NY為替見通し=リスク回避の動きの落ち着きどころを探る展開か

 本日のニューヨーク為替市場では、東京昼過ぎから強まったリスク回避の動きがどの程度で落ち着くかを探る展開か。欧州勢の本格参入後から強まった円買いで、執筆時点ではドル円は約1カ月ぶりの156円前半まで、ユーロ円も170円後半まで円高が進行した。

 円買い進行のきっかけは、一部通信社が「米国が対中半導体規制でさらなる厳しいルールを検討していることを同盟国に警告」と報じたこと。日本の半導体企業も規制の対象に含まれていたため日経平均は下落に転じ、現物引け後も日経先物は下げ足を速めた。

 報道された記事では対中・規制強化は「検討」としているものの、バイデン現政権が中国関連で手綱を緩めることはなさそうだ。というのも、11月大統領選で優勢な共和党候補のトランプ前大統領が、対中強硬姿勢を選挙公約の目玉の1つとしているからだ。銃撃事件の後にトランプ氏の強さが目立っているだけに、バイデン大統領としても弱腰なスタンスは取れないだろう。

 しかしながら、中国を締め付ける=米企業に利益という訳ではない。これまでの対中規制では米半導体企業の売上減に繋がっているとされ、今後は更なるダメージへの懸念も高まるだろう。時間外のナスダック100先物の反応は、1%超安と売り優勢となっている。

 なお、本日の米経済指標は6月の住宅着工件数や鉱工業生産指数などが予定されているが、通常は相場へのインパクトは弱いデータ。それよりも、バーキン米リッチモンド連銀総裁やウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の講演、米20年債入札結果を受けた米長期金利の動向には注目したい。

想定レンジ上限
・ドル円、日本時間15時過ぎの戻り高値158.09円

想定レンジ下限
・ドル円、6月7日安値155.12円


(小針)
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