週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英賃金データやCPIに注目
◆ポンド、英賃金データや10月CPIに注目、当局者はインフレの急低下を示唆
◆ポンド、利下げ思惑が重しに
◆加ドル、労働市場の縮小で金利低下への思惑も
予想レンジ
ポンド円 182.00-188.00円
加ドル円 107.50-111.50円
11月13日週の展望
来週のポンドは、英国の賃金データや消費者物価指数(CPI)が注目となる。特に、CPIは次回の英中銀会合(12月4日に結果公表)前では最後の主要インフレ指標であり、金融政策委員会(MPC)の決定に大きな影響を与えそうだ。
14日発表の雇用関連指標では、7-9月期の「ボーナスを除く平均賃金」が材料視される。前回は前年比7.8%上昇と、5-7月期(統計開始以来で最も高い水準を記録)からは僅かに鈍化した。もっとも、「賃金の伸びはまだ大き過ぎる」とベイリー英中銀(BOE)総裁は述べており、先行きも楽観視していない。一方、15日の10月CPIは大幅な低下が見込まれている。英中銀チーフエコノミストであるピルMPC委員は先日、「前回9月分の前年比6.7%上昇から5%割れまで急低下する」との見通しを示した。エネルギー料金の下落がインフレ減速に寄与するもようだ。
ベイリーBOE総裁も言い続けてきた「顕著なインフレ低下」が現実味を帯びてきたなかで、短期金融市場は来年の英利下げを着実に織り込んできている。政策金利を5.25%で据え置きながらも、MPC委員の三分の一が利上げを主張した2日会合後とは市場の雰囲気は変わってきた。ベイリー総裁は時期尚早としているが、政策の緩和転換への思惑がどこまで高まるのか注視したい。
加ドルも、来年以降のカナダ中銀(BOC)金融政策に対する織り込み度を睨みながら上下する展開となりそうだ。BOCは、先月の会合で2会合連続となる政策金利5.0%での据え置きを全会一致で決定したが、先日公表された議事要旨では、「追加利上げが必要となる可能性」も一部で指摘されていたことが明らかになった。ただ、一方で市場では加金利が先行き低下するとの見方を強めている。米国の金利低下が1つの要因となっているほか、米国同様にカナダも10月雇用統計が低調だったことも影響している。失業率は5.7%と昨年1月以来の水準を記録した。新規雇用者数も前回からの下振れ予想値にも届かなかない悪い数字だった。
来週は、複数の経済指標が発表されるものの強い動意に繋がりそうな指標はない。そのため米金利や大きく売られた原油相場の動向を見極めながらの取引となりそうだ。特に、産油国の減産が続くなか北半球が冬を迎え、「石油需給の逼迫が進む」と言われながらも急落した原油先物には要警戒。原油価格の戻りが鈍いようなら、加ドルは買いづらくなりだろう。
11月6日週の回顧
ポンドは対ドルでは1.24ドル前半、対円でも186円手前まで買いが先行。前週末の低調な米雇用統計を受けた米長期金利の低下によるドル売り、金利低下を好感した株高が円売りに繋がった。もっとも、一巡後は強まる英金利先安観を受けて1.22ドル前半まで反落し、対円でも伸び悩んだ。
加ドルも週明けは対ドルで1.36加ドル前半、対円では109円後半まで加ドル高が進んだ。一巡後は加金利先安観と原油安を背景に、1.38加ドル前半まで加ドル安に振れた。対円でも上昇が一服し、109円台で上下する展開が続いている。(了)
◆ポンド、利下げ思惑が重しに
◆加ドル、労働市場の縮小で金利低下への思惑も
予想レンジ
ポンド円 182.00-188.00円
加ドル円 107.50-111.50円
11月13日週の展望
来週のポンドは、英国の賃金データや消費者物価指数(CPI)が注目となる。特に、CPIは次回の英中銀会合(12月4日に結果公表)前では最後の主要インフレ指標であり、金融政策委員会(MPC)の決定に大きな影響を与えそうだ。
14日発表の雇用関連指標では、7-9月期の「ボーナスを除く平均賃金」が材料視される。前回は前年比7.8%上昇と、5-7月期(統計開始以来で最も高い水準を記録)からは僅かに鈍化した。もっとも、「賃金の伸びはまだ大き過ぎる」とベイリー英中銀(BOE)総裁は述べており、先行きも楽観視していない。一方、15日の10月CPIは大幅な低下が見込まれている。英中銀チーフエコノミストであるピルMPC委員は先日、「前回9月分の前年比6.7%上昇から5%割れまで急低下する」との見通しを示した。エネルギー料金の下落がインフレ減速に寄与するもようだ。
ベイリーBOE総裁も言い続けてきた「顕著なインフレ低下」が現実味を帯びてきたなかで、短期金融市場は来年の英利下げを着実に織り込んできている。政策金利を5.25%で据え置きながらも、MPC委員の三分の一が利上げを主張した2日会合後とは市場の雰囲気は変わってきた。ベイリー総裁は時期尚早としているが、政策の緩和転換への思惑がどこまで高まるのか注視したい。
加ドルも、来年以降のカナダ中銀(BOC)金融政策に対する織り込み度を睨みながら上下する展開となりそうだ。BOCは、先月の会合で2会合連続となる政策金利5.0%での据え置きを全会一致で決定したが、先日公表された議事要旨では、「追加利上げが必要となる可能性」も一部で指摘されていたことが明らかになった。ただ、一方で市場では加金利が先行き低下するとの見方を強めている。米国の金利低下が1つの要因となっているほか、米国同様にカナダも10月雇用統計が低調だったことも影響している。失業率は5.7%と昨年1月以来の水準を記録した。新規雇用者数も前回からの下振れ予想値にも届かなかない悪い数字だった。
来週は、複数の経済指標が発表されるものの強い動意に繋がりそうな指標はない。そのため米金利や大きく売られた原油相場の動向を見極めながらの取引となりそうだ。特に、産油国の減産が続くなか北半球が冬を迎え、「石油需給の逼迫が進む」と言われながらも急落した原油先物には要警戒。原油価格の戻りが鈍いようなら、加ドルは買いづらくなりだろう。
11月6日週の回顧
ポンドは対ドルでは1.24ドル前半、対円でも186円手前まで買いが先行。前週末の低調な米雇用統計を受けた米長期金利の低下によるドル売り、金利低下を好感した株高が円売りに繋がった。もっとも、一巡後は強まる英金利先安観を受けて1.22ドル前半まで反落し、対円でも伸び悩んだ。
加ドルも週明けは対ドルで1.36加ドル前半、対円では109円後半まで加ドル高が進んだ。一巡後は加金利先安観と原油安を背景に、1.38加ドル前半まで加ドル安に振れた。対円でも上昇が一服し、109円台で上下する展開が続いている。(了)