ドイツ連立政権崩壊、トランプ勝利の翌日に政治危機

 ドイツの連立政権が崩壊し、ショルツ首相が財務相を解任したことで、欧州最大の経済大国が政治的混乱に陥っている。ショルツ首相は自由民主党(FDP)のリンドナー財務相を解任し、社会民主党と緑の党による少数政権を率いる見込み。1月15日に議会での信任投票を予定しており、3月末までに早期選挙が行われる可能性がある。この政治危機は、予算政策とドイツの経済方針をめぐる数カ月にわたる対立の結果であり、ショルツ首相はリンドナー氏が党利党略を優先し、立法を妨害したとして批判した。一方、リンドナー氏は、ショルツ首相が憲法で定められた支出制限(債務ブレーキ)を破るよう強要したと反論している。

 政権崩壊はドイツ経済が停滞し、インフラの老朽化や軍の準備不足などの国内問題、そしてトランプ氏の勝利を受けて、欧州が新たな米国関税やNATOの将来、ウクライナ戦争への対応など国外問題など、様々な課題に直面する中での出来事となった。この政治的混乱は主流政党への不満を高め、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」など、ポピュリスト政党の台頭を助長する可能性がある。また、フランスも政治的不確実性に直面する中、EUの二大経済大国の混乱は、東西からの課題に直面するEUの統合深化の取り組みを妨げるかもしれない。

(越後)

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