週間為替展望(ポンド/加ドル)-BOC、利上げ幅縮小の見通し変わらず
◆ポンド、英国長期債の動向に注目
◆ポンド、金融政策へのコンセンサス定まるまでは不安定か
◆加ドル、BOC利上げ幅縮小の見通しは変わらず
予想レンジ
ポンド円 163.00-170.00円
加ドル円 103.00-108.00円
11月21日週の展望
ポンドは英国長期債の動向に注目。トラス前政権が9月に金融市場を混乱に陥れた時ほどではないが、ポンドドルと英長期債価格の相関関係は高いままだ(利回りとは逆相関)。16日には、翌日公表の中期財政計画への期待感もあり英10年国債の価格は上昇し(利回りは約2カ月ぶりの水準まで低下)、ポンドドルが終値としては約3カ月ぶりの高値圏を記録。ただ、ハント英財務相による財政再建計画の発表後は英債券が売り戻されるとポンドも上値を切り下げている。ただし、対円ではドル円の影響も受けやすくなっており、対ドルのように素直ではないことに注意が必要だろう。なお、財政計画では年換算で550億ポンド規模の収支改善策が盛り込まれた。
また、英金融政策への不透明感の強まりはポンドを買いづらくさせる要因となっている。10月英消費者物価指数(CPI)は前年比伸び率が11.1%と予想比上振れし、約41年ぶりの高さを記録した。英国立統計局(ONS)によると、政府による家計の光熱費負担がなければCPIは13.8%前後まで達していたという。ベイリー英中銀(BOE)総裁は金融政策を発表した3日に「利上げ到達点の低下」を示唆したが、現状のままでは小幅な利上げだけでインフレ率を目標の2%まで押し下げることは難しいという見方が広がりつつあるのも確か。ただ、一方でコアインフレ率に軟化の兆しが見えているとの指摘もある。次回の金融政策委員会(MPC)まで約4週間。コンセンサスが定まるまではポンドは不安定な動きが続くかもしれない。
加ドルは上値の重い展開か。16日発表の10月加CPIは予想通り前年比6.9%上昇。前回9月からは横ばいとなった。カナダ中銀(BOC)が景気判断で重要視するCPIコモンは6.2%と、上方修正された前回値と変わらなかったものの、全体的には6月をトップとした鈍化基調は続いていると市場は受け止めているもよう。強い10月加雇用統計を受けて一部で浮上した「再度の0.5%利上げ予想」は後退し、次回会合での利上げ幅は0.25%に縮小されるとの見方が優勢になっている。加長期債利回りも低下基調であり、日銀の超金融緩和は継続されるものの、金利差拡大を狙った加ドル買い円売りの勢いは暫く強まり難いか。なお経済指標では9月加小売売上高が発表予定。
11月14日週の回顧
ポンドは買いが先行。スナク英首相が財政規律の順守を表明するなか、週後半に発表される中期財政計画への期待感から英長期債価格が上昇(金利は低下)し支えとなった。対円ではドル円が下げ渋った影響も受け、対ドルでは米インフレ鈍化傾向の強まりも押し上げ要因に。財政計画発表後は材料出尽くし感から上値を切り下げるも底堅さは継続された。
加ドルは対円では前週の大幅安の反動で下げ渋った。下値を切り上げたドル円につれた面もあった。対ドルでは米長期金利に振らされる展開に。想定より鈍化した米10月卸売物価指数(PPI)を受けて米金利が低下すると加ドル高に振れた。週後半にブラード米セントルイス連銀総裁のタカ派発言を受けて米金利が水準を上げると加ドルも売り戻された。(了)
(小針)
◆ポンド、金融政策へのコンセンサス定まるまでは不安定か
◆加ドル、BOC利上げ幅縮小の見通しは変わらず
予想レンジ
ポンド円 163.00-170.00円
加ドル円 103.00-108.00円
11月21日週の展望
ポンドは英国長期債の動向に注目。トラス前政権が9月に金融市場を混乱に陥れた時ほどではないが、ポンドドルと英長期債価格の相関関係は高いままだ(利回りとは逆相関)。16日には、翌日公表の中期財政計画への期待感もあり英10年国債の価格は上昇し(利回りは約2カ月ぶりの水準まで低下)、ポンドドルが終値としては約3カ月ぶりの高値圏を記録。ただ、ハント英財務相による財政再建計画の発表後は英債券が売り戻されるとポンドも上値を切り下げている。ただし、対円ではドル円の影響も受けやすくなっており、対ドルのように素直ではないことに注意が必要だろう。なお、財政計画では年換算で550億ポンド規模の収支改善策が盛り込まれた。
また、英金融政策への不透明感の強まりはポンドを買いづらくさせる要因となっている。10月英消費者物価指数(CPI)は前年比伸び率が11.1%と予想比上振れし、約41年ぶりの高さを記録した。英国立統計局(ONS)によると、政府による家計の光熱費負担がなければCPIは13.8%前後まで達していたという。ベイリー英中銀(BOE)総裁は金融政策を発表した3日に「利上げ到達点の低下」を示唆したが、現状のままでは小幅な利上げだけでインフレ率を目標の2%まで押し下げることは難しいという見方が広がりつつあるのも確か。ただ、一方でコアインフレ率に軟化の兆しが見えているとの指摘もある。次回の金融政策委員会(MPC)まで約4週間。コンセンサスが定まるまではポンドは不安定な動きが続くかもしれない。
加ドルは上値の重い展開か。16日発表の10月加CPIは予想通り前年比6.9%上昇。前回9月からは横ばいとなった。カナダ中銀(BOC)が景気判断で重要視するCPIコモンは6.2%と、上方修正された前回値と変わらなかったものの、全体的には6月をトップとした鈍化基調は続いていると市場は受け止めているもよう。強い10月加雇用統計を受けて一部で浮上した「再度の0.5%利上げ予想」は後退し、次回会合での利上げ幅は0.25%に縮小されるとの見方が優勢になっている。加長期債利回りも低下基調であり、日銀の超金融緩和は継続されるものの、金利差拡大を狙った加ドル買い円売りの勢いは暫く強まり難いか。なお経済指標では9月加小売売上高が発表予定。
11月14日週の回顧
ポンドは買いが先行。スナク英首相が財政規律の順守を表明するなか、週後半に発表される中期財政計画への期待感から英長期債価格が上昇(金利は低下)し支えとなった。対円ではドル円が下げ渋った影響も受け、対ドルでは米インフレ鈍化傾向の強まりも押し上げ要因に。財政計画発表後は材料出尽くし感から上値を切り下げるも底堅さは継続された。
加ドルは対円では前週の大幅安の反動で下げ渋った。下値を切り上げたドル円につれた面もあった。対ドルでは米長期金利に振らされる展開に。想定より鈍化した米10月卸売物価指数(PPI)を受けて米金利が低下すると加ドル高に振れた。週後半にブラード米セントルイス連銀総裁のタカ派発言を受けて米金利が水準を上げると加ドルも売り戻された。(了)
(小針)