週間為替展望(ポンド/加ドル)-加ドル、CPIなど注目材料多い
◆主要中銀の利上げ終焉が視野に、円安の一段の調整を見極め
◆ポンド、方向感出にくい。利上げをめぐり意見分かれる
◆加ドル、11月CPIなどに注目
予想レンジ
ポンド円 163.50-170.50円
加ドル円 98.50-102.50円
12月19日週の展望
主要中銀による今年最後の金融政策会合が終わり、クリスマスと年末年始に向けて新規材料は乏しい。ドル高相場は終わりつつあるような印象もあるが、ドル安に転換したと言うのはまだ早い。ポンドは対ドルで下方向への警戒感は緩んだが、ポンド独自にも買い材料は乏しく、積極的に上値を追う展開にはなりにくいだろう。対円では主要中銀の利上げ終焉の可能性が強まっていることもあり、金利差拡大を意識した円安は一巡。徐々に円買い圧力が強まるかを見極めたい。
イングランド銀行(英中銀、BOE)は今週、市場予想通りに政策金利を0.50%引き上げ3.50%に決定した。声明では、「労働市場は依然逼迫しており、国内の物価と賃金に関しインフレ圧力が一段と持続性を増していることを示す証拠が出ている」とし、「一段の利上げが必要になる可能性」を表明した。今回の会合では、6人が0.50%、1人が0.75%の利上げを支持したが、2人は上げを完全に停止する時が来たと据え置きを主張した。利上げをめぐるメンバーの意見が分かれており、今後の利上げ予測は難しくなった。市場では来年の上半期に4.00%をピークに利上げを停止し、早ければ2024年にも利下げに転じる可能性があるとの見方は少なくない。
また、加国内では来週、10月の小売売上高やGDP、11月の消費者物価指数(CPI)など、複数の注目指標の発表が予定されている。カナダ中銀(BOC)は3月から7会合連続で利上げを実施し、政策金利を0.25%から4.25%に引き上げた。急激な利上げは住宅市場に調整をもたらし、個人消費にも影響が出始めつつあり、利上げの遅延効果が今後景気の重荷になる可能性が高まっている。BOCは「利上げサイクルが終焉に向かいつつある」としながらも、「利上げが不十分なら物価が高止まりしインフレ定着となれば、物価安定にはるかに高い金利が必要になる」と警戒感を示している。データ次第では利上げを継続せざるを得なくなる可能性があり、CPIなどの指標結果に注目している。加ドルは値動きが緩やかながらも上値の重い動きが見込まれる。
加ドルは、産油国通貨として引き続き原油相場の動向にも注目。NY原油先物は先週に年初来安値を更新するも70ドルの大台割れを回避。今週は中国の経済回復も支えに買い戻しが優勢となっている。ただ、世界的な景気後退懸念は根強く、石油輸出国機構(OPEC)は23年1-3月期の石油需要予測を下方修正した。下方向への警戒感は払しょくされていないものの、中国の需要回復期待と季節的な需要増加を要因に原油相場に買い戻しが続けば、加ドルの下支えとなりそうだ。
12月12日週の回顧
対ドルでは「行って来い」の相場となった。11月米CPIを受けてドル売りが先行するもFOMCを通過した後はドルの買い戻しが優勢。ポンドドルは1.24ドル半ばまで上昇した後、1.21ドル半ばに押し戻された。BOEメンバー2人が金利の据え置きを主張したこともポンドの売りを強めた。ドル/加ドルは1.36加ドルを挟んでの上下にとどまった。対円ではドル円の動きに連動して上下し、方向感は限定的。ポンド円は169円前半、加ドル円は101円前半を頭に伸び悩んだ。(了)
◆ポンド、方向感出にくい。利上げをめぐり意見分かれる
◆加ドル、11月CPIなどに注目
予想レンジ
ポンド円 163.50-170.50円
加ドル円 98.50-102.50円
12月19日週の展望
主要中銀による今年最後の金融政策会合が終わり、クリスマスと年末年始に向けて新規材料は乏しい。ドル高相場は終わりつつあるような印象もあるが、ドル安に転換したと言うのはまだ早い。ポンドは対ドルで下方向への警戒感は緩んだが、ポンド独自にも買い材料は乏しく、積極的に上値を追う展開にはなりにくいだろう。対円では主要中銀の利上げ終焉の可能性が強まっていることもあり、金利差拡大を意識した円安は一巡。徐々に円買い圧力が強まるかを見極めたい。
イングランド銀行(英中銀、BOE)は今週、市場予想通りに政策金利を0.50%引き上げ3.50%に決定した。声明では、「労働市場は依然逼迫しており、国内の物価と賃金に関しインフレ圧力が一段と持続性を増していることを示す証拠が出ている」とし、「一段の利上げが必要になる可能性」を表明した。今回の会合では、6人が0.50%、1人が0.75%の利上げを支持したが、2人は上げを完全に停止する時が来たと据え置きを主張した。利上げをめぐるメンバーの意見が分かれており、今後の利上げ予測は難しくなった。市場では来年の上半期に4.00%をピークに利上げを停止し、早ければ2024年にも利下げに転じる可能性があるとの見方は少なくない。
また、加国内では来週、10月の小売売上高やGDP、11月の消費者物価指数(CPI)など、複数の注目指標の発表が予定されている。カナダ中銀(BOC)は3月から7会合連続で利上げを実施し、政策金利を0.25%から4.25%に引き上げた。急激な利上げは住宅市場に調整をもたらし、個人消費にも影響が出始めつつあり、利上げの遅延効果が今後景気の重荷になる可能性が高まっている。BOCは「利上げサイクルが終焉に向かいつつある」としながらも、「利上げが不十分なら物価が高止まりしインフレ定着となれば、物価安定にはるかに高い金利が必要になる」と警戒感を示している。データ次第では利上げを継続せざるを得なくなる可能性があり、CPIなどの指標結果に注目している。加ドルは値動きが緩やかながらも上値の重い動きが見込まれる。
加ドルは、産油国通貨として引き続き原油相場の動向にも注目。NY原油先物は先週に年初来安値を更新するも70ドルの大台割れを回避。今週は中国の経済回復も支えに買い戻しが優勢となっている。ただ、世界的な景気後退懸念は根強く、石油輸出国機構(OPEC)は23年1-3月期の石油需要予測を下方修正した。下方向への警戒感は払しょくされていないものの、中国の需要回復期待と季節的な需要増加を要因に原油相場に買い戻しが続けば、加ドルの下支えとなりそうだ。
12月12日週の回顧
対ドルでは「行って来い」の相場となった。11月米CPIを受けてドル売りが先行するもFOMCを通過した後はドルの買い戻しが優勢。ポンドドルは1.24ドル半ばまで上昇した後、1.21ドル半ばに押し戻された。BOEメンバー2人が金利の据え置きを主張したこともポンドの売りを強めた。ドル/加ドルは1.36加ドルを挟んでの上下にとどまった。対円ではドル円の動きに連動して上下し、方向感は限定的。ポンド円は169円前半、加ドル円は101円前半を頭に伸び悩んだ。(了)