週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英賃金・物価データを確認

◆1月米CPIが米早期利下げ観測の後退を後押しするかに注目
◆ポンド、英賃金・物価データが英中銀の政策見通しに影響
◆加ドル、加中銀の早期利下げ思惑が強く上値は重い

予想レンジ
ポンド円 184.50-190.50円
加ドル円 109.00-112.00円

2月12日週の展望
 米早期利下げ観測が後退するなか、ドルの下値は堅く、主要通貨は対ドルで上値の重い動きが続きそうだ。来週発表される1月米消費者物価指数(CPI)・卸売物価指数(PPI)などの結果次第では利下げ時期への思惑は更に先延ばしされる可能性もある。対円では、ドル円の底堅い動きが引き続き支えとなりそうだが、日銀が早ければ3月にも政策修正に動くとの見方が強まりつつあり、積極的に上値を試す動きにはなりにくく伸び悩む相場展開が見込まれる。

 先週に今年初めてのイングランド銀行(英中銀、BOE)金融政策イベントを通過し、市場では利下げが先送りされるとの見方が高まりポンドは底堅い動き。もっとも金融政策委員会(MPC)メンバー9人のうちハスケル委員とマン委員は利上げを主張したのに対し、ディングラ委員は利下げに票を投じた。同じ会合で利上げと利下げの主張が出たのは世界金融危機初期の2008年8月以来であり、この先のインフレをめぐる不確実性の高さを物語っている。利上げ時期を見極める相場展開が続くなか、来週、英国では1月の賃金・物価データの発表が注目される。

 1月16日に発表された9-11月賃金(除賞与)は前年比6.6%と約1年ぶりの低い伸びとなった一方で、12月消費者物価指数(CPI)は前年比4.0%と10カ月ぶりに伸びが加速した。来週の賃金・物価データがBOEの賃金・インフレ高への懸念を強める結果となれば、市場の利下げ思惑は一段と後退しそうだ。今週に発表された、1月サービス部門PMI改定値は54.3と8カ月ぶりの高い水準。1月建設業PMIも48.8と昨年8月以来の高水準となった。サービス部門PMIは4カ月連続で上昇しており、業況改善が一時的なものではないことも示している。景気後退リスクの緩みはBOEの利下げに対する慎重姿勢を後押ししそうだ。

 来週、カナダ国内では加ドルの動意につながりそうな経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ドル・円相場や原油の動きに左右されそうだ。原油相場は引き続きイスラエルと武装組織ハマスの停戦協議に注目。今週公表のカナダ中銀(BOC)1月会合の議事要旨では、「住宅関連コストの上昇が物価全体を押し上げ続け、賃金の上昇が続いている」ことや、「早過ぎる利下げ」に警戒感が示された。ただ、市場では7月会合での利下げを完全に織り込み、4月会合での利下げ織り込みも4割を超えている。経済が金利上昇の重圧下で苦闘を続けていれば、インフレがまだ3%前後での推移だったとしてもBOCは利下げを決断する可能性はある。

2月5日週の回顧
ドル高の勢いは緩むも、米早期利下げ観測の後退がドルの支えとなるなりそうだ。1月米ISM非製造業景況指数や新規失業保険申請件数などの米指標が予想より強い結果になったこともあり、対ドルでは上値の重い動きが継続。ポンドドルは1.26ドル、ドル/加ドルは1.35加ドルを挟んで上下した。対円では内田日銀副総裁の発言を手がかりとした円売りが見られた。週末にかけては、ポンド円は188円半ば、加ドル円は111円近辺まで上昇した。(了)
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