週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、中銀の金融政策に注目

◆ポンド、ドルの動きや市場のセンチメントの変化に左右か
◆英景気減速懸念の後退は下支えの材料も一段の上昇要因とはなりにくい
◆加ドル、BOCの金融政策決定会合に注目

予想レンジ
ポンド円 160.50-166.50円
加ドル円 96.00-100.00円

4月10日週の展望
 来週、英国内では主な経済指標の発表や注目のイベントは予定されておらず、ポンドはドルの動きや市場のセンチメントの変化に影響される相場が続きそうだ。足もとでポンドは対ドル・対円で底堅い動きも、ポンド独自に特段の買い材料があったわけではなく、欧米金融不安への懸念が和らいだことや、弱い米経済指標を受けて全般ドルが軟調な動きとなったことが支えとなった。

 市場では、英経済減速に対する警戒感が後退しているが、イングランド銀行(英中銀、BOE)を始め、多くの市場関係者は今年のマイナス成長予想を維持している。英景気減速への過度な懸念の後退はポンドの下支え材料にはなっても、一段の上昇要因とはなりにくい。3月に金融システム不安が高まったこともあり、BOEの金融政策見通しに不透明感が増しているが、5月会合では0.25%の追加利上げを実施する可能性が高い。英経済指標やBOE金融政策委員会(MPC)メンバーらの発言に左右されながら、追加利上げの可能性を見極める相場展開が予想される。

 加ドルは、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ停止の思惑も根強く、ドルの上値が重いなか、欧米銀行セクターに絡んだリスクオフの動きが和らいだことや、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成するOPECプラスの協調減産決定による原油相場の堅調な動きが下支えとなる。2日の予想外の協調減産に伴った原油価格の上昇は一段落したが、短期的には夏のドライブシーズンに向けて需要の増加が見込まれ、原油相場の底堅い動きが見込まれる。

 また、来週は12日のカナダ中銀(BOC)金融政策会合に注目。政策金利は3月会合同様に4.50%に据え置くことが見込まれる。BOCは3月会合で「データ次第では利上げ再開の可能性」を示唆したが、その後に発表された2月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.2%と13カ月ぶりの低水準を記録した。3月製造業購買担当者景況感指数(PMI)も48.6と約3年ぶりの低水準となり、経済の不透明さが生産と新規受注を圧迫していることを裏付ける内容となった。3月会合後に欧米金融不安が強まったことや、政策金利の上昇が住宅ローンの利払い負担増加を通じて家計を圧迫し、内需を抑制するリスクが高まったことをかんがみると、来週の会合では利上げ局面の終焉を示唆するなど、声明の内容がハト派寄りに傾く可能性もある。加ドルへの売り圧力となりそうだ。

4月3日週の回顧
 欧米金融不安への警戒感が和らぐなか弱い米経済指標を背景に全般ドルが重い動き。ポンドは底堅かった。ポンドドルは昨年6月以来の1.25ドル台復帰を果たし、ポンド円は一時166円前半まで強含んだ。3月英建設業購買担当者景気指数(PMI)は予想比下振れの50.7となったが反応は限定的。
 加ドルはOPECプラスの協調減産決定を受けた原油高が支えとなった。ドル/加ドルは1.3400加ドル近辺まで加ドル高が進み、加ドル円は一時99円前半まで強含んだ。カナダの3月新規雇用者数変化が3.47万人増、同失業率は5.0%と予想より強い結果となった。(了)
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