週間為替展望(ポンド/加ドル)- BOE政策会合に注目

◆ドル高・円安の流れは続くと想定するも、リセッション懸念の加速に注意
◆BOE会合、0.50%利上げが織り込まれ、議事要旨に注目
◆加ドル、底堅い動きも世界景気鈍化懸念を背景としたリスクオフに警戒

予想レンジ
ポンド円 160.00-167.00円
加ドル円 102.50-106.50円

8月1日週の展望
 来週はイングランド銀行(BOE、英中銀)の金融政策会合が注目される。市場はFOMC後のパウエルFRB議長の会見をハト派寄りと捉えたが、インフレ高抑制に強い意志を示しており、日米金融政策の違いを意識した円安の流れが続くと見込まれる。世界景気後退への懸念が一段と加速することには注意が必要も、クロス円は底堅い動きが続く可能性が高いと見ている。

 来週のBOE会合では0.50%利上げが織り込まれている。英6月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.4%と5月から伸びが加速し、6月の上昇率は主要7カ国(G7)のなかで最高となり、BOEはより積極的な利上げを迫られている。ただ、市場予想通りに0.50%の利上げが決定されたとしても、大きなポンド買い材料にはなりにくい。ほかの主要中銀と比べると、積極的な利上げに対して慎重姿勢を示しており、議事要旨の内容に注目が集まっている。

 国際通貨基金(IMF)は世界成長見通しを下方修正し、今後数カ月でリセッションの瀬戸際に追い込まれる可能性があると警告した一方で、金融引き締めで広がる痛みに耐えながら、インフレ抑制のために引き締め継続の必要性を主張している。インフレ高がピークアウトするか、それともインフレ高がこの先も長く続くかどうかは不透明感が強く、今後の関連指標を確認するしか方法がないかも知れない。英産業連盟(CBI)が発表した産業動向調査によると、BOEが高インフレの継続期間を判断する重要な指標とする四半期ごとのインフレ期待は7月に+48と、4月に記録した過去最高の+71から大幅に低下し、インフレなどの問題が緩和されている一時的な兆候も示された。一方で、英求人雇用連盟(REC)の調査によると、4-6月の英企業の雇用・投資決定に対する信頼感指数は-13と2020年4-6月期以来の低水準となり、インフレ加速と労働者不足の影響が示されている。

 加ドルは、カナダ国内の景気回復はほかの主要国に比べて順調であり、カナダ銀行(BOC、加中銀)の強気姿勢も支えに底堅い動きも、新規の買い材料は乏しく、外部要因に左右されやすい相場展開が見込まれる。底堅い動きが続きそうだが、懸念材料としては世界のリセッション警戒感の加速によるリスクオフの円買いと原油安が強まることである。来週は加国内で7月雇用データの発表が予定されている。6月は新規雇用者数が4.32万人減となったが、減少の大部分が高齢者であった。予想に反して雇用減となったにもかかわらず、失業率は過去最低の4.9%となり、賃金上昇が急加速し、BOCによる7月会合での0.75%利上げを後押しする材料となった。

7月25日週の回顧
 今週、注目のFOMCを通過し、全般ドル安が優勢となった。ポンドドルは1.22ドル手前、ドル/加ドルは1.28加ドル割れまでドル安が進んだ。また、クロス円は週前半に買いが先行したものの、4-6月米GDP速報値が前期比年率-0.9%と2四半期連続のマイナス成長となり、リスクオフの円買いが強まったことを受けて、ポンド円は166円前半から162円近辺、加ドル円は106円半ばから103円後半まで失速した。(了)
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