週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、BOC声明に注目

◆ポンド、英米利下げ見通しの格差が重し
◆加ドル、BOC政策会合の声明文に注目
◆加ドル、原油高が引き続き下支え

予想レンジ
ポンド円 189.00-194.00円
加ドル円 110.50-114.00円

4月8日週の展望
 イングランド銀行(英中銀、BOE)の3月会合でタカ派の2人が利上げ主張を撤回。市場ではBOEが今年実施する利下げ回数は米連邦公開市場委員会(FOMC)より多く、利下げ開始時期に関しても米国は後ずれるとの見方が強まる一方で、BOEは6月に利下げに踏み切るとの観測が6割超まで高まっている。英米利下げ見通しの格差は引き続きポンドの重しとなるが、BOEのインフレ高止まりへの警戒感は変わっておらず、今月も賃金やインフレデータに睨みながら利下げ開始時期を見極めることになりそうだ。

 来週、英国内では2月GDPや2月鉱工業生産・製造業生産指数などの発表が予定されている。今週発表の3月製造業PMI改定値は50.3と速報値から上方修正された。景気判断の節目とされる50を上回るのは2022年7月以来となる。一方で、3月サービス部門PMI改定値は53.1と速報値から下方修正された。なお、今月から英国では最低賃金が10%近く引き上げられる予定で、個人消費の持ち直しが内需の改善につながるとの期待はポンドの支援材料となりそうだ。

 加ドルは10日のカナダ中銀(BOC)の金融政策会合に注目。政策金利は6会合連続で5.0%での据え置きが見込まれるが、声明文で利下げ時期をめぐるヒントが得られるかどうかが注目される。BOCは1月会合で利上げの打ち止めを宣言し利下げ期待が高まったが、3月会合では「利下げの検討は時期尚早」との見解を示し、市場の利下げ思惑をけん制した。

 3月会合後に発表された2月CPIは前年比2.8%と1月の2.9%から鈍化し、インフレ率は鈍化基調にあると言えるが、住宅セクターなどでの価格上昇圧力が強く、労働需給の逼迫解消も鈍いことから、BOCは来週の会合でも引き続き利下げには「一段のデータの確認が必要」と慎重姿勢が示される可能性が高い。市場では6月会合で利下げを開始するとの見方が強いものの、当局としては、FRBより先に利下げに踏み切るとドル高・加ドル安が進み、加ドル安によりインフレが加速することも警戒している。

 また、原油相場の堅調な動きが引き続き加ドルの下支えとなりそうだ。中東やロシアの地政学リスクの高まりを背景にNY原油先物は約5カ月ぶりの高値水準まで上昇している。また、OPECプラスは今週、今年上期は原油供給政策を維持することを決定。供給抑制は6月末まで続くことになり、原油相場は更に押し上げられる可能性がある。

4月1日週の回顧
 今週、為替相場全体の値動きは限られた。米経済指標の結果を受けてドルに売りと買いが交錯したが、米利下げ時期の後ずれへの思惑で米長期金利が上昇しドル高地合いは変わらず。ポンドドルは1.26ドル後半で上値が抑えられた。加ドルは原油高が支えとなるも、ドル/加ドルは1.34加ドル後半で加ドル買いも一服している。
 ドル円の高止まりも支えにクロス円は下値の堅い動きとなり、ポンド円は一時192円前半、加ドル円は112円半ばに切り返したが、週末にかけては中東情勢を受けたリスクオフから戻り売りに押されている。(了)


※執筆:4月5日、10:30
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