル買いが一服し、加ドルは対ドルで下げ渋るも、カナダの2月小売売上高が前月比で2カ月連続のマイナスとなったことも重しとなり、ドル/加ドルの下押しは1.36加ドル台にとどまった。(了)
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