週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、英保守党党首選の行方に注目
◆英中銀、1年超のリセッション入りを警告
◆ポンド、ジョンソン英首相の後任を決める保守党の党首選の行方に注目
◆加ドル、原油の一段安に警戒
予想レンジ
ポンド円 160.00-166.00円
加ドル円 102.00-106.00円
8月8日週の展望
イングランド銀行(BOE、英中銀)の金融政策イベントを通過し、今後は英経済指標を睨みながら景気とインフレの先行きを見極める展開となる。また、英与党・保守党の党首選の行方が徐々にポンド相場に影響を与える可能性もある。
来週は英国内で4-6月期GDP、6月GDPや6月鉱工業生産・製造業生産指数などの発表が予定されている。英経済の鈍化懸念は根強く、ポンドは上値の重い動きが続きそうだ。
今週のBOE金融政策会合では0.50%の利上げを決定した。中銀政策委員9人中8人が0.50%利上げを支持した一方で、テンレイロ委員が0.25%の利上げを主張し、保有国債の売却を次回9月の会合後に開始するとの方針が示された。BOEはインフレ抑制のために力強く行動する方針を改めて示した一方で、インフレ加速の重圧により英経済が1年超のリセッションに向かいつつあると警告した。
また、ジョンソン英首相の後任を決める保守党の党首選で、決選投票に残ったトラス外相とスナク前財務相が選挙活動を本格化させている。党員対象の世論調査では、党員の人気が高いウォレス国防相や党首選で善戦したモーダント前国防相らの支持を得たトラス氏が優勢だが、スナク氏は物価高騰対策で支持確保に動いている。トラス氏は中国や欧州連合(EU)、ロシアに対して強硬派である。2人とも減税を約束しているが、減税はインフレの加速とポンド安のリスクを高めるとの見方も少なくない。
加ドルについては、来週、加国内では主な経済指標や注目のイベントは予定されておらず、引き続きリスクセンチメントの変化や原油相場の動きに左右されやすい。米国の景気鈍化懸念が強まるなか、結びつきの強い加経済の下押しリスクも意識されており、加ドルは底堅いも伸び悩む展開が続きそうだ。
FRBが9月以降に利上げペースを緩和するとの思惑が強まっているが、カナダ中銀(BOC)も9月会合から引き締めペースを一段と加速させる可能性は低い。足もとでカナダの10年債利回りは2%台後半に水準を切り下げ、米加金利差で優位性はない。
また、原油相場がロシアのウクライナ侵攻前の2月中旬以来の水準まで低下しており、加ドルの重しとなっている。足もとの原油価格の調整は一時的との見方が強いものの、世界的な景気減速への懸念が一段と加速すれば、原油の需要が減退するとの見方から原油の一段安に伴い加ドルにも売り圧力が強まる可能性がある。
8月1日週の回顧
ペロシ米下院議長の訪台をめぐり、米中の緊張感の高まりへの懸念でリスクオフの円買いが先行した。ただ、ペロシ氏が台湾に到着した後、市場が警戒したほどの中国の過激な報復行動は見られなかったことから円高は巻き戻された。BOEがリセッション懸念を強めたことを受けてポンドドルは1.20ドル後半まで弱含んだ。ポンド円は159円半ばから164円手前まで切り返したが、BOE金融政策決定会合後のポンド売りで失速した。加ドルは原油安が上値を圧迫。
ドル/加ドルは1.28加ドル台で加ドルが伸び悩み、加ドル円は101円半ばまで下押し後104円後半まで切り返したが、原油安で再び売りに押された。(了)
◆ポンド、ジョンソン英首相の後任を決める保守党の党首選の行方に注目
◆加ドル、原油の一段安に警戒
予想レンジ
ポンド円 160.00-166.00円
加ドル円 102.00-106.00円
8月8日週の展望
イングランド銀行(BOE、英中銀)の金融政策イベントを通過し、今後は英経済指標を睨みながら景気とインフレの先行きを見極める展開となる。また、英与党・保守党の党首選の行方が徐々にポンド相場に影響を与える可能性もある。
来週は英国内で4-6月期GDP、6月GDPや6月鉱工業生産・製造業生産指数などの発表が予定されている。英経済の鈍化懸念は根強く、ポンドは上値の重い動きが続きそうだ。
今週のBOE金融政策会合では0.50%の利上げを決定した。中銀政策委員9人中8人が0.50%利上げを支持した一方で、テンレイロ委員が0.25%の利上げを主張し、保有国債の売却を次回9月の会合後に開始するとの方針が示された。BOEはインフレ抑制のために力強く行動する方針を改めて示した一方で、インフレ加速の重圧により英経済が1年超のリセッションに向かいつつあると警告した。
また、ジョンソン英首相の後任を決める保守党の党首選で、決選投票に残ったトラス外相とスナク前財務相が選挙活動を本格化させている。党員対象の世論調査では、党員の人気が高いウォレス国防相や党首選で善戦したモーダント前国防相らの支持を得たトラス氏が優勢だが、スナク氏は物価高騰対策で支持確保に動いている。トラス氏は中国や欧州連合(EU)、ロシアに対して強硬派である。2人とも減税を約束しているが、減税はインフレの加速とポンド安のリスクを高めるとの見方も少なくない。
加ドルについては、来週、加国内では主な経済指標や注目のイベントは予定されておらず、引き続きリスクセンチメントの変化や原油相場の動きに左右されやすい。米国の景気鈍化懸念が強まるなか、結びつきの強い加経済の下押しリスクも意識されており、加ドルは底堅いも伸び悩む展開が続きそうだ。
FRBが9月以降に利上げペースを緩和するとの思惑が強まっているが、カナダ中銀(BOC)も9月会合から引き締めペースを一段と加速させる可能性は低い。足もとでカナダの10年債利回りは2%台後半に水準を切り下げ、米加金利差で優位性はない。
また、原油相場がロシアのウクライナ侵攻前の2月中旬以来の水準まで低下しており、加ドルの重しとなっている。足もとの原油価格の調整は一時的との見方が強いものの、世界的な景気減速への懸念が一段と加速すれば、原油の需要が減退するとの見方から原油の一段安に伴い加ドルにも売り圧力が強まる可能性がある。
8月1日週の回顧
ペロシ米下院議長の訪台をめぐり、米中の緊張感の高まりへの懸念でリスクオフの円買いが先行した。ただ、ペロシ氏が台湾に到着した後、市場が警戒したほどの中国の過激な報復行動は見られなかったことから円高は巻き戻された。BOEがリセッション懸念を強めたことを受けてポンドドルは1.20ドル後半まで弱含んだ。ポンド円は159円半ばから164円手前まで切り返したが、BOE金融政策決定会合後のポンド売りで失速した。加ドルは原油安が上値を圧迫。
ドル/加ドルは1.28加ドル台で加ドルが伸び悩み、加ドル円は101円半ばまで下押し後104円後半まで切り返したが、原油安で再び売りに押された。(了)