東京為替見通し=ドル円、底堅いものの日銀利上げパスへの警戒感から上値は限定的か
15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.3182%前後まで上昇したことで149.17円まで上昇した。ユーロドルは、欧州時間の高値1.0900ドルから1.0881ドル付近まで下押しした。ユーロ円は162.40円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇で底堅い展開が予想されるものの、明日発表される日銀金融政策決定会合での利上げパスへの不透明感、警戒感などから上値は限定的だと思われる。
連合が発表した春闘の第1回回答集計での平均賃上げ率は、33年ぶりの高水準となる5.28%を記録した。すなわち、植田日銀総裁が目指していた「賃金の上昇を伴う形」での2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まりつつあることが確認されたことになる。
明日発表される日銀金融政策決定会合の結果は、マイナス金利政策の解除や長期金利を0%に誘導する長短金利操作(YCC)の撤廃など、大規模金融緩和の正常化に踏み切ることはほぼ織り込み済みとなっている。
注目ポイントは、ゼロ金利に引き上げられた後のフォワードガイダンス、利上げパスや国債のゾーン別の買い入れ額などのフレームワークとなる。
メインシナリオは、マイナス金利やYCCが解除されても、内田日銀副総裁が示唆したように、緩和的な金融環境が維持されていくことになった場合である。
現状のドル円は149円台まで上昇しており、マイナス金利解除の「思惑で円買いが仕掛けられ、事実で手仕舞う」ことを先取りしつつあり、150円方向に向けた上昇トレンドが継続するのかもしれない。
リスクシナリオは、植田日銀総裁の発言「デフレではなくインフレの状態」に示唆されるように、インフレ目標2%に向けた断続的な利上げの可能性が示された場合となり、ドル円は145円方向に向けた下落トレンドが再開するのかもしれない。
すなわち、日銀がマイナス金利、YCC、オーバーシュート型コミットメントを撤廃・終了し、国債買い入れ規模を明示する政策に移行して、植田日銀総裁が将来的な量的縮小や追加利上げについて踏み込んだ発言をした場合は、円高調整が進む可能性が高まることになる。
2月のコア消費者物価指数は、エネルギーの激変緩和措置のベース効果により前年比+2.8%程度まで上昇すると予想されており、33年ぶりの高い賃上げ率や、4月からの運送・物流業界の規制強化などから、インフレ率が加速する可能性が高まりつつある。
すなわち、「マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」というオーバーシュート型コミットメントに反する状況となる可能性が高まることになる。
植田日銀総裁がインフレの状態と認識するのであれば、2%超のインフレ率に対して、ゼロ金利のままでは対応できないのではないだろうか。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの上昇で底堅い展開が予想されるものの、明日発表される日銀金融政策決定会合での利上げパスへの不透明感、警戒感などから上値は限定的だと思われる。
連合が発表した春闘の第1回回答集計での平均賃上げ率は、33年ぶりの高水準となる5.28%を記録した。すなわち、植田日銀総裁が目指していた「賃金の上昇を伴う形」での2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まりつつあることが確認されたことになる。
明日発表される日銀金融政策決定会合の結果は、マイナス金利政策の解除や長期金利を0%に誘導する長短金利操作(YCC)の撤廃など、大規模金融緩和の正常化に踏み切ることはほぼ織り込み済みとなっている。
注目ポイントは、ゼロ金利に引き上げられた後のフォワードガイダンス、利上げパスや国債のゾーン別の買い入れ額などのフレームワークとなる。
メインシナリオは、マイナス金利やYCCが解除されても、内田日銀副総裁が示唆したように、緩和的な金融環境が維持されていくことになった場合である。
現状のドル円は149円台まで上昇しており、マイナス金利解除の「思惑で円買いが仕掛けられ、事実で手仕舞う」ことを先取りしつつあり、150円方向に向けた上昇トレンドが継続するのかもしれない。
リスクシナリオは、植田日銀総裁の発言「デフレではなくインフレの状態」に示唆されるように、インフレ目標2%に向けた断続的な利上げの可能性が示された場合となり、ドル円は145円方向に向けた下落トレンドが再開するのかもしれない。
すなわち、日銀がマイナス金利、YCC、オーバーシュート型コミットメントを撤廃・終了し、国債買い入れ規模を明示する政策に移行して、植田日銀総裁が将来的な量的縮小や追加利上げについて踏み込んだ発言をした場合は、円高調整が進む可能性が高まることになる。
2月のコア消費者物価指数は、エネルギーの激変緩和措置のベース効果により前年比+2.8%程度まで上昇すると予想されており、33年ぶりの高い賃上げ率や、4月からの運送・物流業界の規制強化などから、インフレ率が加速する可能性が高まりつつある。
すなわち、「マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」というオーバーシュート型コミットメントに反する状況となる可能性が高まることになる。
植田日銀総裁がインフレの状態と認識するのであれば、2%超のインフレ率に対して、ゼロ金利のままでは対応できないのではないだろうか。
(山下)