週間為替展望(ポンド/加ドル)-BOC、0.75%の利上げ予想
◆ポンド、英経済先行きへの懸念が強く、重い動きが続くか
◆ポンドへの影響は限定と見るも、英保守党党首選の結果に留意
◆BOC、0.75%の利上げ予想、声明にも注目
予想レンジ
ポンド円 159.50-164.50円
加ドル円 104.50-108.50円
9月5日週の展望
今月の14-15日にイングランド銀行(BOE、英中銀)の金融政策会合を控えているが、来週は英国内でそれ程注目の経済指標の発表は予定されていない。5日のジョンソン英首相の後任を決める与党保守党の党首選が大きなイベントとなるが、結果がポンド相場の動意につながる可能性は低い。全般ドル高の流れが続くなか、英経済への強い警戒感を背景にポンドは上値の重い動きが続きそうだ。英保守党党首選はトラス外相がスナク前財務相を大きくリードしたまま終盤を迎えている。トラス氏は付加価値税(VAT)を一律5%減税する案を検討していると報じられており、党首決定後の発言に注目したい。
また、BOEは9月会合で0.50%の利上げが見込まれているが、この利上げ期待がポンドのサポートにはなりにくい。インフレ高がBOEの予想以上に急速に進んでおり、国民は家計を圧迫する生活費危機に直面し、企業は今後の見通しにかなり悲観的になっている。企業全般の楽観度はコロナ被害が深刻だった2020年5月以来最も弱まっている。米ゴールドマン・サックスは英国のガス料金が下がらない場合、インフレ率が来年初めに20%を超える可能性があると警告している。BOEは経済への悪影響を配慮し、より積極的な引き締めには慎重姿勢を示しているが、インフレがさらに更新する可能性が高まっており、引き締めを加速せざるを得ないかも知れない。高騰するインフレが実質所得を予想以上に浸食し、消費主導の景気後退の可能性がさらに高まっている。
加ドルは7日に予定されているカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合に注目。BOCは7月会合で1.00%の大幅利上げに踏み切ったが、市場では来週の会合でも0.75%の追加利上げを行い、政策金利を3.25%にするとの見方が強い。カナダの第2四半期GDPは前期比+3.3%とBOCや市場予想を下回る結果となり、7月の消費者物価指数(CPI)は前年比+7.6%と伸びが6月の+8.1%からやや鈍化したが、BOCが景気判断で重要視するCPIコモンは+5.5%と過去最大の伸びとなった。BOCの目標は何よりもインフレ抑制であり、今後数カ月間は経済が物価上昇圧力に直面する可能性が高いなか、成長率が予想を少し下回ったとしても、9月会合では大幅の追加利上げを実施する可能性が高い。ただ、経済の軟化が想定より早まっている。市場は声明でインフレや経済の先行きに対する見解を確認し、今後の引き締め方針を見極めることになりそうだ。
8月29日週の回顧
米金融引き締めの長期化観測を背景に、全般ドル買いが優勢となった。英国の物価上昇と景気減速が併存するスタグフレーションへの警戒感が強いこともポンドの重しとなり、ポンドドルは一時2020年3月以来の安値水準となる1.1500ドル付近まで下落した。ドル/加ドルは1.32加ドル前半までドル高・加ドル安となった。世界のリセッション懸念が根強く、株式市場は全般軟調な動きとなったが、リスクオフの円買いは強まらず、ポンド円は161円円台、加ドル円は106円台を中心に上下し、方向感は限られた。(了)
◆ポンドへの影響は限定と見るも、英保守党党首選の結果に留意
◆BOC、0.75%の利上げ予想、声明にも注目
予想レンジ
ポンド円 159.50-164.50円
加ドル円 104.50-108.50円
9月5日週の展望
今月の14-15日にイングランド銀行(BOE、英中銀)の金融政策会合を控えているが、来週は英国内でそれ程注目の経済指標の発表は予定されていない。5日のジョンソン英首相の後任を決める与党保守党の党首選が大きなイベントとなるが、結果がポンド相場の動意につながる可能性は低い。全般ドル高の流れが続くなか、英経済への強い警戒感を背景にポンドは上値の重い動きが続きそうだ。英保守党党首選はトラス外相がスナク前財務相を大きくリードしたまま終盤を迎えている。トラス氏は付加価値税(VAT)を一律5%減税する案を検討していると報じられており、党首決定後の発言に注目したい。
また、BOEは9月会合で0.50%の利上げが見込まれているが、この利上げ期待がポンドのサポートにはなりにくい。インフレ高がBOEの予想以上に急速に進んでおり、国民は家計を圧迫する生活費危機に直面し、企業は今後の見通しにかなり悲観的になっている。企業全般の楽観度はコロナ被害が深刻だった2020年5月以来最も弱まっている。米ゴールドマン・サックスは英国のガス料金が下がらない場合、インフレ率が来年初めに20%を超える可能性があると警告している。BOEは経済への悪影響を配慮し、より積極的な引き締めには慎重姿勢を示しているが、インフレがさらに更新する可能性が高まっており、引き締めを加速せざるを得ないかも知れない。高騰するインフレが実質所得を予想以上に浸食し、消費主導の景気後退の可能性がさらに高まっている。
加ドルは7日に予定されているカナダ中銀(BOC)の金融政策決定会合に注目。BOCは7月会合で1.00%の大幅利上げに踏み切ったが、市場では来週の会合でも0.75%の追加利上げを行い、政策金利を3.25%にするとの見方が強い。カナダの第2四半期GDPは前期比+3.3%とBOCや市場予想を下回る結果となり、7月の消費者物価指数(CPI)は前年比+7.6%と伸びが6月の+8.1%からやや鈍化したが、BOCが景気判断で重要視するCPIコモンは+5.5%と過去最大の伸びとなった。BOCの目標は何よりもインフレ抑制であり、今後数カ月間は経済が物価上昇圧力に直面する可能性が高いなか、成長率が予想を少し下回ったとしても、9月会合では大幅の追加利上げを実施する可能性が高い。ただ、経済の軟化が想定より早まっている。市場は声明でインフレや経済の先行きに対する見解を確認し、今後の引き締め方針を見極めることになりそうだ。
8月29日週の回顧
米金融引き締めの長期化観測を背景に、全般ドル買いが優勢となった。英国の物価上昇と景気減速が併存するスタグフレーションへの警戒感が強いこともポンドの重しとなり、ポンドドルは一時2020年3月以来の安値水準となる1.1500ドル付近まで下落した。ドル/加ドルは1.32加ドル前半までドル高・加ドル安となった。世界のリセッション懸念が根強く、株式市場は全般軟調な動きとなったが、リスクオフの円買いは強まらず、ポンド円は161円円台、加ドル円は106円台を中心に上下し、方向感は限られた。(了)