週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、利下げへの期待高まる
◆ポンド、対ドルでは米金利動向、対円では日銀政策への思惑で左右される展開
◆ポンド、ECB理事会後の対ユーロの動きにも注目
◆加ドル、利下げへの期待高まる、週末の加雇用統計も注視
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 112.00-116.00円
6月3日週の展望
ポンドは英中銀の次の一手を探りながらも、対ドルでは米金利動向、対円では日銀金融政策への思惑に左右される展開が予想される。英国からは来週、5月購買担当者景気指数(PMI)の改定値が発表される程度。結果が速報値から大きく離れない限り、市場へのインパクトは薄いだろう。
このところ、米金融当局者から早期利下げに対する慎重な発言が相次いだが、6月初めからは米連邦公開市場委員会(FOMC)前のブラックアウト期間に入る。これまでの当局者見解をベースに、ドル相場は米景気指標や雇用データを見定めることになるだろう。日銀に対しては追加利上げ観測が高まりつつあるようだが、短期金融市場では直近6月よりも7月会合をメインに見据えている。円相場で注意すべきは、本邦金利上昇を嫌気して日本株が大きく崩れたときだろう。
なお、6月6日に開かれる欧州中央銀行(ECB)理事会では利下げがほぼ確実視され、市場の目は次の引き下げ時期に移っている。声明やラガルドECB総裁の会見内容次第では、ポンドが対ユーロで動意付く可能性は十分あり、それが対ドルや円の方向性にも影響を与えるかもしれない。
英国では30日に議会下院が解散され、7月4日の総選挙に向けて本格的な選挙活動が始まった。最大野党・労働党の優勢が伝わるなか、与党・保守党が差を詰めるために何を訴えるのかが注目される。気を付けたいのは、両党が有権者の機嫌取りで「減税」を叫び出すこと。英政府が債務目標を達成できない可能性が高まり、ポンドに対してはネガティブな印象となりそうだ。
加ドルは、6月5日のカナダ中銀(BOC)金融政策決定会合にまず注目。4月消費者物価指数(CPI、前年比)が3年1カ月ぶりの水準まで鈍化したことなどを背景に、エコノミスト予想の中心値は政策金利を現行の5.00%から4.75%に引き下げ。加金利市場における0.25%利下げ織り込み度は7割に達していないものの、BOCが重要視するCPI中央値やトリムも減速基調であり、2020年3月以来の利下げへの期待は高まっている。注視したいのは、今後の利下げペースについてBOCが何らかのサインを出すかどうか。今のところ、秋にも0.25%引き下げが見込まれている。
7日には、5月加雇用統計が発表予定。前回は総じて予想より強い結果を受けて加ドル買いが強まった。ただし、失業率は6.1%で高止まりしており、今回も水準には注意が必要だろう。
5月27日週の回顧
ポンド円は円安の流れに沿って週初から200円台に乗せ、2008年8月以来の高値となる200.74円まで上げ幅を拡大した。もっとも、一巡後は軟調な株式市場を受けてリスク回避の円買い戻しが強まると、199円割れまでポンド安に傾く場面があった。加ドル円も115円前半まで買い先行も、リスクセンチメントの悪化で114円手前まで失速した。
ポンドは対ドルでも買いが先行したものの、3月以来の1.28ドル台乗せ後は頭を抑えられた。米国債入札の低調さを背景に米長期金利が上昇すると、1.26ドル後半までポンド安ドル高に振れた。加ドルは対ドルでは1.36加ドル前半から1.37加ドル前半まで弱含んだ。(了)
◆ポンド、ECB理事会後の対ユーロの動きにも注目
◆加ドル、利下げへの期待高まる、週末の加雇用統計も注視
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 112.00-116.00円
6月3日週の展望
ポンドは英中銀の次の一手を探りながらも、対ドルでは米金利動向、対円では日銀金融政策への思惑に左右される展開が予想される。英国からは来週、5月購買担当者景気指数(PMI)の改定値が発表される程度。結果が速報値から大きく離れない限り、市場へのインパクトは薄いだろう。
このところ、米金融当局者から早期利下げに対する慎重な発言が相次いだが、6月初めからは米連邦公開市場委員会(FOMC)前のブラックアウト期間に入る。これまでの当局者見解をベースに、ドル相場は米景気指標や雇用データを見定めることになるだろう。日銀に対しては追加利上げ観測が高まりつつあるようだが、短期金融市場では直近6月よりも7月会合をメインに見据えている。円相場で注意すべきは、本邦金利上昇を嫌気して日本株が大きく崩れたときだろう。
なお、6月6日に開かれる欧州中央銀行(ECB)理事会では利下げがほぼ確実視され、市場の目は次の引き下げ時期に移っている。声明やラガルドECB総裁の会見内容次第では、ポンドが対ユーロで動意付く可能性は十分あり、それが対ドルや円の方向性にも影響を与えるかもしれない。
英国では30日に議会下院が解散され、7月4日の総選挙に向けて本格的な選挙活動が始まった。最大野党・労働党の優勢が伝わるなか、与党・保守党が差を詰めるために何を訴えるのかが注目される。気を付けたいのは、両党が有権者の機嫌取りで「減税」を叫び出すこと。英政府が債務目標を達成できない可能性が高まり、ポンドに対してはネガティブな印象となりそうだ。
加ドルは、6月5日のカナダ中銀(BOC)金融政策決定会合にまず注目。4月消費者物価指数(CPI、前年比)が3年1カ月ぶりの水準まで鈍化したことなどを背景に、エコノミスト予想の中心値は政策金利を現行の5.00%から4.75%に引き下げ。加金利市場における0.25%利下げ織り込み度は7割に達していないものの、BOCが重要視するCPI中央値やトリムも減速基調であり、2020年3月以来の利下げへの期待は高まっている。注視したいのは、今後の利下げペースについてBOCが何らかのサインを出すかどうか。今のところ、秋にも0.25%引き下げが見込まれている。
7日には、5月加雇用統計が発表予定。前回は総じて予想より強い結果を受けて加ドル買いが強まった。ただし、失業率は6.1%で高止まりしており、今回も水準には注意が必要だろう。
5月27日週の回顧
ポンド円は円安の流れに沿って週初から200円台に乗せ、2008年8月以来の高値となる200.74円まで上げ幅を拡大した。もっとも、一巡後は軟調な株式市場を受けてリスク回避の円買い戻しが強まると、199円割れまでポンド安に傾く場面があった。加ドル円も115円前半まで買い先行も、リスクセンチメントの悪化で114円手前まで失速した。
ポンドは対ドルでも買いが先行したものの、3月以来の1.28ドル台乗せ後は頭を抑えられた。米国債入札の低調さを背景に米長期金利が上昇すると、1.26ドル後半までポンド安ドル高に振れた。加ドルは対ドルでは1.36加ドル前半から1.37加ドル前半まで弱含んだ。(了)