NY為替見通し=5月米ISM非製造業指数や格付け関連のヘッドラインに要警戒か

 本日のNY為替市場のドル円は、米国5月のサプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数を見極めつつ、格付け機関による米国債の格付け関連のヘッドラインに警戒する展開が予想される。

 5月米ISM非製造業指数は52.2と予想されており、4月の51.9からの改善が見込まれている。予想通りに改善していた場合、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の追加利上げの確率がさらに高まることで、ドル買い要因となる。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月のFOMCでは78%程度の確率で据え置き、7月は0.25%の利上げ確率が54%程度、9月は据え置き、11月には0.25%の利下げ確率が高まり、12月は据え置き確率が高まっている。

 米国の債務上限は、本日5日の「Xデー」を前に、3日にバイデン米大統領が財政責任法案(Fiscal Responsibility Act of 2023)に署名したことで、2025年1月まで据え置かれることになった。しかし、2011年8月2日にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後の5日に、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債格下げを発表していることで、今週は予断を許さない週となる。

 6月1日時点で米財務省が保有する現金残高は228.9億ドルとなっており、通常の債務返済に要する300億ドルを下回っている。また、今月は、1兆3600ドル規模のT-Billと長期国債の償還と利払いが予定されており、1.5-2.0兆ドル程度のT-Billの発行を余儀なくされるため、米債利回りの上昇、すなわち、ドル買い要因となる。

 格付け会社のフィッチ・レーティングスは、米上院が債務上限停止法案を可決し、デフォルト(債務不履行)が回避されたにもかかわらず、米国の「AAA」格付けに対する「ネガティブウォッチ」を維持すると明らかにした。また、先日、ムーディーズや格付け会社DBRSモーニングスターは、格付け見直しの可能性を警告していた。

 また、先日神田財務官がドル円相場の「過度な変動」への警戒感を示していたが、昨年9月と10月の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、ボリンジャー・バンド「+2σ」付近で断行されており、本日の水準は、142.07円となっている。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、5月30日の高値の140.93円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、日足一目均衡表・転換線の139.58円。


(山下)
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