週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、議事要旨次第で更なる下押しも

◆豪ドル、イベント少ないがRBA議事要旨次第で更なる下押しの可能性
◆豪ドル・ZAR、ホリデーシーズンのためにトレンドは作りにくい
◆ZAR、中銀の方向性の違いが重しに

予想レンジ
豪ドル円 96.00-100.00円
南ア・ランド円 8.30-8.70円

12月23日週の展望 
 豪ドルは閑散な取引になりそうだが、対ドルでは上値が重く、対円ではもみ合いを予想している。来週は25日のクリスマスと翌日の26日は豪州市場が休場となる。ホリデーシーズンに入ったことから市場流動性が悪化しており、地政学リスクの高まりなどには警戒しなくてはならないものの、年末年始に大きくトレンドを変えるのは難しそうだ。

 経済指標も、来年1月7日の11月住宅建設許可件数まで主だった発表予定がほぼない。その中で、来週豪州国内から市場を動意づける可能性が唯一あるとすれば24日に発表される豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨(9‐10日開催分)になるだろう。理事会後に発表された声明文では「インフレの上振れリスクは緩和。消費者物価指数(CPI)は持続的に目標に戻ると確信」とハト派的な見解が示された。RBAのタカ派スタンスが弱まったことで市場は豪ドル売りで反応している。更に、今週に入り米連邦公開市場委員会(FOMC)ではタカ派的な利下げとなったことで、豪ドル/ドルは2022年10月以来の水準まで弱含んだ。このトレンドは継続されそうだ。もし、議事要旨がRBA声明文よりもハト派と捉えられる内容だった場合は、豪ドルは更に下押しする可能性がある。

 来週は豪州国内以外でもイベントが少ない週を迎える。今週で日米英などの金融政策決定会合が終了し、年内は主要国の政策決定会合がすべて終わっている。また、豪州同様にクリスマスシーズンと年末で休場になる国が多い。ただ、中国が新たな財政政策や経済対策について再び示唆したときや、中東やウクライナ情勢に変化が起きた場合は警戒が必要だろう。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はもみ合いとなりそうだ。FOMCではドットプロットの2025年末時点の中央値が上方修正され、利下げ回数が2回と前回9月の見通しから半減した。米国の利下げ観測が後退している中で、先週発表された南アのインフレ指標は軒並み市場予想よりも下振れる結果となった。すでに1月の南ア準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)では利下げ予想が圧倒的に多数となっているように、南アと米国の金融政策の方向性の違いがドル買い・ZAR売りを促しそうだ。ただ、一方で中国経済の回復期待がBRICS諸国にとっては支えになり、ZARが一方的には売られにくい要素にもなる。なお、南アからは来週は主だった経済指標の発表予定はない。

12月16日週の回顧
 豪ドルは弱含み。コモディティ価格が軟調な動きを示したことで、資源国通貨がほぼ全面安となった。また、FOMCでのタカ派的な利下げが更に豪ドルの重しに。対ドルでは一時昨年10月以来となる0.62ドル割れまで弱含んだ。対円では日銀の利上げが先送りされたことなどから、行って来いの動きだった。ZARも対ドルでは下落。南アもオセアニア通貨同様に資源国通貨であり、対ドルでは軟調な動きとなった。ただ、対円では日銀の早期利上げ期待が後退したことから下落後は買戻しが入った。(了)
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