週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、RBAの金融政策に注目
◆豪ドル、RBAの金融政策に注目
◆豪ドル、金利先物市場では金利先安観が後退
◆ZAR、米・南ア首脳会談に注意
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
5月19日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。来週の注目イベントは19-20日に予定されている豪準備銀行(RBA)の政策決定理事会。直近で発表された1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%と市場予想(2.3%)をわずかに上回ったものの、RBAのインフレ目標(2-3%)内には収まった。コア指数も前年比2.9%と同じくインフレ目標内で落ち着いており、市場では2月以来の0.25%利下げが実施されるとの見方が優勢となっている。
注目となるのは今後の金融政策方針。金利先物市場では今回も含めて年内に計3回程度の利下げ(合計0.75%分)を織り込んでいる状況だが、前週までは計4回以上の利下げを織り込んでいた。これまでは米中貿易摩擦の影響で豪経済が減速するとの思惑が広がっていたが、米中貿易協議で90日間の関税大幅引き下げが合意に至ったため、金利先物市場でもシナリオの修正を迫られた格好だ。こうした外部環境の変化や国内のインフレ見通しなどに関して、RBAがどのような見解を示すか注意してみていく必要があるだろう。
また、豪ドル円も含めたクロス円全般の動向を左右する材料として、日米財務相会談にも注意が必要だ。今週は韓国が「米国との為替協議が行われたことを確認」と言及したことから、日米交渉での円安是正議論への思惑が高まり、円買いへとつながる場面があった。ここまでの流れから考慮すると、米国側がはっきりと円安ドル高の是正を求める可能性は決して高くないと思われるが、思惑的な動きも含めて円相場全般が振らされるリスクには警戒しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)では19日に1-3月期卸売物価指数(PPI)、21日に4月貿易収支、23日に1-3月期小売売上高の発表が予定されている。いずれもNZドル相場への影響は限られる見込みだが、翌週(28日)にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策公表が控えていることもあり、1-3月期 PPIで直前のインフレ動向は確認しておきたい。
また、南アフリカ・ランド(ZAR)は荒い値動きに注意。来週は米ワシントンでラマポーザ南ア大統領とトランプ米大統領による首脳会談が予定されており、注目を集めそうだ。南アと米国間では現在、南ア国内の白人農業者の扱いを巡って対立が深まっている。米国による関税問題も絡んだ会談は今後の南ア政治・経済状況にも大きな影響を及ぼす可能性が高く、成功裏に終わらなければZAR売り材料となる可能性が高いだろう。なお、来週は南アから21日に4月CPIや3月小売売上高などの発表も予定されている。
5月12日週の回顧
豪ドルは対円で買いが先行。13日には3月中旬以来の高値を更新する場面があったが、その後はドル円の失速に伴って上値が重くなった。ZARは底堅く推移。国営電力会社エスコムが発電所の故障で計画停電を実施したことから弱含む場面も見られたが、南ア準備銀行(SARB)と財務省がインフレ目標フレームの変更を近々行うと報じられると買い戻しが入った。(了)
(執筆:5月16日、9:00)
◆豪ドル、金利先物市場では金利先安観が後退
◆ZAR、米・南ア首脳会談に注意
予想レンジ
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
5月19日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。来週の注目イベントは19-20日に予定されている豪準備銀行(RBA)の政策決定理事会。直近で発表された1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%と市場予想(2.3%)をわずかに上回ったものの、RBAのインフレ目標(2-3%)内には収まった。コア指数も前年比2.9%と同じくインフレ目標内で落ち着いており、市場では2月以来の0.25%利下げが実施されるとの見方が優勢となっている。
注目となるのは今後の金融政策方針。金利先物市場では今回も含めて年内に計3回程度の利下げ(合計0.75%分)を織り込んでいる状況だが、前週までは計4回以上の利下げを織り込んでいた。これまでは米中貿易摩擦の影響で豪経済が減速するとの思惑が広がっていたが、米中貿易協議で90日間の関税大幅引き下げが合意に至ったため、金利先物市場でもシナリオの修正を迫られた格好だ。こうした外部環境の変化や国内のインフレ見通しなどに関して、RBAがどのような見解を示すか注意してみていく必要があるだろう。
また、豪ドル円も含めたクロス円全般の動向を左右する材料として、日米財務相会談にも注意が必要だ。今週は韓国が「米国との為替協議が行われたことを確認」と言及したことから、日米交渉での円安是正議論への思惑が高まり、円買いへとつながる場面があった。ここまでの流れから考慮すると、米国側がはっきりと円安ドル高の是正を求める可能性は決して高くないと思われるが、思惑的な動きも含めて円相場全般が振らされるリスクには警戒しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)では19日に1-3月期卸売物価指数(PPI)、21日に4月貿易収支、23日に1-3月期小売売上高の発表が予定されている。いずれもNZドル相場への影響は限られる見込みだが、翌週(28日)にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策公表が控えていることもあり、1-3月期 PPIで直前のインフレ動向は確認しておきたい。
また、南アフリカ・ランド(ZAR)は荒い値動きに注意。来週は米ワシントンでラマポーザ南ア大統領とトランプ米大統領による首脳会談が予定されており、注目を集めそうだ。南アと米国間では現在、南ア国内の白人農業者の扱いを巡って対立が深まっている。米国による関税問題も絡んだ会談は今後の南ア政治・経済状況にも大きな影響を及ぼす可能性が高く、成功裏に終わらなければZAR売り材料となる可能性が高いだろう。なお、来週は南アから21日に4月CPIや3月小売売上高などの発表も予定されている。
5月12日週の回顧
豪ドルは対円で買いが先行。13日には3月中旬以来の高値を更新する場面があったが、その後はドル円の失速に伴って上値が重くなった。ZARは底堅く推移。国営電力会社エスコムが発電所の故障で計画停電を実施したことから弱含む場面も見られたが、南ア準備銀行(SARB)と財務省がインフレ目標フレームの変更を近々行うと報じられると買い戻しが入った。(了)
(執筆:5月16日、9:00)