ロンドン為替見通し=スポ末に絡んだフローで上下させられる展開か

 本日のロンドン為替市場では、重要な経済指標や要人講演も予定されておらず、スポット応答日が月末ということに絡んだ実需フローで上下させられることになりそうだ。今週は31日の日米・金融政策公表が最も重要視されており、特に「日銀の金融正常化」に関連した報道には気を付けておきたい。なお、週明け日本株は買いが一気に強まったものの、欧州株は先週末に既に上昇していたため、株高に伴うリスク選好の動きはそれほど期待できないか。

 ロンドン時間の月末フローで目立つことが多い通貨ペアの1つは、ユーロポンドだろう。このところの値動きを振り返ると、今月半ばに約2年ぶりの安値圏となる0.8380ポンド台まで下落した後は下げ渋り、先週末にかけて0.84ポンド半ばまで反発した。今週は8月1日(木)に英中銀が金融政策委員会(MPC)の結果を発表することもあり、いつも以上に値幅を伴った動きとなるかもしれない。

 英MPCについては、一部通信社による直近のエコノミスト調査では0.25%の利下げ予想が優勢。ただし短期金融市場での引き下げ織り込み度は6割にも達していない。6月英消費者物価指数(CPI)でサービス価格指数が高止まりしていたことが、依然としてインフレ警戒感に繋がっているというのが据え置き主張の見方だ。いずれにせよ、MPCメンバーによる投票は僅差になる可能性は高い。

 欧州の地政学リスクの高まりも念頭に入れてはおきたい。ロシアのプーチン大統領は同国海軍記念日にあたる昨日、「米国が長距離ミサイル配備をドイツで実行した場合、ロシアも欧米諸国が射程圏内に入るミサイルを配備する」と警告した。プーチン大統領の発言は、露海軍だけでなく中国やアルジェリア、またインド海軍兵士も参加した式典の演説で出されたものであり、本気度を示しているとも言える。

 また、実現の可能性は低いとされているが、エルドアン・トルコ大統領が28日に発したイスラエルへの介入警告もやや気になるところ。同大統領は2020年に国家分裂状態のリビアに軍事介入したことを例に出し、「イスラエルにも同じことをするだろう」と述べた。自身の支持層でもあるイスラム保守派に寄り添う姿勢を見せるための発言ではあるが、地域情勢の更なる不安定化に繋がってしまうかもしれない。

想定レンジ上限
・ユーロポンド、1日高値0.8499ポンド
・ユーロ円、26日高値168.01円

想定レンジ下限
・ユーロポンド、17日安値0.8383ポンド
・ユーロ円、ピボット・サポート2の165.45円

(小針)
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