株式明日の戦略-日銀副総裁発言を受けて大幅高、5日線を上回り35000円台を回復

 7日の日経平均は大幅続伸。終値は414円高の35089円。米国株は上昇したものの、先物の弱さが警戒されて、寄り付きは500円を超える下落。開始早々には900円超下げる場面もあった。しかし、早い時間に売りが一巡すると、10時台半ばにかけては騰勢を強める展開。金融市場が不安定な中で利上げを行うことはないとの内田日銀副総裁発言が伝わったことで、円安が進み、株式には買いが入った。10時台後半に1100円超上昇したところで上昇が一服し、その後はしばらく高値圏でのもみ合いが続いた。終盤にかけては値を消したものの、35000円は上回り、400円を超える上昇で取引を終えた。

 業種別では銀行、卸売、証券・商品先物などが上昇した一方、ゴム製品、鉱業、海運などが下落した。通期見通しの引き上げや自己株取得を発表した大和ハウス工業<1925.T>が後場急伸。半面、下方修正や期末の無配予想を発表したJUKI<6440.T>が後場に入って急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1092/値下がり526。銀行株が強く、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行が急伸。ディスコが商いを伴って12.4%高と強い動きを見せた。三井物産、三菱商事、住友商事、丸紅など商社株が軒並み大幅高。1Qが大幅増益となったIHIが利食い売りをこなしながら8%超上昇し、前日に決算を消化した三菱重工や川崎重工にも買いが入った。ソフトバンクGが引け後の決算発表を前に5%を超える上昇となった。

 一方、アドバンテスト、東京エレクトロン、レーザーテックなど半導体の主力どころが下落。トヨタやホンダなど自動車株は円安進行を好感する場面もあったが、買いが続かなかった。1Q大幅増益も市場の期待には届かなかったマツダが4%を超える下落。1Qが最終減益となったダイキンやNTTデータGが急落した。

 日経平均は大幅高。内田日銀副総裁の発言が株安に対する過度な警戒を和らげた。終値では414円高と4桁高まで見たところからは失速したが、不意打ちは下げだけでなく上げもあると市場参加者が意識したことは、日本株を見る上ではポジティブ。今の時期に出てくる要人発言は、ある程度株式・為替市場に配慮したものになると思われる。発言に神経質になりがちな点には注意を払う必要があるが、株安や急激な円高に対して、日銀や政府からのケアが入りやすくなっていることは、相場の下支え要因となる。

 終値(35089円)では5日線(35051円、7日時点)を上回った。かろうじて上回った程度だが、5日に31156円まで下げた後、早期に35000円台を回復しており、目先の底打ち期待は高まりつつある。現時点での今週の週足は、長い下ヒゲをつけている。週初の水準(5日の始値)は35249円で、あすはこれを上回って終えることができるかに注目したい。
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