週間為替展望(ドル/ユーロ)-日銀、ECBの金融政策に注目

◆ドル円、FOMCでの1%利上げの可能性に留意しつつ、日銀金融政策決定会合に注目
◆米国の6月住宅着工・建設許可件数や日本の6月CPIに要注意
◆ユーロドル、ECB理事会とユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値に注目

予想レンジ
ドル円 137.00-142.00円
ユーロドル 0.9700-1.0200ドル

7月18日週の展望
 ドル円は、米国6月の消費者物価指数(CPI)が前年比9.1%だったことで、26-27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1.00%の追加利上げの可能性が高まりつつあり、底堅い展開が予想される。

 米国6月のCPIは9.1%となり、1981年11月の9.6%以来の高水準を記録した。当時は、1979年10月のボルカー・ショックを受けて、CPIが1980年に14.6%まで上昇した後、1983年に2.4%まで低下する途上だった。当時のFF金利は13%台、米10年債利回りは13%~14%台であり、現在の金利水準は物価情勢を反映していないことになる。当時、ボルカーFRB議長は、緊急FOMCを開催して金融引き締め策を打ち出している。来週は、緊急にFOMCが開催される可能性には警戒しておきたい。6月のFOMCの議事要旨によると、インフレ状況の悪化やFRBの対応能力への信頼喪失を懸念して、0.75%の大幅利上げに踏み切ったことが明らかになっている。パウエルFRB議長は議会証言の質疑応答で、1.00%の利上げの可能性を否定していないことにも留意。また、米国住宅ローン金利の上昇を受けて、6月の住宅着工・建設許可件数への悪影響にも注意が必要だろう。

 日銀金融政策決定会合では、現状の大規模金融緩和策の継続が予想されている。ただ、メドベージェフ前ロシア大統領が、原油価格が300-400ドル超に上昇する可能性に言及し、米系金融機関も380ドルの可能性をリポートしている。黒田日銀総裁の記者会見では、原油価格高騰というリスクシナリオへの対応策を見極めたい。日本の6月のコアCPIは、先行指標の東京都区部の前年比2.1%付近が予想されている。なお、黒田総裁は、賃金上昇を伴う物価上昇が実現するまで大規模金融緩和策を継続すると述べており、11日には「必要があれば躊躇なく追加緩和する」とも述べている。

 ユーロドルは、21日の欧州中央銀行(ECB)理事会で0.25%の利上げが予想されているものの、ユーロ圏のインフレ高進と景気減速によるスタグフレーションへの警戒感が高まっていることで、軟調推移が予想される。ロシアからドイツへ天然ガスを供給するパイプラインの「ノルドストリーム1」の定期点検が終わる22日に、ロシアがガスの供給を遮断する可能性が警戒されている。イタリア政局やユーロ圏7月の製造業・サービス業PMI速報値のネガティブサプライズにも注意。

7月11日週の回顧
 ドル円は、米6月CPIが前年比9.1%と発表され、FOMCでの1.00%利上げの可能性が高まったことで、135.92円から139.39円まで上昇した。債券市場では、リセッション(景気後退)への警戒感が高まり、2年債と10年債の長短金利逆転(逆イールド)が発生している。ユーロドルは、ユーロ圏のスタグフレーションへの警戒感が高まるなか、ドラギ伊首相の辞任表明やFOMCでの1%利上げ観測などから、1.0184ドルから0.9952ドルまで下落し、パリティー(1ユーロ=1ドル)を割り込んだ。ユーロ円は、137.03円から139.77円まで上昇した。(了)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。