週間為替展望(ポンド/加ドル)-BOC、年末まで3.5%まで利上げか
◆相場全体として、FOMCの結果を受けたドルの動きに注目
◆英6月雇用・物価データは8月会合での0.5%利上げを後押し
◆カナダ中銀(BOC)、年末まで3.5%までの利上げ思惑が強まる
予想レンジ
ポンド円 162.00-168.00円
加ドル円 105.00-109.00円
7月25日週の展望
来週は英国内で主な経済指標の発表や注目のイベントが乏しく、ポンドは米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を受けた米長期金利・ドルの動きや、今週に日銀の金融政策決定会合を通過した円相場の動きに左右されそうだ。
今週発表の英経済指標はおおむねイングランド銀行(BOE、英中銀)が8月会合で0.50%利上げに踏み切る可能性を強める結果となった。生活費が一段と上昇し、6月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.4%と5月の+9.1%から予想以上に伸びが加速し、1982年2月以来の高水準となった。
また、3-5月失業率(ILO方式)は3.8%とほぼ半世紀ぶりの低水準を維持し、就業者数は29.6万人増と昨年半ば以降で最大の増加となった。ボーナスを除く賃金は+4.3%と伸びが小幅に加速したものの、CPIで調整したペースでは2001年以降で最大の低下となった。
ベイリーBOE総裁は今週の講演で、8月会合での0.50%の利上げを行う可能性を示唆した一方で、英経済はすでに減速していると警戒感を示した。8月会合を最後に退任するサンダース英金融政策委員会(MPC)委員は「比較的早期の引き締めが望ましい」と述べ、政策金利が向こう1年で2%を超える可能性があるとの見方を示した。インフレ圧力が高まる兆しが出ているなか、BOEは引き締め加速の選択肢に迫られているが、過度な引き締めは景気後退リスクを高める一方で、物価上昇をもたらしている国際的な要因にはほとんど対処できていない。
なお、ジョンソン首相の後任を決める注目の英与党・保守党の党首選はスナク前財務相とトラス外相の2人に絞り込まれ、今後一般党員の決選投票が行われ9月5日に発表される予定だ。また、保守党の党首選が行われる間、暫定内閣としての現政権の信任投票が下院で行われ、賛成349・反対238で信任された。
加ドルはBOCのインフレ抑制への強気な姿勢を支えに底堅い動きも、原油相場の上昇が一巡し、緩やかな動きが見込まれる。今週発表のカナダ6月CPIは前年比+8.1%と市場予想を下回るも5月の+7.7%から伸びが加速し、約40年ぶりの高い水準となった。BOCが景気判断で重要視するCPIコモンは+4.6%となり、5月から伸びが加速した。
BOCは7月会合で1.00%の大幅利上げを実施し、政策金利を2.50%に引き上げた。市場は9月に0.50%、10月と12月は0.25%の利上げを実施し、政策金利を過去最低だった年初の0.25%から年末には3.5%まで引き上げると見込まれている。来週は5月GDPの結果や、景気後退による需要の減少とロシアのウクライナ侵攻による供給不安で神経質な動きとなっている原油相場の動きに注目。
7月18日週の回顧
FOMCでの1.00%利上げ思惑が後退し、調整のドル売りが先行した。ポンドドルはサンダースMPC委員の発言も支えに一時1.20ドル半ばまで上昇し、ドル/加ドルは1.28加ドル半ばで加ドル高となった。また、リスクオフの円買いが緩み、ポンド円は166円前半まで上昇し、加ドル円は2008年2月以来の高値となる107円半ばまで上昇したが、その後は上値も抑えられた。(了)
◆英6月雇用・物価データは8月会合での0.5%利上げを後押し
◆カナダ中銀(BOC)、年末まで3.5%までの利上げ思惑が強まる
予想レンジ
ポンド円 162.00-168.00円
加ドル円 105.00-109.00円
7月25日週の展望
来週は英国内で主な経済指標の発表や注目のイベントが乏しく、ポンドは米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を受けた米長期金利・ドルの動きや、今週に日銀の金融政策決定会合を通過した円相場の動きに左右されそうだ。
今週発表の英経済指標はおおむねイングランド銀行(BOE、英中銀)が8月会合で0.50%利上げに踏み切る可能性を強める結果となった。生活費が一段と上昇し、6月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.4%と5月の+9.1%から予想以上に伸びが加速し、1982年2月以来の高水準となった。
また、3-5月失業率(ILO方式)は3.8%とほぼ半世紀ぶりの低水準を維持し、就業者数は29.6万人増と昨年半ば以降で最大の増加となった。ボーナスを除く賃金は+4.3%と伸びが小幅に加速したものの、CPIで調整したペースでは2001年以降で最大の低下となった。
ベイリーBOE総裁は今週の講演で、8月会合での0.50%の利上げを行う可能性を示唆した一方で、英経済はすでに減速していると警戒感を示した。8月会合を最後に退任するサンダース英金融政策委員会(MPC)委員は「比較的早期の引き締めが望ましい」と述べ、政策金利が向こう1年で2%を超える可能性があるとの見方を示した。インフレ圧力が高まる兆しが出ているなか、BOEは引き締め加速の選択肢に迫られているが、過度な引き締めは景気後退リスクを高める一方で、物価上昇をもたらしている国際的な要因にはほとんど対処できていない。
なお、ジョンソン首相の後任を決める注目の英与党・保守党の党首選はスナク前財務相とトラス外相の2人に絞り込まれ、今後一般党員の決選投票が行われ9月5日に発表される予定だ。また、保守党の党首選が行われる間、暫定内閣としての現政権の信任投票が下院で行われ、賛成349・反対238で信任された。
加ドルはBOCのインフレ抑制への強気な姿勢を支えに底堅い動きも、原油相場の上昇が一巡し、緩やかな動きが見込まれる。今週発表のカナダ6月CPIは前年比+8.1%と市場予想を下回るも5月の+7.7%から伸びが加速し、約40年ぶりの高い水準となった。BOCが景気判断で重要視するCPIコモンは+4.6%となり、5月から伸びが加速した。
BOCは7月会合で1.00%の大幅利上げを実施し、政策金利を2.50%に引き上げた。市場は9月に0.50%、10月と12月は0.25%の利上げを実施し、政策金利を過去最低だった年初の0.25%から年末には3.5%まで引き上げると見込まれている。来週は5月GDPの結果や、景気後退による需要の減少とロシアのウクライナ侵攻による供給不安で神経質な動きとなっている原油相場の動きに注目。
7月18日週の回顧
FOMCでの1.00%利上げ思惑が後退し、調整のドル売りが先行した。ポンドドルはサンダースMPC委員の発言も支えに一時1.20ドル半ばまで上昇し、ドル/加ドルは1.28加ドル半ばで加ドル高となった。また、リスクオフの円買いが緩み、ポンド円は166円前半まで上昇し、加ドル円は2008年2月以来の高値となる107円半ばまで上昇したが、その後は上値も抑えられた。(了)