株式明日の戦略-週間で2000円を超える大幅上昇、来週も好地合いは継続か

 12日の日経平均は大幅に5日続伸。終値は527円高の35577円。米国株は小動きかつ3指数がまちまちで終えたが、市場予想を上回る12月消費者物価指数(CPI)を無難に消化できたことが好感されて上昇スタート。SQ絡みの売買が影響したか、寄り付きから500円を超える上昇となり、すぐに上げ幅を800円近くに広げるなど、かなり上に値幅が出た。ファーストリテイリング<9983.T>が好決算を発表して急騰したことも、指数の上昇に大きく貢献した。

 35800円台に乗せたところで買いは一巡し、高値は開始3分でつけた。そこからしばらくは緩やかに上げ幅を縮小。ただ、35300円台に入ると盛り返し、その後は値動きが落ち着いた。プライムでは値下がり銘柄が多かったが、指数は大幅高の状態を維持したことから終盤にかけては強含み、後場の高値圏で終了。500円を超える上昇となり、終値で35500円を上回った。前場ではマイナス転換から下げ幅を広げたグロース250指数は、後場に入ると切り返し、終値ではプラスを確保した。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆0500億円。SQ日で振れ幅も大きくなったことから商いは膨らんだ。業種別では鉱業、その他製品、精密機器などが上昇した一方、証券・商品先物、パルプ・紙、銀行などが下落した。富士ソフト<9749.T>が一時ストップ高となるなど後場急騰。日経電子版で、同社が上場を継続するかを含めた資本政策の検討を始めると報じられたことが買い材料となった。半面、3Qが大幅な経常減益となったいちご<2337.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり551/値下がり1058。1Qの好決算を発表したファーストリテイリングが6.3%高。1銘柄で日経平均を231円押し上げた。リクルートや富士フイルムが大幅高。任天堂、キーエンス、信越化学なども強い動きを見せた。決算を材料にUSENNEXTや三協立山が急騰。証券会社のリポートを手がかりにニトリHDやカプコンが買いを集めた。

 一方、3Qが減収・最終減益となったセブン&アイが大幅安。市場予想を上回る米CPIを受けても米10年債利回りが低下したことから、三菱UFJや三井住友など銀行株が強めに売られた。為替がやや円高(ドル安)に振れたことからトヨタ、日産自、マツダなど自動車株が全般軟調。決算が嫌気されたわらべや日洋やホームポジションが急落した。ディップは下方修正がネガティブサプライズとなり、ストップ安となった。

 日経平均は大幅上昇。序盤で700円超上昇したのはイレギュラーな感も強かったし、プライムでは値下がり銘柄もかなり多かったが、場中に売り崩すような動きは見られなかった。きょうはファーストリテイリングの貢献度が非常に大きかったが、527円高からファストリの寄与度231円を差し引いても300円近い上昇で、かなり強い。資金が向かっているのが大型株に偏っている点は意識しておく必要があるものの、新NISAがスタートしてすぐに誰でも知っている銘柄が大きく上昇してくれば、新たな資金は流入しやすくなる。今週のような派手な上昇が続くかどうかはともかく、しばらく日本株は崩れづらくなると予想する。


【来週の見通し】
 堅調か。今週の大幅高に対する反動はどこかで出てくるかもしれないが、昨年5月から6月にかけての急騰を彷彿させるような強い動きが見られたことから、多少下に値幅が出たとしても警戒ムードは高まりづらい。ボラティリティが大きくなることは許容しながら、リスクオンの流れが継続するだろう。国内はやや材料難となるが、米国では決算発表が出始める。主力グロース企業の決算はまだ先で、その手前では期待買いは入りやすい一方、売り急ぎは抑制されやすい。米CPIを波乱なく消化したことで、米金利や為替に神経質になる場面は少なくなりそう。利食い売りをこなしながら週間では水準を切り上げると予想する。
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