週間為替展望(ポンド/加ドル)-BOE会合、議事要旨内容に注目

◆BOE、0.50%の利上げ織込むなか議事要旨の内容に注目
◆ポンド、ショートカバーが続くも上値余地は限定か
◆加ドル、利上げサイクル停止の可能性や原油安を意識

予想レンジ
ポンド円 163.00-170.00円
加ドル円 99.00-103.00円

12月12日週の展望
 来週、英国内では11月の雇用・物価データや12月製造業・サービス部門PMI速報値など注目の経済指標が多数予定されているが、市場の目線はやはりイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策会合に向けられている。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)理事会も予定されており、ポンドは内外要因で神経質な動きとなりそうだ。

 BOEは来週の会合で0.50%の利上げを実施し、政策金利を3.50%に切り上げることが見込まれている。11月会合後に市場は利上げのピークを4.5%程度と見込んでいたが、最近は3.50-3.75%程度に低下している。12月会合若しくは来年2月会合を最後に利上げサイクルはいったん終焉に向かうとの見方も出ており、議事要旨の内容に注目が集まっている。なお、BOEは11月から国債の売却を開始しているが、来年の売却計画については来週の会合で公表される予定だ。

 ドル高の一服感も支えにポンドはショートカバーが優勢となっているが、スナク政権の緊縮予算が英経済のさらなる悪化につながるとの警戒感もあり、上値余地は限られそうだ。今後の米金融引き締めをめぐり不透明感が増しているが、BOEはFRB(米連邦準備制度)より早い段階で利上げを停止するとの見方が強く、米英の金融政策の格差がポンドの上値圧迫要因となりやすい。英国の物価の高止まりに景気の減速と、ポンドを取り巻く環境は厳しさが続きそうだ。

 加ドルは今週、カナダ中銀(BOC)の政策会合を通過し、来週はFOMCの結果公表を受けたドルの動きや、昨年12月以来の安値水準まで下落したNY原油先物の動きに注目。世界経済の先行きに対する警戒感でリスク資産からの逃避が広がるなか、原油市場の投資家が出口に向かっているとの声が聞こえており、原油相場の一段安に警戒。

 BOCは今週の会合で0.50%の利上げに踏み切り、「成長は引き続き好調で労働市場は逼迫している」と指摘しつつも、利上げサイクルが終了に近づいている可能性も示唆した。声明から「金利が一段と上昇する必要がある」との文言を削除し、「今後は需給バランスの回復とインフレの目標回帰に向け政策金利が一段と上昇する必要があるかどうかを見極める」とした。また、「物価は依然高すぎる」としながらも「物価上昇圧力が失速している可能性」を指摘した。BOCの利上げサイクルが停止する可能性が高まったことや原油安を背景に、加ドルは上値の重い動きが見込まれる。

12月5日週の回顧
為替相場全体に新規の手がかりに乏しく、方向感は限られた。ポンドドルは1.23ドル半ばで上値を抑えられ、1.22ドル台を中心に小幅な上下にとどまった。一方、ポンド円は167円半ばまで上昇し下値の堅い動きとなった。なお、英11月建設業PMIは50.4と3カ月ぶりの低水準となった。
 加ドルは原油安が重し。ドル/加ドルは1.37加ドル近辺まで加ドル安が進み、加ドル円は101円前半で伸び悩んだ。BOCは0.50%の利上げを決定。市場では0.25%を予想する向きもあっただけに、一時加ドル買いの動きが目立った。(了)
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