週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、FOMCや介入の可能性に注視

◆ドル円、FOMCで利下げ時期や利上げの可能性に関する協議に注目
◆4月米雇用統計、本邦通貨当局の円買い介入の可能性や中東の地政学リスクにも注意
◆ユーロドル、ユーロ圏4月CPI速報値や1-3月期GDP速報値に注目

予想レンジ
ドル円   153.00-158.00円
ユーロドル 1.0400-1.0900ドル

4月29日週の展望
 ドル円は、30日-5月1日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利据え置きが見込まれており、利下げ開始時期やタカ派メンバーによる利上げ主張に関する協議に注目することになる。また、量的金融緩和政策(QE)による月950億ドルの資産売却の終了時期に関する協議にも注目しておきたい。米国の1月、2月、3月の消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)は、インフレの再燃を示唆しつつあり、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は、9月のFOMCと見込まれており、年内は1回の利下げのみと想定されている。さらに、ウィリアムズ米NY連銀総裁やボスティック米アトランタ連銀総裁が、利上げの可能性に言及していることもあり、FOMC声明文に注目している。また、5月3日に発表される4月の米雇用統計で堅調な労働市場の状況が示された場合は、ジェファーソンFRB副議長が言及しているように、「インフレが予想通りに減速しない場合は現在の金融引き締め姿勢をより長期間維持することが適切」とのタカ派的な見解が優勢となるため注意しておきたい。

 ドル円は今週、1990年以来34年ぶりの高値圏まで上昇している。本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒だろう。現状の円安と原油高を前提にした試算では、家計の負担が年間でおよそ11万円増えるとのこと。今春の大幅な賃上げや4万円の定額減税の恩恵が感じられなくなれば、岸田政権にとっては円安阻止が喫緊の課題になる可能性もある。

 また、19日のイスラエルによるイランへの小規模な攻撃は、「バイデン米大統領や独仏外相が大規模攻撃を目論んでいたネタニヤフ・イスラエル首相を説得した結果だった」と報じられているが、今後も中東の地政学リスクには警戒しておきたい。最悪のシナリオとして第5次中東戦争に拡大した場合は、有事のドル買いや原油価格の高騰で円安圧力を高めることにもなる。

 ユーロドルは、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ開始の可能性が高まる中、ユーロ圏4月消費者物価指数(CPI)速報値やユーロ圏1-3月域内総生産(GDP)速報値が予想を下回る内容だった場合は、6月理事会での利下げへの思惑が更に高まることになりそうだ。

4月22日週の回顧
 ドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入が見受けられないなか、154.46円から155.75円まで上昇。1990年6月以来の高値を更新した。米10年債利回りは4.5655%から4.7351%まで上昇している。ユーロドルは4月仏・独サービス部門PMI速報値が予想を上回り、米1-3月国内総生産(GDP)速報値が予想を下回ったことなどで、1.0624ドルから1.0739ドルまで上昇した。ユーロ円は164.40円から167.09円まで上昇。2008年8月以来の高値を更新した。(了)
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