週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米 3 月 CPI に注目
◆ドル円、前年比で伸び率上昇予想の米3月CPIに注目
◆本邦通貨当局の円買い介入の可能性や中東の地政学リスクに警戒
◆ユーロドル、ECB理事会では政策金利据え置き見込み
予想レンジ
ドル円 148.00-153.00円
ユーロドル 1.0600-1.1000ドル
4月8日週の展望
ドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や中東の地政学リスクの高まりに警戒しつつ、米3月消費者物価指数(CPI)を見極める展開となる。
米3月CPIは、前月比0.4%、前年比3.5%と予想されているが、前月比は2月の0.4%からは変わらず、前年比は3.2%からの伸び率上昇予想。コアCPIは前月比0.3%、前年比3.7%と予想され、2月の0.4%、3.8%からの伸び率鈍化が見込まれている。
パウエルFRB議長は、2月のCPIが予想を上回る前年比3.2%だったことに関して、「広範な軌道を変えることはない」との認識を示し、「年内どこかの時点で利下げを開始するのが適切になる可能性が高い」との認識を改めて示したが、3月のCPIが予想通りに上昇した場合も同様の見解を示すのか注目しておきたい。
また、イランとイスラエルによる直接対決への警戒感が中東の地政学リスク懸念を高めており、リスク回避のドル売り・円買い要因となりつつある。ただ、第5次中東戦争が勃発した場合は、原油価格の高騰が円安圧力を高めることになる。3月の日銀金融政策決定会合では異次元の大規模金融緩和を終了したものの、「しばらくは緩和的な金融政策を継続する」との姿勢が示されたことで、日本株高・円全面安の展開となっているが、植田日銀総裁は「基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、短期金利の水準の引き上げにつながる」との見解を示しているほか、「為替相場が経済物価見通しに影響を与えるのであれば、金融政策での対処を検討する」と述べており、原油価格上昇と円安による「第1の力」が再浮上した場合への対応策には注目しておきたい。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会では政策金利据え置きが見込まれており、6月の利下げ開始に向けた協議に注目したい。ラガルドECB総裁は、「4月末に発表される1-3月期の賃金データを見極めて、6月理事会での利下げを協議する」と述べている。ただ、3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が前年比2.4%まで低下したことで、ハト派の委員が利下げ開始を主張する可能性が高まっており、予断を許さない状況となっている。
4月1日週の回顧
ドル円は、米10年債利回りが4.4%台まで上昇したことで151.95円まで上昇したものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感や中東の地政学リスクへの警戒感から150円台後半まで反落した。
ユーロドルは、ユーロ圏3月のHICP速報値が前年比2.4%まで低下したものの、パウエルFRB議長が「最近高めのインフレ率が示されたことについては、より広範な軌道を変えることはない」との認識を示したことで、1.0725ドルから1.0877ドルまで上昇した。ユーロ円は162.79円から164.92円まで上昇した後、163円台半ばまで反落している。(了)
※執筆:4月5日、10:30
(松井)
◆本邦通貨当局の円買い介入の可能性や中東の地政学リスクに警戒
◆ユーロドル、ECB理事会では政策金利据え置き見込み
予想レンジ
ドル円 148.00-153.00円
ユーロドル 1.0600-1.1000ドル
4月8日週の展望
ドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や中東の地政学リスクの高まりに警戒しつつ、米3月消費者物価指数(CPI)を見極める展開となる。
米3月CPIは、前月比0.4%、前年比3.5%と予想されているが、前月比は2月の0.4%からは変わらず、前年比は3.2%からの伸び率上昇予想。コアCPIは前月比0.3%、前年比3.7%と予想され、2月の0.4%、3.8%からの伸び率鈍化が見込まれている。
パウエルFRB議長は、2月のCPIが予想を上回る前年比3.2%だったことに関して、「広範な軌道を変えることはない」との認識を示し、「年内どこかの時点で利下げを開始するのが適切になる可能性が高い」との認識を改めて示したが、3月のCPIが予想通りに上昇した場合も同様の見解を示すのか注目しておきたい。
また、イランとイスラエルによる直接対決への警戒感が中東の地政学リスク懸念を高めており、リスク回避のドル売り・円買い要因となりつつある。ただ、第5次中東戦争が勃発した場合は、原油価格の高騰が円安圧力を高めることになる。3月の日銀金融政策決定会合では異次元の大規模金融緩和を終了したものの、「しばらくは緩和的な金融政策を継続する」との姿勢が示されたことで、日本株高・円全面安の展開となっているが、植田日銀総裁は「基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、短期金利の水準の引き上げにつながる」との見解を示しているほか、「為替相場が経済物価見通しに影響を与えるのであれば、金融政策での対処を検討する」と述べており、原油価格上昇と円安による「第1の力」が再浮上した場合への対応策には注目しておきたい。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会では政策金利据え置きが見込まれており、6月の利下げ開始に向けた協議に注目したい。ラガルドECB総裁は、「4月末に発表される1-3月期の賃金データを見極めて、6月理事会での利下げを協議する」と述べている。ただ、3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)が前年比2.4%まで低下したことで、ハト派の委員が利下げ開始を主張する可能性が高まっており、予断を許さない状況となっている。
4月1日週の回顧
ドル円は、米10年債利回りが4.4%台まで上昇したことで151.95円まで上昇したものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感や中東の地政学リスクへの警戒感から150円台後半まで反落した。
ユーロドルは、ユーロ圏3月のHICP速報値が前年比2.4%まで低下したものの、パウエルFRB議長が「最近高めのインフレ率が示されたことについては、より広範な軌道を変えることはない」との認識を示したことで、1.0725ドルから1.0877ドルまで上昇した。ユーロ円は162.79円から164.92円まで上昇した後、163円台半ばまで反落している。(了)
※執筆:4月5日、10:30
(松井)