週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英中銀の金融政策に注目
◆ポンド、難しい判断が迫られるなかでの英金融政策に注目
◆ポンド、政府の見込み通りリセッション回避なら下値は限定的
◆加ドル、リスクセンチメントの強弱を見定め
予想レンジ
ポンド円 158.50-165.50円
加ドル円 95.50-99.50円
3月20日週の展望
ポンドは英中銀金融政策委員会(MPC)の決定内容が注目される。結果は23日に明らかにされるが、どのような手段を取るかの議論は週初に行われ、ベイリー英中銀総裁の提案に対するMPC委員の投票は公表前日に実施。その投票日(今回は22日)の朝には2月英消費者物価指数(CPI)が発表されるものの、結果がどの程度まで委員の考えに影響を与えるかは不透明だ。
先月に公表された1月英CPIは前年比10%台と高い水準だったものの、14日発表の3カ月間・週平均賃金(賞与を除く)は前年比で2021年後半以来では初めて鈍化傾向を示した。今月初めにベイリー総裁は、「不確実性が残る」としながらも「利上げ終了の可能性は排除しない」ことを示唆。今のところ市場は、MPCがタカ派寄りに傾く可能性は少ないと見ている。
今回の金融政策の判断を難しくしているのが、欧米金融市場でシステミックリスクへの警戒感が高まっていること。米銀の連鎖破綻で強まった市場の不安は欧州にも波及しつつある。13日週に市場を振り回した金融大手クレディ・スイスは、もともと財務に問題ありとされていたが、欧州中央銀行(ECB)は他にも脆弱な銀行がある可能性を指摘。英国はブレグジット後も欧州金融の中心であり、今後の状況次第では英中銀が金融不安の打ち消しを迫られるかもしれない。なお、年初に大勢が予想していた「2023年の英リセッション(景気後退)入り」だが、ハント英財務相は議会演説でそれを否定した。今年の経済成長率はマイナスではあるものの、想定よりもかなり小幅に留まる見込みのようだ。政府の期待通りとなれば、ポンドの下値も限定されそうだ。
加ドルは市場のリスクセンチメントの強弱を見定めながらの値動きとなるだろう。金融不安はコモディティ価格にも影響を与えており、NY原油先物は2021年後半以来の水準まで売り込まれた。原油価格が伸び悩むようだと加ドルの反発力は弱くなりそう。カナダの経済指標では、21日に発表される2月CPIでインフレの鈍化傾向を確認することになる。そして更に重要なのが、日本時間23日未明に公表される米国の金融政策だろう。金融情勢次第では想定以上にハト派色を強める可能性も出てきており、結果を受けたドル相場の動きに加ドルも影響される可能性が高い。
3月13日週の回顧
ポンド円は荒い値動き。米銀の連鎖破綻を受けたリスク回避の動きから週初は160円手前まで売られた。一旦は材料出尽くし感から164円台まで大きく反発も、クレディ・スイスの営不安をきっかけに一時158円台まで大幅下落。その後に米銀の信用不安が和らぐと大きく反発した。加ドル円もリスクセンチメントの悪化で96円割れを覗いた後に、98円後半まで切り返した。金融不安が再燃すると再び95円台まで売り込まれるも、リスク回避の後退で持ち直した。
ポンドドルは米金利低下を背景に1.22ドルまで上昇。ただ、金融リスクが欧州にまで波及するとの懸念から一時1.20ドル前半まで反落した。加ドルも1.36加ドル半ばまでドル売り加ドル買いが先行。一巡後は軟調な原油相場も重しとなり、1.38加ドル台まで加ドル安に傾いた。(了)
◆ポンド、政府の見込み通りリセッション回避なら下値は限定的
◆加ドル、リスクセンチメントの強弱を見定め
予想レンジ
ポンド円 158.50-165.50円
加ドル円 95.50-99.50円
3月20日週の展望
ポンドは英中銀金融政策委員会(MPC)の決定内容が注目される。結果は23日に明らかにされるが、どのような手段を取るかの議論は週初に行われ、ベイリー英中銀総裁の提案に対するMPC委員の投票は公表前日に実施。その投票日(今回は22日)の朝には2月英消費者物価指数(CPI)が発表されるものの、結果がどの程度まで委員の考えに影響を与えるかは不透明だ。
先月に公表された1月英CPIは前年比10%台と高い水準だったものの、14日発表の3カ月間・週平均賃金(賞与を除く)は前年比で2021年後半以来では初めて鈍化傾向を示した。今月初めにベイリー総裁は、「不確実性が残る」としながらも「利上げ終了の可能性は排除しない」ことを示唆。今のところ市場は、MPCがタカ派寄りに傾く可能性は少ないと見ている。
今回の金融政策の判断を難しくしているのが、欧米金融市場でシステミックリスクへの警戒感が高まっていること。米銀の連鎖破綻で強まった市場の不安は欧州にも波及しつつある。13日週に市場を振り回した金融大手クレディ・スイスは、もともと財務に問題ありとされていたが、欧州中央銀行(ECB)は他にも脆弱な銀行がある可能性を指摘。英国はブレグジット後も欧州金融の中心であり、今後の状況次第では英中銀が金融不安の打ち消しを迫られるかもしれない。なお、年初に大勢が予想していた「2023年の英リセッション(景気後退)入り」だが、ハント英財務相は議会演説でそれを否定した。今年の経済成長率はマイナスではあるものの、想定よりもかなり小幅に留まる見込みのようだ。政府の期待通りとなれば、ポンドの下値も限定されそうだ。
加ドルは市場のリスクセンチメントの強弱を見定めながらの値動きとなるだろう。金融不安はコモディティ価格にも影響を与えており、NY原油先物は2021年後半以来の水準まで売り込まれた。原油価格が伸び悩むようだと加ドルの反発力は弱くなりそう。カナダの経済指標では、21日に発表される2月CPIでインフレの鈍化傾向を確認することになる。そして更に重要なのが、日本時間23日未明に公表される米国の金融政策だろう。金融情勢次第では想定以上にハト派色を強める可能性も出てきており、結果を受けたドル相場の動きに加ドルも影響される可能性が高い。
3月13日週の回顧
ポンド円は荒い値動き。米銀の連鎖破綻を受けたリスク回避の動きから週初は160円手前まで売られた。一旦は材料出尽くし感から164円台まで大きく反発も、クレディ・スイスの営不安をきっかけに一時158円台まで大幅下落。その後に米銀の信用不安が和らぐと大きく反発した。加ドル円もリスクセンチメントの悪化で96円割れを覗いた後に、98円後半まで切り返した。金融不安が再燃すると再び95円台まで売り込まれるも、リスク回避の後退で持ち直した。
ポンドドルは米金利低下を背景に1.22ドルまで上昇。ただ、金融リスクが欧州にまで波及するとの懸念から一時1.20ドル前半まで反落した。加ドルも1.36加ドル半ばまでドル売り加ドル買いが先行。一巡後は軟調な原油相場も重しとなり、1.38加ドル台まで加ドル安に傾いた。(了)