週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、中銀の政策スタンス模索

◆ポンド、英中銀の政策スタンスを探りながらの動き続く
◆対円では本邦長期金利、対ドルでは米金利の方向性を注視
◆加ドル、加雇用統計の影響残る

予想レンジ
ポンド円 177.50-184.00円
加ドル円 105.00-109.00円

8月7日週の展望

 イングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策イベントを通過したポンドだが、今後の政策スタンスを探りながらの動きが続きそうだ。ただ、来週は対円では、市場のリスクセンチメントや本邦長期金利の動向、対ドルでは米金利の方向性を見据えながらの売買となるだろう。英中銀は10日、金融政策委員会(MPC)で政策金利を5.00%から5.25%に引き上げることを決定した。引き上げ幅は市場の予想通りだった。ただ、MPC内で0.25%利上げに同意したのは9人中、ベイリーBOE総裁も含めて6人。他はハスケル、マン両委員が前回に続いて0.5%利上げを主張。一方で、ディングラ委員は据え置きを主張した。MPC内で意見が3つに分かれたのは今年初めてであり、見解の相違が浮き彫りとなった。声明では、足もとで7.9%まで低下してきた消費者物価指数(CPI)が「今年末に5%付近まで鈍化すると」述べている。また、「インフレは2025年第2四半期には目標の2%まで戻る」との見通しを示している。インフレのリスクは減少したものの、24年と25年の英成長率は下方修正。住宅投資なども大幅に減少するとの予想だ。また、今後2年間の失業率は悪化基調が続くとしており、ベイリー総裁にとって気を抜けない状況が続きそうだ。

 ポンド円は、日銀会合の結果公表後から荒い値動きが続いており、引き続き神経質な動きとなりそうだ。今週は買い優勢が続くも、週半ばから広がったリスク回避ムードで上値を切り下げた。まだ暫くは株価動向を眺め、本邦長期金利を巡る市場と日銀のせめぎ合いのなかで右往左往させられるのではないか。ポンドドルは週後半に発表される米国のインフレ指標が材料視されるだろう。それまでは英金利と米金利の強弱を見定めながらの動き。10日の7月米消費者物価指数(CPI)を待ちたいところだ。

 加ドルは4日発表の7月カナダ雇用統計を受けた流れが続きそうだ。市場のセンチメントが弱含むなかで6月からの悪化が予想されており、悪い結果には敏感に反応する可能性が高い。ただ、7日は祝日で休場となっており、週初の流動性の薄さには注意しておきたい。連休明けに発表される6月カナダ貿易収支にも注意する必要がある。前回5月の結果が10億加ドル超の黒字予想から34億加ドルを超える赤字となり、加ドルの重しとなったからだ。また、ポンドドル同様に10日の米CPIは要注意だろう。そのほか、サウジアラビアが自主減産の延長を表明したことで反発した原油相場の動向も、産油国通貨である加ドルに影響を与えるだろう。

7月31日週の回顧

 ポンド、加ドルともに対円では買いが先行。それぞれ180円後半から183円前半、106円前半から108円前半まで上昇した。日銀の臨時オペが円安加速に繋がった。ただ週半ばからリスクオフに傾き、それぞれ180円半ば、106円半ばまで下落した。ポンドドルは1.28ドル台からじり安となり、英中銀の政策発表後に1.26ドル前半まで売られる場面があった。
 
 加ドルは対ドルで1.31加ドル半ばから1.33加ドル後半まで加ドル安が進行。ドル高の流れに歩調を合わせた。(了)
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