株式明日の戦略-大幅安も下げ渋る、米国の小売売上高に要注目

 15日の日経平均は大幅反落。終値は290円安の39232円。中東の地政学リスクが高まったほか、決算を発表した金融株が弱かったことなどから、12日の米国株は大幅安。これを嫌気して、寄り付きから400円を超える下落となった。

 開始早々に節目の39000円を割り込み、安いところでは下げ幅を700円超に拡大。ただ、38800円台に入ったところで売りが一巡すると、9時台半ば辺りからは値を戻す流れとなった。前場のうちに39000円台を回復して39100円台に到達。後場に入るともみ合いが長く続いたが、引けにかけての動きが良く、300円近い下落ながら39200円台に乗せて高値引けとなった。一方、グロース250指数は引けにかけて一段安となっており、終値(680.75p)で1月18日につけた685.90pを下回り、年初来安値を更新した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆9800億円。業種別では電気・ガス、海運、非鉄金属などが上昇した一方、医薬品、空運、情報・通信などが下落した。通期見通しの引き上げや自己株取得の発表が好感されたGunosy<6047.T>がストップ高。半面、通期の利益見通しを大幅に引き下げたアステラス製薬<4503.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり690/値下がり910。電力需要拡大期待から東電HD、北海道電力、九州電力など電力株が急伸。前営業日にストップ高となったローツェが商いを伴って一段高となった。日本郵船など海運大手3社が強めの上昇。三菱マテリアルや東邦亜鉛など非鉄株に資金が向かった。今24.5期は営業黒字を達成できる見込みとなったQPS研究所がストップ高。今25.2期のアグレッシブな見通しや株主還元強化など好材料が多かったベイカレントがストップ高比例配分となった。

 一方、レーザーテック、ソシオネクスト、ディスコなど半導体株が軟調。高島屋は決算と併せて1:2の株式分割を発表したが、市場の反応は厳しく6%を超える下落となった。SHIFT、Sansan、ラクスなどグロース色の強い銘柄群が大幅安。マネーフォワードが1Q決算を受けて急落した。通期見通しを引き下げたジンズHDがストップ安。3Q累計で最終赤字となったパソナGがストップ安比例配分となった。

 日経平均は週初から大幅安。ただ、一時700円超下げながらも安値38820円は9時19分と早い時間につけ、そこからは400円超戻して終えた。米国のインフレ長期化懸念だけでなく、中東の地政学リスクも高まっているだけに、39000円を割り込めばそこから売りが加速しても不思議はなかったが、軟調相場で耐性を示した。TOPIXに至っては0.2%安(日経平均は0.7%安)と小幅な下落にとどまっており、あすへの期待が高まる1日であったと言える。

 米国では本日、3月の小売売上高など経済指標がいくつか出てくる。雇用指標や物価指標に続いて小売指標まで強かった場合には、米国は利下げの必要がないとの見方が浮上してくる。米国株の短期的な方向性を占う意味では、結果があまり強くない方が好ましい。きょうの日本株は底堅かったとはいえ、大きく下落している。米国株の基調が弱ければ、どうしてもそれにはおつき合いすることになってしまう。本日の米国株に強い反発が見られるか、また、先週4.5%台に乗せた米国の長期金利(10年債利回り)が今週は低下してくるかといった点が大きく注目される。
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