週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米利下げ観測後退で底堅い

◆ドル円、FRB高官による相次ぐタカ派発言から利下げ観測が後退
◆ポジション調整以外で円買い要因を見つけづらい
◆ユーロドル、独・ユーロ圏インフレ指標や月末フローに警戒

予想レンジ
ドル円   154.50-160.50円
ユーロドル 1.0500-1.1000ドル

5月27日週の展望
 ドル円は、米利下げ観測の後退や円安に対する強い期待感から底堅い地合いが継続しそうだ。低調な米労働指標を受けて米利下げ観測が再燃していたが、米連邦準備理事会(FRB)高官の相次ぐタカ派的な発言や、4月30日-5月1日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「数人の当局者は必要ならさらなる引き締めに意欲」などの見解が示されると利下げ期待が再び後退した。現時点では、市場の年内利下げ回数織込みは2回から1回に傾きつつあるうえ、一部では利上げを予想する声も出ている状況。米利下げ観測の後退を背景に来週もドルは底堅く推移しそうだ。

 また、円安地合いが継続していることもドル円を下支えしている。足元で円金利が上昇しているが、米金利の上昇につれている影響が大きい。13日に日銀が5年超10年以下の国債買い入れ額を減額したことで、日銀の金融引き締め観測から円が上昇した面もあったが、外国為替市場での円相場の反応は極めて鈍かった。現状、ポジション調整以外で円買いにつながる材料を見つけることは極めて難しく、今後はさらにドル円の押し目買い意欲が高まりそうだ。

 なお、来週は週明け27日がメモリアルデーで米国市場は休場。28日に5月米消費者信頼感指数、30日に1-3月期米GDP改定値、31日には4月米PCEコアデフレーターの発表が予定されている。日本側では、月末の31日に外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)を財務省が公表するため、先月末からの介入の詳細が明らかになる。

 ユーロドルは、米利下げ観測の後退から上値の重い展開が想定される。欧州中央銀行(ECB)による6月利下げはほぼ市場に織り込まれているが、29日・31日に予定されている独・ユーロ圏のCPI速報値の結果次第ではさらなる利下げに対する思惑を高めることになるだろう。また、月末週とあって日本時間24時のロンドンフィキシングに向けたユーロポンドのフローなどにも警戒したいところだ。

5月20日週の回顧
 ドル円は、FRB高官による相次ぐ利下げに慎重な発言を受けて米長期金利が上昇するなか、週明けから底堅い動きとなり、156円台半ばまで値を上げた。その後はしばらくもみ合いが続いていたが、FOMC議事要旨でタカ派的な見解が示されたうえ、前週分の米新規失業保険申請件数や5月米PMI速報値が強い内容だったことが伝わると一時157.20円まで上値を伸ばした。

 ユーロドルは米金利上昇を手掛かりにじりじりと上値を切り下げる動きに。週後半には良好な米指標でドル高が加速した影響から一時1.0805ドルまで下押しした。ただ、値幅としては100ポイントにも至っておらず、依然として動きは鈍かった。(了)
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