週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英予算案に注目
◆対円、ドル円次第も底堅い動きを見込む
◆ポンド、政府の英春季予算案に注目
◆加ドル、加中銀会合と雇用データに注目
予想レンジ
ポンド円 187.50-192.50円
加ドル円 109.00-112.00円
3月4日週の展望
対円ではドル円次第の動きとなるも、ドル円の下押し局面では買い意欲が強く、クロス円の底堅い動きが続くと見込まれる。最近のドル円は150円を挟んだ狭いレンジ内で振幅しているが、来週は米雇用統計など注目指標も控えていることでレンジを抜け出せるかどうかが注目される。
ポンドは、来週6日に予定されている英政府の春季財政報告で打ち出される予算案に注目。年内実施が見込まれる総選挙を前に、最後となる3月の財政報告の機会を捉えて、与党・保守党の支持率てこ入れを図るために、経済成長押し上げ策として減税が盛り込まれるもよう。英国内の景気低迷や財政赤字拡大により、支持を広げるための「ばらまき」を行う余地はほとんどないが、保守党議員の多くは、有権者の支持拡大に向け新たな減税措置を求めている。イングランド銀行(英中銀、BOE)の景気抑制的な金融政策設定は、向こう数カ月でより緩和的となる財政政策に相反する恐れがあり、政府の予算案次第ではBOEの舵取りを一層難しくさせる可能性がある。
英利下げ時期をめぐる不透明感は根強く、ポンドは経済データや関係者の発言内容に一喜一憂する展開が続く。2月BOE会合で金利の据え置きを主張したラムスデンBOE副総裁は今週も「インフレ圧力は依然として根強く、金融政策の変更にはインフレ見通しに一段の確信が必要」との見解を強調した。今のところ、市場ではBOEが8月に利下げを開始するとの見方が優勢となっている。来週は2月サービス部門PMI改定値や建設業PMIなどの発表が予定されている。
加ドルは方向感の欠ける動きとなっているが、来週はカナダ中銀(BOC)の金融政策会合と2月雇用統計の発表が控えている。政策金利は5会合連続で5.00%に据え置くことが織り込まれており、声明文やマックレムBOC総裁の発言などで利下げ時期のヒントを得られるかが注目される。1月会合では、声明で「経済が想定通りに推移すれば追加利上げの必要はない」と初めて明言し、「今後の議論は現在の景気抑制的なスタンスをいつまで維持するかに移っている」との認識が示された。BOCは今年前半にかけてインフレ率は3%近辺で推移し、年末には2.5%程度、来年に中銀目標の2%に戻ると見込んでいる。2月CPIは前年比2.9%と予想以上に伸びが鈍化し7カ月ぶりの3%を下回った。市場では4月会合での利下げ思惑がくすぶり、6月会合までの利下げを織り込んでいる。また、1月雇用統計では、雇用者数が予想を大幅に上回る3.73万人増となり、失業率は5.7%と1年1カ月ぶりの改善となったが、賃金上昇率はやや鈍化した。2月の雇用データがさえない結果となれば、BOCに利下げのプレッシャーが強まる可能性がある。
2月26日週の回顧
高田日銀審議委員の発言をきっかけに調整の円買いが優勢となり、ポンド円は189円前半、加ドル円は110円前半まで売りに押された。ポンドドルは手がかりが乏しいなか、1.26ドル台で小幅の上下にとどまり、ドル/加ドルも1.35加ドル台で値動きは限られた。カナダの12月GDP、10-12月GDPは強弱まちまちの結果となり反応は限定的となっている。(了)
(松井)
◆ポンド、政府の英春季予算案に注目
◆加ドル、加中銀会合と雇用データに注目
予想レンジ
ポンド円 187.50-192.50円
加ドル円 109.00-112.00円
3月4日週の展望
対円ではドル円次第の動きとなるも、ドル円の下押し局面では買い意欲が強く、クロス円の底堅い動きが続くと見込まれる。最近のドル円は150円を挟んだ狭いレンジ内で振幅しているが、来週は米雇用統計など注目指標も控えていることでレンジを抜け出せるかどうかが注目される。
ポンドは、来週6日に予定されている英政府の春季財政報告で打ち出される予算案に注目。年内実施が見込まれる総選挙を前に、最後となる3月の財政報告の機会を捉えて、与党・保守党の支持率てこ入れを図るために、経済成長押し上げ策として減税が盛り込まれるもよう。英国内の景気低迷や財政赤字拡大により、支持を広げるための「ばらまき」を行う余地はほとんどないが、保守党議員の多くは、有権者の支持拡大に向け新たな減税措置を求めている。イングランド銀行(英中銀、BOE)の景気抑制的な金融政策設定は、向こう数カ月でより緩和的となる財政政策に相反する恐れがあり、政府の予算案次第ではBOEの舵取りを一層難しくさせる可能性がある。
英利下げ時期をめぐる不透明感は根強く、ポンドは経済データや関係者の発言内容に一喜一憂する展開が続く。2月BOE会合で金利の据え置きを主張したラムスデンBOE副総裁は今週も「インフレ圧力は依然として根強く、金融政策の変更にはインフレ見通しに一段の確信が必要」との見解を強調した。今のところ、市場ではBOEが8月に利下げを開始するとの見方が優勢となっている。来週は2月サービス部門PMI改定値や建設業PMIなどの発表が予定されている。
加ドルは方向感の欠ける動きとなっているが、来週はカナダ中銀(BOC)の金融政策会合と2月雇用統計の発表が控えている。政策金利は5会合連続で5.00%に据え置くことが織り込まれており、声明文やマックレムBOC総裁の発言などで利下げ時期のヒントを得られるかが注目される。1月会合では、声明で「経済が想定通りに推移すれば追加利上げの必要はない」と初めて明言し、「今後の議論は現在の景気抑制的なスタンスをいつまで維持するかに移っている」との認識が示された。BOCは今年前半にかけてインフレ率は3%近辺で推移し、年末には2.5%程度、来年に中銀目標の2%に戻ると見込んでいる。2月CPIは前年比2.9%と予想以上に伸びが鈍化し7カ月ぶりの3%を下回った。市場では4月会合での利下げ思惑がくすぶり、6月会合までの利下げを織り込んでいる。また、1月雇用統計では、雇用者数が予想を大幅に上回る3.73万人増となり、失業率は5.7%と1年1カ月ぶりの改善となったが、賃金上昇率はやや鈍化した。2月の雇用データがさえない結果となれば、BOCに利下げのプレッシャーが強まる可能性がある。
2月26日週の回顧
高田日銀審議委員の発言をきっかけに調整の円買いが優勢となり、ポンド円は189円前半、加ドル円は110円前半まで売りに押された。ポンドドルは手がかりが乏しいなか、1.26ドル台で小幅の上下にとどまり、ドル/加ドルも1.35加ドル台で値動きは限られた。カナダの12月GDP、10-12月GDPは強弱まちまちの結果となり反応は限定的となっている。(了)
(松井)