株式明日の戦略-週間では4桁の上昇、来週は海外の材料に一喜一憂が続くか

 13日の日経平均は4日ぶり反落。終値は178円安の32315円。市場予想を上回る米9月消費者物価指数(CPI)などを受けて、米長期金利が上昇し、米国株は下落。これを嫌気して寄り付きから3桁の下落となった。好決算が確認できたファーストリテイリング<9983.T>が大幅高となったことや、半導体株に底堅い動きが見られたことなどから、序盤ではプラス圏に浮上する場面もあった。しかし、値下がり銘柄が多く、新興銘柄が売り込まれてマザーズ指数の下げが大きくなったことから、戻したところでは改めての売りに押された。前場では比較的底堅く推移し、後場に入るとじり安基調が続いた。終盤には下げ幅を200円超に拡大。ただ、引けにかけてはやや値を戻した。マザーズ指数が3.6%安と厳しい下げとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆7600億円。業種別ではプラスは鉱業1業種のみで、海運や精密機器の下げが限定的となった。一方、繊維、サービス、ゴム製品などの下げが大きかった。上期の見通しを引き上げた古野電気<6814.T>が急伸。半面、1Qが大幅な減益となったブックオフグループホールディングス<9278.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり101/値下がり1708。今期の売上収益は3兆円乗せを見込むファーストリテイリングが5%を超える上昇。日経平均のプラス寄与は約190円あった。米長期金利の上昇を受けても東京エレクトロンが逆行高。キーエンスやSMCなど値がさの一角が堅調となった。創業40周年記念配当の実施を発表した明光ネットワークが急伸。今期の大幅増益計画を発表した直近上場のキャスターが、新興グロースにアゲインストの地合いの中でも買いを集めてストップ高となった。

 半面、上期が減収、大幅最終減益となったセブン&アイが4%を超える下落。ディスコや東京精密など半導体関連の一角が米長期金利上昇を受けて大幅に下落した。ドル円は円安気味に推移したが、ホンダ、日産自、三菱自など自動車株が全般軟調。ビジョナル、フリー、弁護士ドットコムなどグロース市場の人気銘柄が値幅を伴った下げとなった。TKPが上期決算を受けて17.3%安と急落。1Qが大幅な減益となった三光合成がストップ安となった。

 名古屋証券取引所メイン市場に新規上場した成友興業は、初値が公開価格を下回り、終値も初値を下回った。

 日経平均は下落したが、ファーストリテイリングの貢献もあって178円安(32315円)と常識的な下げにとどまった。きょうは値上がり銘柄が非常に少なく、ファーストリテイリングが決算で売られていた場合には、32000円を割り込むような大幅安となっても不思議ではなかった。しかし、大崩れを回避したことで26週線(31737円、13日時点、以下同じ)だけでなく、13週線(32248円)も上回って週を終えることができた。

 米国の長期金利に関しては、9月CPIが弱めの内容となっていれば低下基調に弾みがつきそうであったが、そうはならなかった。ただ、上昇が一服しそうな雰囲気はある。米国では本日や来週17日に金融株の決算がいくつか出てくる。ここでの反応からマーケットの金利に対する警戒・期待の度合いを推し量ることができるかもしれない。もし、長期金利低下に対する期待が高まっているのであれば、金融株に関しては、悪い内容なら大きく売られ、良い内容でも利益確定や材料出尽くしの売りが優勢になるといったように、反応が弱めになると思われる。また、この場合、テスラやネットフリックスなど主力グロース株に関しては、決算に対する反応がポジティブ寄りとなる公算が大きい。米長期金利の動向はもちろんのこと、金利の影響を受けやすい銘柄・業種が材料にどういった反応を見せるのかを注意深くウォッチしておきたい。


【来週の見通し】
 方向感に欠ける展開か。国内は小売などの決算発表が一巡して材料難となる。米国では金融株やテスラ、ネットフリックスなど、台湾ではTSMCが決算を発表予定で、これら海外企業の決算を受けた反応や米国の長期金利をにらみながらの一進一退が続くだろう。今週の日経平均が週間で大きく上昇したことで、9月後半から10月にかけての下げに関しては一巡感が出てきた。また、国内では10月後半から3月決算企業の上期業績が出始める。来週に関しては「待ち」の姿勢が強まる分、明確なトレンドは出てこないと思われるが、地合いの改善と先のスケジュールから売りは出しづらい地合いになるとみており、下値は堅いと予想する。
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