週間為替展望(ポンド/加ドル)-英中銀声明や金融政策報告書に注目

◆ポンド、英中銀声明や金融政策報告書に注目 
◆ポンド、英MPC投票でタカ派委員のスタンスを注視
◆加ドル、BOCの結果を受けて上値追いづらい

予想レンジ
ポンド円 184.00-191.00円
加ドル円 107.50-111.50円

1月29日週の展望
 ポンドは、2月1日に英中銀が公表する金融政策委員会(MPC)の結果や金融政策報告書の内容がその後の方向性を決めそうだ。政策金利については「5.25%に据え置き」が市場のコンセンサス。4会合連続となる据え置きにサプライズはないだろう。前回12月の英中銀声明では、「インフレ率が依然として目標2%から距離があり、今後も物価上昇圧力を注視する必要」に言及。その上で、「根拠があれば追加利上げもあり得る」と繰り返した。しかし実際には、市場は利下げに目を向け続けている。今年に入り織り込み度は低下したが、通信社によるエコノミスト調査によれば、6月の英MPCで0.25%金利引き下げを見込む向きが過半数となっている。12月英消費者物価指数(CPI)は予想に反して加速したが、4-6月期には2%をやや割り込む水準まで減速するとの見方は根強い。四半期に一度の英中銀・金融政策報告書は前回、2024年のインフレ率は3%前後との予測を示していた。今回の報告書でその辺りの変化にも気を付けたい。

 政策金利が見込み通りに据え置かれたとしても、9人の委員の投票内容には目を向ける必要がある。特にタカ派と見られている3人(マン、ハスケル、グリーン委員)のスタンスに変化があるかに関心が集まるだろう。3人は、ベイリー英中銀(BOE)総裁の政策金利据え置き提案に反し、0.25%利上げを3会合連続で主張している。タカ派の投票行動に変化が見られるようであれば、金融政策自体が予想通りであってもポンドの動意に繋がりそうだ。

 加ドルは、カナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合を経て上値を追いづらい展開。BOCは24日、市場予想通りに政策金利の5.00%据え置きを決定。中銀は「インフレ基調の持続を懸念」としながらも、CPIの上昇率は今年下期には前年比2.5%まで鈍化し、来年中に目標の2%に達するとの見通しを示した。また前回までの声明に見られた「必要があればさらに利上げをする用意がある」との文言を削除。マックレムBOC総裁の会見からも、今後の焦点は利下げ開始時期にシフトしつつあることが汲み取れ、市場は6月までの利下げ予想を強めている。

 カナダ金利先安観が強まるなか、31日の11月国内総生産(GDP)が注目される。前年比では3カ月連続で1%を下回り、低水準の成長率が続く。前回に予想比下振れて横ばいとなった前月比が昨年6月以来のマイナスを記録するようだと、加ドルにとっても印象は良くないだろう。

1月22日週の回顧
 ポンド円は週前半、日銀のインフレ見通し下振れを受けて189円手前まで買いが強まった。ただし、一巡後は本邦長期金利上昇を背景とした円買いで187円前半まで失速した。ポンドドルは12月英PMIが予想を上回ったことで1.27ドル後半まで上昇する場面があった。

 加ドルは対円では110円前半で上値を抑えられ、一時109円割れまで売り戻された。本邦金利上昇が円買いに繋がったほか、BOC声明がハト派的と受けとめられて加ドルの重しとなった。対ドルでは、1.34加ドル前半から1.35加ドル前半まで加ドル安に傾いた。(了)
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