週間為替展望(ポンド/加ドル)-英経済への悲観的な見方、ポンドの重しに
◆ポンド、英国経済に対する悲観的な見方が重し
◆ポンド、外部要因にも振らされる展開
◆BOC、12月雇用統計を受けた流れが継続か
予想レンジ
ポンド円 155.00-162.00円
加ドル円 95.00-101.00円
1月9日週の展望
ポンドは外部要因に振らされながらも上値は限定的か。英国経済に対する悲観的な見方は根強く、ポンドの重しとなりそうだ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は年始の記事で、有力エコノミストを対象とした調査結果を発表。英国に関しては「インフレショックが他地域よりも長引く」との予想が多かった。そのためイングランド銀行(英中銀、BOE)は金利を高く維持する必要があり、英政府も厳しい財政政策を取らざるを得なくなるとしている。2023年の成長率予測を比較しても、英国は1%減、一方でユーロ圏は0.1%減に留まり、米国は0.25%の微増。各国にそれぞれ課題はあるとしても、主要7カ国(G7)の中で英国は「最悪・最長のリセッション(景気後退)に直面する」との見通しだ。
インフレ以外で英国にとって成長の足かせとなっているのが欧州連合離脱(ブレグジット)の影響だろう。蓄積されてきた同国貿易へのダメージを減少させるためには、北アイルランド問題の早期解決が望まれる。事態打開に向けた英・EUの交渉が今後はより注目されるのではないか。
なお、今週は13日の11月鉱工業生産や同月国内総生産(GDP)までは重要な英経済指標は予定されておらず、ポンドは暫く前週発表の米雇用統計を受けた流れを引き継ぐことになりそうだ。また、対円では18日に日銀金融政策決定会合の結果公表を控え、年末年始で材料視された「日銀に対し金融緩和修正への圧力が高まる可能性」という思惑にも右往左往させられそうだ。
加ドルは6日発表の12月カナダ雇用統計の影響が残りそうだ。失業率は6・7月に記録した4.9%を底に低下一服だが、5%台前半と良好な水準を保っている。インフレピークアウトの兆候はあるが下げ止まり感も出つつあるなか、労働市場の強さが確認できるようだと、今月下旬に控えるカナダ中銀(BOC)会合に対する追加利上げ観測も高まってくるだろう。
対円ではやはり、「本邦金融当局の次の行動」を気にしながらの値動きとなりそう。「日銀が物価見通しの上方修正を検討」との観測報道を背景とした円買いは一旦落ち着いた。注目は、市場と対話できていないと批判された黒田日銀総裁が何かしらのサインを出してくるかだろう。
12月26日・1月2日週の回顧
ポンド、加ドルとも対円で荒い動きが続いた。ポンド円は162円台を戻りの高値に年末には157円台まで、加ドル円も99円台から96円台まで下落した。「日銀への政策修正圧力が増す可能性」との観測報道が円買いのきっかけとなった。年明けも上値が重く始まり、ポンド円は昨年9月下旬以来となる155円前半まで、加ドル円も昨年3月以来の95円半ばまで下げ足を速めた。もっとも本邦勢が参入した4日以降は底堅さを取り戻し、下値を切り上げている。
ポンドは対ドルでは1.20ドル台を中心とした推移が続くも、全般ドル買いが強まると1.19ドル割れまでポンド安ドル高が進行した。加ドルは対ドルでは1.34加ドル台から1.36加ドル台で上下。米長期金利の動向を眺めながらの動きが続いた。(了)
◆ポンド、外部要因にも振らされる展開
◆BOC、12月雇用統計を受けた流れが継続か
予想レンジ
ポンド円 155.00-162.00円
加ドル円 95.00-101.00円
1月9日週の展望
ポンドは外部要因に振らされながらも上値は限定的か。英国経済に対する悲観的な見方は根強く、ポンドの重しとなりそうだ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は年始の記事で、有力エコノミストを対象とした調査結果を発表。英国に関しては「インフレショックが他地域よりも長引く」との予想が多かった。そのためイングランド銀行(英中銀、BOE)は金利を高く維持する必要があり、英政府も厳しい財政政策を取らざるを得なくなるとしている。2023年の成長率予測を比較しても、英国は1%減、一方でユーロ圏は0.1%減に留まり、米国は0.25%の微増。各国にそれぞれ課題はあるとしても、主要7カ国(G7)の中で英国は「最悪・最長のリセッション(景気後退)に直面する」との見通しだ。
インフレ以外で英国にとって成長の足かせとなっているのが欧州連合離脱(ブレグジット)の影響だろう。蓄積されてきた同国貿易へのダメージを減少させるためには、北アイルランド問題の早期解決が望まれる。事態打開に向けた英・EUの交渉が今後はより注目されるのではないか。
なお、今週は13日の11月鉱工業生産や同月国内総生産(GDP)までは重要な英経済指標は予定されておらず、ポンドは暫く前週発表の米雇用統計を受けた流れを引き継ぐことになりそうだ。また、対円では18日に日銀金融政策決定会合の結果公表を控え、年末年始で材料視された「日銀に対し金融緩和修正への圧力が高まる可能性」という思惑にも右往左往させられそうだ。
加ドルは6日発表の12月カナダ雇用統計の影響が残りそうだ。失業率は6・7月に記録した4.9%を底に低下一服だが、5%台前半と良好な水準を保っている。インフレピークアウトの兆候はあるが下げ止まり感も出つつあるなか、労働市場の強さが確認できるようだと、今月下旬に控えるカナダ中銀(BOC)会合に対する追加利上げ観測も高まってくるだろう。
対円ではやはり、「本邦金融当局の次の行動」を気にしながらの値動きとなりそう。「日銀が物価見通しの上方修正を検討」との観測報道を背景とした円買いは一旦落ち着いた。注目は、市場と対話できていないと批判された黒田日銀総裁が何かしらのサインを出してくるかだろう。
12月26日・1月2日週の回顧
ポンド、加ドルとも対円で荒い動きが続いた。ポンド円は162円台を戻りの高値に年末には157円台まで、加ドル円も99円台から96円台まで下落した。「日銀への政策修正圧力が増す可能性」との観測報道が円買いのきっかけとなった。年明けも上値が重く始まり、ポンド円は昨年9月下旬以来となる155円前半まで、加ドル円も昨年3月以来の95円半ばまで下げ足を速めた。もっとも本邦勢が参入した4日以降は底堅さを取り戻し、下値を切り上げている。
ポンドは対ドルでは1.20ドル台を中心とした推移が続くも、全般ドル買いが強まると1.19ドル割れまでポンド安ドル高が進行した。加ドルは対ドルでは1.34加ドル台から1.36加ドル台で上下。米長期金利の動向を眺めながらの動きが続いた。(了)