欧州マーケットダイジェスト・11日 株安・金利上昇・ドル底堅い

(11日終値:12日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=153.23円(11日15時時点比△0.26円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=164.22円(▲0.10円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0717ドル(▲0.0025ドル)
FTSE100種総合株価指数:7923.80(前営業日比▲37.41)
ドイツ株式指数(DAX):17954.48(▲142.82)
10年物英国債利回り:4.201%(△0.053%)
10年物独国債利回り:2.463%(△0.028%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
欧州中央銀行(ECB)、政策金利   4.50%で据え置き   4.50%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は底堅い。3月米消費者物価指数(CPI)の上振れをきっかけに全般ドル高が進んだ前日の流れを引き継いで始まり、18時前には153.29円まで値を上げた。ただ、3月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが分かると米長期金利の低下とともにドル売りが優勢に。政府・日銀による為替介入への警戒感が根強い中、22時前には152.80円付近まで下押しした。
 もっとも、アジア時間に付けた日通し安値152.76円が目先サポートとして働くとじりじりと買い戻しが進んだ。米長期金利が上昇に転じたことも相場の支援材料となり、0時30分過ぎには153.32円と1990年6月以来約34年ぶりの高値を更新した。市場では「米国の利下げ開始が先延ばしになるとの観測は根強い」との声が聞かれた。
 なお、米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.5886%前後と昨年11月14日以来の高水準を記録した。

・ユーロドルは荒い値動き。米PPIの下振れを受けて一時1.0757ドルと日通し高値を付けたものの、米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が根強い中、ドル売りの勢いは長続きしなかった。米長期金利が上昇に転じると全般ドル買いが優勢となり、一時1.0699ドルの日通し安値まで押し戻された。
 ただ、売り一巡後は徐々に下値を切り上げる展開に。市場では「明日12日のNYカット(日本時間23時)に行使期限を迎えるまとまった規模のオプションが1.0700ドルに観測されており、オプションに絡んだ買いが入ったようだ」との声が聞かれた。
 なお、欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、市場予想通り政策金利を4.50%で据え置くことを決めたと発表。声明では「インフレが持続的に収まるとの確信を得られれば、金利引き下げが適切になる」と表明し、今後の利下げ転換を示唆した。一方、「今後の政策金利の水準はデータ次第」「特定の金利軌道を事前に確約しない」とも説明した。また、ラガルド総裁は理事会後の会見で「データを得るまで政策に関していかなる路線にもコミットすることはできない」「ディスインフレが継続すれば、金利の道筋に反映させる」などと話した。

・ユーロ円はドル円の上昇につれた買いが先行し一時164.70円と日通し高値を付けたものの、前日の高値164.99円が目先レジスタンスとして意識されると失速。21時30分前には一時163.95円と日通し安値を更新した。そのあとはドル相場となったため、ユーロ円自体は方向感に乏しい展開となった。

・ロンドン株式相場は反落。ECB定例理事会の結果公表を控えて、しばらくはもみ合いの展開が続いていたが、終盤失速した。HSBCやバークレイズなど金融株が売られたほか、アングロ・アメリカンやグレンコアなど素材株が値下がりした。半面、アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株が買われた。

・フランクフルト株式相場は反落。前日の米国株相場の下落を受けて売りが優勢となった。ECB理事会の結果が伝わると下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。個別ではドイツテレコム(6.15%安)やコメルツ銀行(4.02%安)、BASF(3.54%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。米債安につれた。市場では「ECB声明文やラガルド総裁の会見はハト派的だったが、米長期金利の動きによる影響が強かった」との声が聞かれた。

(中村)
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