株式明日の戦略-終日堅調で5日線を上回る、来週は不安定な動きが続くか

 6日の日経平均は反発。終値は187円高の37741円。米国株安はネガティブ視されず、小幅高スタート。すぐに上げ幅を3桁に広げて37700円台まで水準を切り上げた。買い一巡後は本日の米雇用統計の発表を前に動意が乏しくなり、37000円近辺でのもみ合いが続いた。上げ幅を200円超に広げると上値が重くなったが、幅広い業種に買いが入ったことで大きな失速もなく推移し、3桁の上昇で取引を終えた。グロース250指数は注目度の高いアイスペース<9348.T>に売りが殺到したことが警戒材料となり、2.1%安と大きめの下げとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆6000億円。業種別では鉄鋼、建設、機械などの動きが良く、下落は水産・農林、ガラス・土石、繊維の3業種のみとなった。証券会社が投資判断を引き上げたビー・エム・エル<4694.T>が急騰。半面、証券会社が目標株価を引き下げたフリー<4478.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり861/値下がり710。三菱重工、川崎重工、IHIの防衛大手3社がそろって大幅上昇。JERAとデータセンター新設に向けた基本合意書を締結したと発表したさくらネットが買いを集めた。証券会社が目標株価を引き上げたメルカリが4.4%高。ダルトンの大株主浮上が判明したトーセイが急伸した。

 一方、サンリオ、レーザーテック、古河電工などが軟調。月面着陸がかなわなかったアイスペースがストップ安比例配分となっており、宇宙ビジネスを手がけるSynspectiveに警戒売りが波及した。上期の決算を発表したクミアイ化学が後場に入って大幅安。前期の着地が計画を下振れたアインHDや月次が失望材料となったインターメスティックが急落した。

 日経平均は反発。きのうの下げ分を全戻しすることはできなかったが、終日37500円より上で推移し、終値(37741円)では25日線(37510円、6日時点、以下同じ)や5日線(37592円)を上回った。今週は5営業日中、3営業日で陰線を形成しており、場中の動きは強くはなかった。それでも25日線に接近したところでは、これを割り込むことなく推移した。来週も25日線より上をキープできるかが注目される。

 来週は米国で消費者物価指数(CPI)などの物価指標を確認するほか、10年債や30年債の国債入札が予定されている。米国の長期金利(10年債利回り)には大きな動きが出てくる可能性がある。米国の長期金利が落ち着いた動きで低下するような流れとなれば、米国株や日本株には安心材料となる。今週は国内半導体株が米金利の低下に好反応を示す場面があっただけに、このケースでは半導体株の動きが良くなると見込まれる。

 ただし、米国の長期金利が低下した場合でも、低下の度合いが急になってしまうと、米国の景気悪化が強く意識される。米金利が急低下すると為替市場ではドル安(円高)が進みやすくもなる。円高が加速してしまうと日本株にはネガティブな反応が出てくると思われる。米長期金利とともに、為替動向にも注意を払っておく必要がある。


【来週の見通し】
 不安定か。米国で発表される5月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が注目を集める。ただ、翌週を見渡すと、16日~17日に日銀金融政策決定会合、17日~18日にFOMCがあり、15日~17日にはカナダでG7サミットが開催される。先に重要イベントを多く消化することになるだけに、強弱感は交錯しやすい。中盤まで上下どちらかに傾いたとしても、週末に逆の反応が出てくるといった展開も想定される。中央銀行関連のニュースのほか、長期金利や為替動向にも神経質となりやすく、大幅高もあれば大幅安もあるといったような落ち着かない動きが続くだろう。
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