週間為替展望(ポンド/加ドル)-英、マイナス成長リスク再燃

◆ドル高・円安の流れは続くと見込む
◆ポンド、英経済成長への懸念が再燃し上値は重い
◆加ドル、9月会合前の重要指標となる4-6月期GDPに注目

予想レンジ
ポンド円 182.00-188.00円
加ドル円 106.00-110.00円

8月28日週の展望
 米経済状況が他の主要国より良好との見方が強いことや、米長期金利の上昇基調が続いていることで、全般ドルの堅調地合いが続くと見込まれる。中国の景気減速により世界経済への懸念が高まり、リスクオフの円買いには注意が必要だが、金融政策格差を背景とした円売りの動きは変わらず、対円では上方向を意識した動きが続く可能性が高いと見ている。

 先週に発表された英8月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は42.5と2020年5月以来の低水準となったほか、サービス部門PMIは48.7と前月から予想以上に鈍化した。総合PMIは47.9と、以来景気判断の分岐点とされる50を割り込み2021年1月以来の低水準となった。エネルギー価格の下落などで家計消費と企業投資が好調となり、景気後退懸念が和らいていたが、8月PMIの結果を受けて、英経済成長が第3四半期にマイナスに転じる可能性が再燃している。インフレへの懸念は根強く、イングランド銀行(英中銀、BOE)の引き締めは当面続くとの見方が強いものの、PMIの結果は、インフレとの闘いが景気後退リスクという重い代償を伴っていることを示唆している。今週は英国内で主な経済指標や注目のイベントは予定されておらず、さえない8月PMIの余韻が残り、ポンドは上値の重い動きが見込まれる。

 また、人材コンサルタント会社XpertHRが今週に発表した調査によると、英5-7月賃上げ率は前年比+5.7%と、これまで6四半期連続で記録していた過去最高の+6.0%から鈍化した。賃上げ率はピークに達した公算が高く、今後賃上げ率と物価上昇率の格差は縮小する可能性が示された。ポンドは次回のBOE会合を9月21日に控え、英インフレ・雇用データとともに景気動向に一喜一憂する相場展開が続きそうだ。

 加ドルは9月6日にカナダ中銀(BOC)の金融政策会合を控え、政策金利の見通しに変化が出るかどうかが注目される。7月会合後に発表されたカナダの経済指標は強弱まちまちで判断が難しい。6月の雇用データは予想を下回り、5・6月小売売上高も伸びが鈍化した。一方で、7月CPIは予想外に伸びが加速し、BOCがインフレの長期化に懸念を強める可能性がある。今週末には9月会合前の最後の注目指標となる4-6月期GDPの発表が予定されているが、6月の貿易収支は37.3億加ドルの赤字と赤字額は予想を大きく上回り2020年10月以来の水準まで膨らんだ。海外需要の弱まりが輸出に打撃を与え、外需の低迷で第2四半期のGDPは第1四半期から伸びの鈍化が予想される。更には、中国リスクへの懸念が高まるかどうかにも注目したい。

8月21日週の回顧
 英8月PMIが弱い結果になったことを受けて、ポンドドルは1.26ドル割れまで下押し。ポンド円は186.77円まで年初来高値を更新した後、一時183円前半まで失速した。加ドルは新規の手がかりが乏しいなか、方向感に欠ける動き。

 ドル/加ドルは1.35加ドル台、加ドル円は107円台を中心に小幅の上下に始終した。(了)
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