週間為替展望(ポンド/加ドル)-BOC政策会合、利上げ幅に注目
◆ポンド、底堅い展開か、英スタグフレーションは織り込み済み
◆ワールドカップの結果にも注意
◆カナダ中銀(BOC)、利上げ幅に注目
予想レンジ
ポンド円 162.00-170.00円
加ドル円 99.00-104.00円
12月5日週の展望
来週、英国内での経済指標は11月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値や同建設業PMIが発表される程度で、新規材料としては乏しい。英スタグフレーションがポンドの重しとなるが、すでに織り込んでいる部分が大きく、米利上げペース鈍化観測を背景にドルの重い動きが見込まれるなか、ポンドは底堅い動きが予想される。ただ、対円ではドル円が一段と調整を強いられる可能性があり、下方向に警戒が必要だ。
イングランド銀行(BOE)は12月中旬に今年最後の政策会合を控えているが、難しい舵取りを強いられる。11月会合では市場が過度に利上げを織り込みすぎないようけん制したが、10月消費者物価指数(CPI)は前年比11.1%と市場予想を上回り、41年ぶりの高水準とインフレ率の目標達成を目指すBOEに利上げ圧力を強める結果となった。小幅な利上げでは目標の2%達成に向けて厳しい状況が増している。マイナス成長のなかで利上げを断行していかなければならず、インフレと成長の両方を睨みつつ難しい判断に迫られている。政策金利は12月会合で0.50%引き上げる公算が大きく、最終的には4.5%まで引き上げられる可能性がある。
また、サッカーのワールドカップが11月20日に開幕し、18日まで開催される。通常は夏に開催されるワールドカップが今回はクリスマス直前と重なる。クリスマス商戦とワールドカップで見込める合計の消費額は、それぞれのイベントが別々の時期の場合よりも少なくなる公算が大きい。インフレ高で国民の生活が苦しく、財布のひもが固くなっているなかで、英国は熱血なサッカーファンが多く、ワールドカップの盛り上がりには期待感が高まっている。決勝トーナメント進出を決めたイングランドの成績も相場に影響する可能性もあるだろう。
加ドルは7日のカナダ中銀(BOC)の政策会合に注目。短期金融市場では0.25%利上げが織り込まれており、BOCが通常の利上げペースに戻るとの見方が強い。カナダの10年国債利回りは10月の3.6%台をピークに足もとでは3.0%割れまで低下している。マックレムBOC総裁は、「引き締め局面は終わりに近づいているが、まだそこに到達しておらず、インフレに対応するため追加の大幅利上げも排除しない」考えを示しており、利上げ幅と声明内容に注目したい。また、4日の石油輸出国機構(OPEC)プラス会合を受けた原油相場の動きにも警戒が必要だ。
11月28日週の回顧
中国リスクを警戒しドル買いが先行するも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「12月にも利上げペースを緩める可能性」に言及したことを受けてドル売りが優勢となり、ポンドドルは1.19ドル付近まで下押し後1.23ドル近辺まで反発した。ベイリーBOE総裁は、インフレ見通しは大幅に上振れリスクがあると指摘した。ドル/加ドルは1.36加ドル半ばまで加ドル売りが先行したが、FRB議長の発言を受けたドル安で1.34加ドル割れまで加ドルが買い戻された。ドル円の下落が重しとなり、ポンド円は164円半ば、加ドル円は100円半ばまで売りに押された。(了)
◆ワールドカップの結果にも注意
◆カナダ中銀(BOC)、利上げ幅に注目
予想レンジ
ポンド円 162.00-170.00円
加ドル円 99.00-104.00円
12月5日週の展望
来週、英国内での経済指標は11月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値や同建設業PMIが発表される程度で、新規材料としては乏しい。英スタグフレーションがポンドの重しとなるが、すでに織り込んでいる部分が大きく、米利上げペース鈍化観測を背景にドルの重い動きが見込まれるなか、ポンドは底堅い動きが予想される。ただ、対円ではドル円が一段と調整を強いられる可能性があり、下方向に警戒が必要だ。
イングランド銀行(BOE)は12月中旬に今年最後の政策会合を控えているが、難しい舵取りを強いられる。11月会合では市場が過度に利上げを織り込みすぎないようけん制したが、10月消費者物価指数(CPI)は前年比11.1%と市場予想を上回り、41年ぶりの高水準とインフレ率の目標達成を目指すBOEに利上げ圧力を強める結果となった。小幅な利上げでは目標の2%達成に向けて厳しい状況が増している。マイナス成長のなかで利上げを断行していかなければならず、インフレと成長の両方を睨みつつ難しい判断に迫られている。政策金利は12月会合で0.50%引き上げる公算が大きく、最終的には4.5%まで引き上げられる可能性がある。
また、サッカーのワールドカップが11月20日に開幕し、18日まで開催される。通常は夏に開催されるワールドカップが今回はクリスマス直前と重なる。クリスマス商戦とワールドカップで見込める合計の消費額は、それぞれのイベントが別々の時期の場合よりも少なくなる公算が大きい。インフレ高で国民の生活が苦しく、財布のひもが固くなっているなかで、英国は熱血なサッカーファンが多く、ワールドカップの盛り上がりには期待感が高まっている。決勝トーナメント進出を決めたイングランドの成績も相場に影響する可能性もあるだろう。
加ドルは7日のカナダ中銀(BOC)の政策会合に注目。短期金融市場では0.25%利上げが織り込まれており、BOCが通常の利上げペースに戻るとの見方が強い。カナダの10年国債利回りは10月の3.6%台をピークに足もとでは3.0%割れまで低下している。マックレムBOC総裁は、「引き締め局面は終わりに近づいているが、まだそこに到達しておらず、インフレに対応するため追加の大幅利上げも排除しない」考えを示しており、利上げ幅と声明内容に注目したい。また、4日の石油輸出国機構(OPEC)プラス会合を受けた原油相場の動きにも警戒が必要だ。
11月28日週の回顧
中国リスクを警戒しドル買いが先行するも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が「12月にも利上げペースを緩める可能性」に言及したことを受けてドル売りが優勢となり、ポンドドルは1.19ドル付近まで下押し後1.23ドル近辺まで反発した。ベイリーBOE総裁は、インフレ見通しは大幅に上振れリスクがあると指摘した。ドル/加ドルは1.36加ドル半ばまで加ドル売りが先行したが、FRB議長の発言を受けたドル安で1.34加ドル割れまで加ドルが買い戻された。ドル円の下落が重しとなり、ポンド円は164円半ば、加ドル円は100円半ばまで売りに押された。(了)