株式明日の戦略-後場に買われて週間でもプラス、来週は下押し圧力が和らぐか

 14日の日経平均は3日ぶり反発。終値は94円高の38814円。まちまちの米国株を受けても3桁下落スタート。前場は日銀会合の結果発表を前に模様眺めムードが強まり、下げ幅を広げては戻すといった動きを繰り返した。前引けでは前日終値近辺まで値を戻した。

 日銀会合の結果は後場のスタート前に出てきたが、政策金利は据え置きとなり、長期国債に関しては、買い入れを減額していく方針が示された。事前に警戒されたほど踏み込んだ内容ではなかったことから、発表を受けてドル円は円安に振れ、先物は上昇。後場は前引けから大きく水準を切り上げ、3桁高からのスタートとなった。そこから一時上げ幅を300円超に拡大。節目の39000円を上回ったところでは伸び悩み、買い一巡後は値を消したが、プラスを確保して取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆3100億円。業種別では海運、石油・石炭、卸売などが上昇した一方、医薬品、銀行、保険などが下落した。キリンホールディングス<2503.T>による買収観測が報じられたファンケル<4921.T>が、場中は値が付かずストップ高比例配分。半面、今期の見通しが市場の期待に届かなかったMacbee Planet<7095.T>がストップ安まで売り込まれた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1417/値下がり210。傘下のアームがナスダック100に採用されることが決まったソフトバンクGが3%を超える上昇。終値で1万円を上回った。ディスコ、三菱重工、ニデックなどが大幅高。前日派手に下げた名村造船に見直し買いが入った。日銀結果を確認した後には、三菱地所や住友不動産など不動産株の動きが良くなった。1Q好決算の丹青社が急伸し、同業の乃村工芸社も連れ高。着地が計画を上振れた東建コーポレーションが急騰した。

 一方、主力大型株には下落銘柄が結構多く、レーザーテックが2%を超える下落。日銀結果を受けて三菱UFJが象徴的に売られた。円安進行を受けてもトヨタが軟調。NTTやKDDIなど通信株が弱かった。ビジョナルが上方修正を発表しても急落しており、年初来安値を更新。鎌倉新書が決算を受けて一時ストップ安となるなど大きく値を崩した。

 本日、グロース市場に新規上場したChordia Therapeuticsは、高い初値をつけたものの、終値は初値を大きく下回った。

 日銀会合は日本株の買い材料となった。日銀は国債買い入れの減額を早いうちから市場に織り込ませ、発表日までは深読みさせて、会合では踏み込んだ内容は出さなかった。結果を受けてドル円は円安には振れたものの、日銀が円安阻止を焦っていないようにも映ったことから、ブレーキが外れたような動きにはならなかった。引け後の植田総裁会見中ではそれほど円安に振れていない。次回会合(7月30日~31日)では再び国債買い入れ減額の議論が活発になるだろうが、そこまでは投機的な円安を抑制できるとも考えられる。ドル円は来週以降も値動きを注視する必要があるが、発表直後の為替市場の混乱を回避できたことは、日本株にとってプラスの面が大きい。


【来週の見通し】
 堅調か。国内は材料が乏しく、米国で経済指標の発表が多い。米国では市場予想を下回る5月消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)を確認して10年債利回りが低下しており、FOMCでも特段のサプライズはなかった。目先の米国株は金利上昇に対する警戒が後退することで、指標結果に対してポジティブな反応が多くなる可能性が高い。日本株も日銀会合を消化したことで、これまでよりも個別物色が活況になると見込まれる。米国株、特にナスダックの上昇継続に対する期待が強い中、下げづらい地合いが続くと予想する。
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