週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英雇用データや景気指標に注目
◆ポンド、英雇用データや景気指標に注目
◆ポンド、英政府予算案に対する格付け会社の判断に注意
◆加ドル、日米金利動向に振らされる展開
予想レンジ
ポンド円 187.00-192.00円
加ドル円 108.50-111.50円
3月11日週の展望
ポンドは、週前半から半ばに発表される雇用データや景気指標に注目。また、対円では日銀の金融政策への思惑、対ドルでは米金利の動きに左右される場面も多そうだ。
英国立統計局(ONS)は12日、「ボーナスを除く平均賃金」の11-1月期分を発表する。前回2023年10-12月期は前年比6.2%上昇と一部予想を0.2ポイント上回ったものの、前々回6.7%からは鈍化して約1年ぶりの低水準を記録した。翌週には2月消費者物価指数(CPI)が予定され、その結果はもちろん重要ではある。ただ、インフレの方向性を総合的に判断するうえで、賃金データは英中銀金融政策委員会(MPC)内での話し合いに少なからず影響を与えるだろう。また、英景気の減速が懸念されるなか1月国内総生産(GDP)や鉱工業生産には目を向けておきたい。月次GDPは前回マイナスから持ち直すか、鉱工業生産はプラスを維持できるかがポイント。
また、英予算案に対する格付け会社の判断にも注意したい。フィッチ・レーティングスは先月、政府に厳格な歳出管理策を打ち出すよう促し、内容次第では格下げのリスクがあると指摘した。6日にハント財務相が行った春季財政報告で予算案が明らかにされたが、財政赤字額を示す公共部門純借入額は減少し続け、翌年度に政府目標を下回る見通しが示されている。
加ドルは、週初は2月雇用統計の結果を引きずることになりそうだ。前回1月分は新規雇用者数が予想の2倍超え、失業率も予想より強く、約1年1カ月ぶりに前月から改善した。
労働市場への反応一巡後は、カナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合も終えたばかりでもあり、次の金融政策イベントを控える日米の金利動向を受けた円やドル相場全般の流れに沿った動きとなるだろう。対円について着目すべき点は、日銀の早期マイナス金利解除への市場の期待感がどの程度まで高まるか。対ドルでは、米国の2月インフレ指標に注視。12日米消費者物価指数(CPI)は、総合が前回からほぼ横ばいだがコア指数は減速予想。BOC早期利下げ観測の後退が加ドルの支えとなっているなか、米金利先安観の強弱が相場の方向性を決めそうだ。
なおBOCは6日、政策金利を市場予想通り5.00%で据え置いた。マックレムBOC総裁が記者会見で「高水準の政策金利は適切」と強調し、「利下げ検討は時期尚早」と述べたことが材料視されて加ドルは買われた。短期金融市場では6月会合に対する利下げ織り込み度が低下した。
3月4日週の回顧
ポンドは対円では191円前半で頭を抑えられ、週後半にかけて188円前半まで売り込まれた。日銀の早期政策修正に対する思惑が高まり、全般円買いが優勢となった動きに歩調を合わせた。一方、対ドルでは1.26ドル付近から昨年12月以来の1.28ドル台乗せとなった。弱い米経済指標をきっかけにドル売りが進んだ。加ドルも対円では111円を上値に売りが強まった。BOC会合後に持ち直す場面もあったが、本邦金利の先高観が強まると109円半ばまで下値を広げた。ただ、対ドルでは、1.36加ドル近辺から1.34加ドル半ばまで加ドル高が進行した。(了)
(小針)
◆ポンド、英政府予算案に対する格付け会社の判断に注意
◆加ドル、日米金利動向に振らされる展開
予想レンジ
ポンド円 187.00-192.00円
加ドル円 108.50-111.50円
3月11日週の展望
ポンドは、週前半から半ばに発表される雇用データや景気指標に注目。また、対円では日銀の金融政策への思惑、対ドルでは米金利の動きに左右される場面も多そうだ。
英国立統計局(ONS)は12日、「ボーナスを除く平均賃金」の11-1月期分を発表する。前回2023年10-12月期は前年比6.2%上昇と一部予想を0.2ポイント上回ったものの、前々回6.7%からは鈍化して約1年ぶりの低水準を記録した。翌週には2月消費者物価指数(CPI)が予定され、その結果はもちろん重要ではある。ただ、インフレの方向性を総合的に判断するうえで、賃金データは英中銀金融政策委員会(MPC)内での話し合いに少なからず影響を与えるだろう。また、英景気の減速が懸念されるなか1月国内総生産(GDP)や鉱工業生産には目を向けておきたい。月次GDPは前回マイナスから持ち直すか、鉱工業生産はプラスを維持できるかがポイント。
また、英予算案に対する格付け会社の判断にも注意したい。フィッチ・レーティングスは先月、政府に厳格な歳出管理策を打ち出すよう促し、内容次第では格下げのリスクがあると指摘した。6日にハント財務相が行った春季財政報告で予算案が明らかにされたが、財政赤字額を示す公共部門純借入額は減少し続け、翌年度に政府目標を下回る見通しが示されている。
加ドルは、週初は2月雇用統計の結果を引きずることになりそうだ。前回1月分は新規雇用者数が予想の2倍超え、失業率も予想より強く、約1年1カ月ぶりに前月から改善した。
労働市場への反応一巡後は、カナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合も終えたばかりでもあり、次の金融政策イベントを控える日米の金利動向を受けた円やドル相場全般の流れに沿った動きとなるだろう。対円について着目すべき点は、日銀の早期マイナス金利解除への市場の期待感がどの程度まで高まるか。対ドルでは、米国の2月インフレ指標に注視。12日米消費者物価指数(CPI)は、総合が前回からほぼ横ばいだがコア指数は減速予想。BOC早期利下げ観測の後退が加ドルの支えとなっているなか、米金利先安観の強弱が相場の方向性を決めそうだ。
なおBOCは6日、政策金利を市場予想通り5.00%で据え置いた。マックレムBOC総裁が記者会見で「高水準の政策金利は適切」と強調し、「利下げ検討は時期尚早」と述べたことが材料視されて加ドルは買われた。短期金融市場では6月会合に対する利下げ織り込み度が低下した。
3月4日週の回顧
ポンドは対円では191円前半で頭を抑えられ、週後半にかけて188円前半まで売り込まれた。日銀の早期政策修正に対する思惑が高まり、全般円買いが優勢となった動きに歩調を合わせた。一方、対ドルでは1.26ドル付近から昨年12月以来の1.28ドル台乗せとなった。弱い米経済指標をきっかけにドル売りが進んだ。加ドルも対円では111円を上値に売りが強まった。BOC会合後に持ち直す場面もあったが、本邦金利の先高観が強まると109円半ばまで下値を広げた。ただ、対ドルでは、1.36加ドル近辺から1.34加ドル半ばまで加ドル高が進行した。(了)
(小針)