週間為替展望(ポンド/加ドル)- 薄商いのなか、乱高下に警戒
◆ポンド、英10月CPIを見極めることに
◆ポンド、新規材料に乏しく方向感出にくい
◆BOC、1月会合は利上げと据え置き予想が拮抗
予想レンジ
ポンド円 156.00-164.00円
加ドル円 94.00-100.00円
12月26日・1月2日週の展望
年内の注目イベントはほぼ終了し、為替相場全体に新規の手がかりは乏しい。今週は日銀が長期金利の許容変動幅の拡大を決定し、政策のサプライズ修正を行ったことを受けて、ドル円が1日で約7円急落。クロス円も大幅安となった。市場は「事実上の利上げ」と認識し、引き締めへの舵を切ったとも受け止めているが、日銀は国債買い入れ額の増額を決定するなど緩和方向の施策も打ち出している。日銀の緩和策修正の余波が残り、引き続き円を中心に相場が乱高下する可能性もある。警戒が必要だろう。2019年1月3日早朝、ドル円がわずか5分程度で4円の急落と「フラッシュ・クラッシュ」が起きたことはまだ記憶に新しい。
ポンドは年末年始にかけて新規材料に乏しく、対ドルでは米長期金利の動向をにらんだドルの動きに左右されやすい。全般ドル高が緩んでいる一方で、ポンドは英経済への根強い懸念が上値を圧迫しており、大きな方向感は出にくい。対円ではドル円の影響を受ける動きが続きそうで、ドル円の乱高下に注意。英労働市場は依然として非常にタイトであり、物価上昇圧力は続いている。ただ、景気後退が鮮明になっており、イングランド銀行(英中銀、BOE)は4%を大きく上回る水準まで利上げを行うのは困難である。英経済は高インフレによる実質所得急減により、景気後退はすでに始まっている。景気後退の後には停滞の期間が続くとの見方が多く、英経済をめぐる楽観的な要素は見出し難い。
一方で、英国が欧州連合(EU)離脱後、北アイルランド問題は両者の関係に影を落としたが、双方は来年2月までに事態打開に向けて動いている。最近滞っていた交渉を加速させ、事態打開に前向きになっているもよう。英シンクタンク、欧州改革センター(CER)の報告では、英経済はEU離脱でGDPは5.5%程度押し下げられたとの見方を示している。北アイルランド問題を円満に解決し、両者が関係を修復し協力を強めることが期待されている。
加ドルは、中国経済の回復期待が高まっていることも支えとなり、12月初旬に年初来安値を更新した原油相場が下げ渋っている。売り圧力が後退し、対ドルでは底堅い動きが見込まれる。対円ではドル円につれる動きが続きそうだ。今週に発表された11月消費者物価指数(CPI)は前年比6.8%と前月の6.9%からわずかに伸びが鈍化したが、カナダ中銀(BOC)が注視するCPIトリム平均は5.2%と10月の5.1%を上回った。指標はインフレのピークは過ぎたがなお熱が冷めていないことを示唆しており、BOCは来年1月会合で0.25%の追加利上げを実施する余地が残された。短期金融市場では1月の0.25%利上げ予想が約4割超と、据え置き予想とほぼ拮抗している。
12月19日週の回顧
対ドルでは手がかりが乏しいなか、ポンドドルは1.21ドル、ドル/加ドルは1.36加ドルを挟んで上下し、方向感に欠ける動きとなった。日銀が長期金利の許容変動幅を拡大したことを受けて円が急騰。ポンド円は158円半ば、加ドル円は95円後半まで急落した。(了)
◆ポンド、新規材料に乏しく方向感出にくい
◆BOC、1月会合は利上げと据え置き予想が拮抗
予想レンジ
ポンド円 156.00-164.00円
加ドル円 94.00-100.00円
12月26日・1月2日週の展望
年内の注目イベントはほぼ終了し、為替相場全体に新規の手がかりは乏しい。今週は日銀が長期金利の許容変動幅の拡大を決定し、政策のサプライズ修正を行ったことを受けて、ドル円が1日で約7円急落。クロス円も大幅安となった。市場は「事実上の利上げ」と認識し、引き締めへの舵を切ったとも受け止めているが、日銀は国債買い入れ額の増額を決定するなど緩和方向の施策も打ち出している。日銀の緩和策修正の余波が残り、引き続き円を中心に相場が乱高下する可能性もある。警戒が必要だろう。2019年1月3日早朝、ドル円がわずか5分程度で4円の急落と「フラッシュ・クラッシュ」が起きたことはまだ記憶に新しい。
ポンドは年末年始にかけて新規材料に乏しく、対ドルでは米長期金利の動向をにらんだドルの動きに左右されやすい。全般ドル高が緩んでいる一方で、ポンドは英経済への根強い懸念が上値を圧迫しており、大きな方向感は出にくい。対円ではドル円の影響を受ける動きが続きそうで、ドル円の乱高下に注意。英労働市場は依然として非常にタイトであり、物価上昇圧力は続いている。ただ、景気後退が鮮明になっており、イングランド銀行(英中銀、BOE)は4%を大きく上回る水準まで利上げを行うのは困難である。英経済は高インフレによる実質所得急減により、景気後退はすでに始まっている。景気後退の後には停滞の期間が続くとの見方が多く、英経済をめぐる楽観的な要素は見出し難い。
一方で、英国が欧州連合(EU)離脱後、北アイルランド問題は両者の関係に影を落としたが、双方は来年2月までに事態打開に向けて動いている。最近滞っていた交渉を加速させ、事態打開に前向きになっているもよう。英シンクタンク、欧州改革センター(CER)の報告では、英経済はEU離脱でGDPは5.5%程度押し下げられたとの見方を示している。北アイルランド問題を円満に解決し、両者が関係を修復し協力を強めることが期待されている。
加ドルは、中国経済の回復期待が高まっていることも支えとなり、12月初旬に年初来安値を更新した原油相場が下げ渋っている。売り圧力が後退し、対ドルでは底堅い動きが見込まれる。対円ではドル円につれる動きが続きそうだ。今週に発表された11月消費者物価指数(CPI)は前年比6.8%と前月の6.9%からわずかに伸びが鈍化したが、カナダ中銀(BOC)が注視するCPIトリム平均は5.2%と10月の5.1%を上回った。指標はインフレのピークは過ぎたがなお熱が冷めていないことを示唆しており、BOCは来年1月会合で0.25%の追加利上げを実施する余地が残された。短期金融市場では1月の0.25%利上げ予想が約4割超と、据え置き予想とほぼ拮抗している。
12月19日週の回顧
対ドルでは手がかりが乏しいなか、ポンドドルは1.21ドル、ドル/加ドルは1.36加ドルを挟んで上下し、方向感に欠ける動きとなった。日銀が長期金利の許容変動幅を拡大したことを受けて円が急騰。ポンド円は158円半ば、加ドル円は95円後半まで急落した。(了)