東京為替見通し=円安の勢いは一服、介入資金少なく円ショックには要警戒

 昨日の海外市場でドル円は為替介入警戒感と、一時は4.64%台まで上昇した米10年債利回りが4.56%台まで低下したことが相場の重しとなり153.06円と日通し安値を更新した。ユーロドルは、米雇用指標で1.0674ドルまで一時弱含んだが、米金利の低下で1.0730ドルまでじり高になった

 本日のドル円相場は、円売りの勢いは一服となるだろうが、下値を積極的に攻めるのも難しく、方向感のない値動きとなりそうだ。

 4月29日に続き、日本時間2日早朝の円買い介入は計8兆円を超える巨額介入とされている。これまでの介入は日本が休場となった日(4月29日)、取引参加者が極端に少ない時間帯(5月2日早朝)という、市場の間隙をついて行われている。本日も憲法記念日で東京市場が休場ということもあり、市場流動性の悪い時間帯に敢えて円買い介入を行うのではないかという声はある。しかしながら、米国サイドがドルの押し下げ介入に対しては賛同をしていないと思われることで、現行水準(153円台)での介入を否定する声も多い。

 また、流動性の悪い時間帯に介入をしたことに関しては、介入余力が底をつくことを懸念しているから、という声もある。本邦の外貨準備高は約200兆円あるものの、ドル売り介入に利用できる外貨預金額は、今回の介入の規模と同程度と想定した場合は、あと7-8回程度しかないとの予想もある。外貨準備の中にある米債を売ることは、米国サイドから強い拒否反応が示されることもあり、限られた介入資金(ドルの外貨預金や売却できる証券など)で円安の流れを断ち切るのは、流動性の悪い時間が効果的と判断したのかもしれない。もし、介入資金が枯渇してきた場合は、1992年のポンド危機、そしてつい最近のトルコリラ危機などと同様の道をたどることになる。現時点では円安がいったんは止まっているものの、状況次第で円の更なる暴落(円ショック)もあり得るので警戒はしておきたい。

 なお、本日は東京市場だけでなく、中国も労働節のため休場、オセアニア・アジア市場から主だった経済指標の発表予定はない。また、NY時間には注目指標(4月米雇用統計、4月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数など)が発表されることが、アジア時間での値動きを限定することになるだろう。

(松井)
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