週間為替展望(ポンド/加ドル)-英・加4月CPIに注目

◆ポンド、4月CPIに注目、鈍化基調続くか見極め
◆5月PMIで足もとの英景気動向を見定め
◆加ドル、4月CPIで利下げへの思惑高まるか注目

予想レンジ
ポンド円 194.50-199.50円
加ドル円 113.00-117.00円

5月20日週の展望
 ポンドは週半ばから後半に発表が予定されている英国のインフレ・景気指標に注目する展開となりそうだ。22日には4月消費者物価指数(CPI)、翌23日には5月製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値、24日には4月小売売上高の結果が明らかになる。

 前回3月分のCPIは前年比3.2%と2月から伸び率は減速したものの、市場予想を0.1%上回った。「インフレとの戦いは継続」と市場は受けとめ、CPIをきっかけに早期の利下げ観測は後退した。もっとも、ベイリー英中銀(BOE)総裁は5月CPIが急低下する見通しを示しており、その1カ月前となる今回はインフレ鈍化が順調に進んでいるかを確認する作業となりそうだ。なお、今週発表された1-3月・週平均賃金(除賞与)の伸び率は見込み通り前回から低下し、賃金上昇圧力が緩和していることを裏付けた。

 また、5月PMI速報値は、昨年後半から景況判断の境目となる50を上回って推移するサービス部門の堅調さは変わらずか。ポイントは、前月改定値で49.1だった製造業。3月PMI改定値で50超えまで持ち直したものの、今回がさえない結果となれば、支持率回復を目指す与党・保守党だけでなく、政権奪還を狙う野党・労働党からも英中銀への利下げ圧力が高まるかもしれない。

 なお、英利下げ開始時期については、短期金融市場では6月会合の織り込み度は5割をやや超えたところにあり、8月会合ではほぼ確実視されている。英中銀チーフエコノミストのピル金融政策委員会(MPC)委員は先日、「8月MPCで利下げ検討を開始」との見方を示している。

 加ドルは、21日発表の4月CPIが材料視されるだろう。前回3月分は前年比2.9%と2月から上振れたものの、3カ月連続で3%を下回った。市場は今回、2%台での低下を予想している。カナダ中銀(BOC)がインフレ基調をより適切に評価するために重要視するCPIトリムと中央値は、4カ月連続の鈍化が期待されている。見込み通りであれば、来月5日のBOC金融政策決定会合で0.25%利下げに対する織り込み度が増すことになる。更にCPIの結果次第では、6月を含めた年内5回の会合で、現在2回までとされている利下げが、3回目を織り込みに行く可能性もある。

 加ドルは対ドルでは米金利、対円では政府・日銀の動向を気にしながらも、加金利先安観の度合いも注視しながらの取引となるだろう。

5月13日週の回顧
ポンド円は週半ばには197円台乗せまで上昇。本邦通貨当局が米国の意向を気にして為替介入しづらいとの見方から円売りが進んだ。週後半には、米金利低下を受けて下落したドル円につれて195円付近まで水準を下げたものの、一巡後は197円手前まで切り返した。加ドル円も113円後半から114円後半まで上昇後に113円割れまで売られたが、一巡後は114円台を回復した。

ポンドドルは1.25ドル前半から1.27ドル付近まで上昇し、加ドルは対ドルで1.36加ドル後半から1.35加ドル後半まで加ドル高ドル安に振れた。(了)
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