週間為替展望(ドル/ユーロ)-米7月消費者物価指数に注目
◆ドル円、米7月消費者物価指数と8月ミシガン大学消費者態度指数に注目
◆8月の米国債償還・利払いに伴う円買い需要や台湾情勢の地政学リスクにも注意
◆ユーロドル、ユーロ圏6月鉱工業生産に注目
予想レンジ
ドル円 131.00-136.00円
ユーロドル 0.9900-1.0400ドル
8月8日週の展望
ドル円は、パウエルFRB議長が9月の第5次利上げ幅に関して「利上げのペースはデータ次第」と述べたことで、7月の消費者物価指数(CPI)や8月ミシガン大学消費者態度指数での期待インフレ率を見極めることになる。
米7月のCPIは、前年比8.8%と予想されている。6月の9.1%からの低下が見込まれており、予想通りならば「インフレピーク説」が台頭することになりそうだ。逆に大幅に上昇していた場合、9月20-21日のFOMCでの大幅な追加利上げ観測が高まることで、ドル円の買い要因となる。
また、ミシガン大消費者態度指数で、1年先の期待インフレ率の著しい上昇が確認された場合は、9月まで待つことなく、8月中にも臨時のFOMCが開催されて緊急利上げの可能性が高まることにも注意したい。一方、CPIが低下していた場合は、当然ながら上値が重い展開が予想される。
ところで、ペロシ米下院議長の台湾訪問は、バイデン米政権の劣勢が伝えられる11月の米中間選挙を睨んだ政治的なパフォーマンスとの見方も出ている。習中国国家主席は、秋の第20回共産党大会を控えて、バイデン米大統領との会談で「火遊びをすれば自分も燃える」と警告している。実際、ペロシ議長の訪台により、政治的メンツを潰されたことになった。戦狼外交の失敗を挽回すべく、第4次台湾海峡危機の可能性には警戒しなければならないだろう。
また、ロシア政府は3日、ロシア・サハリン沖の液化天然ガス開発事業「サハリン2」の事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立することを決定した。日本は今後、ロシア側の求める条件に応じるかどうかの対応を迫られることになる。日本の平均LNG輸入価格は長期契約なので、10~20ドルだが、輸入量の9%を占める「サハリン2」から締め出された場合、スポット価格の40~50ドルで購入せざるを得なくなり、エネルギー危機が勃発する可能性が高まることになる。さらに、15日の米国債償還・利払いに向けた本邦機関投資家の円買い圧力にも注意しておきたい。
ユーロドルは、ユーロ圏のインフレ高進と景気減速によるスタグフレーションへの警戒感が高まる中、ユーロ圏6月鉱工業生産に注目する展開となる。また、ロシアが欧州連合(EU)による経済制裁第7弾への報復措置として天然ガスの供給を削減し、エネルギー危機の可能性が高まっているほか、イタリアの政局の不透明感なども、ユーロの上値を抑える要因となりそうだ。
8月1日週の回顧
ドル円は、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けた極東の地政学リスク回避の円買いで130.41円まで下落した後、米7月雇用統計で失業率が3.5%、非農業部門雇用者数が前月比+52.8万人だったことで134.85円まで反発した。しかし、中国が発射したミサイルが日本のEEZ内に落下したことを受けて、上値は限定的だった。ユーロドルは、6月のユーロ圏小売売上高が悪化し、スタグフレーションへの警戒感が高まったことで、1.0294ドルから1.0123ドルまで下落。しかし、再び1.02ドル台に戻すなど方向感がなかった。ユーロ円は133.40円から137.03円まで上昇した。(了)
◆8月の米国債償還・利払いに伴う円買い需要や台湾情勢の地政学リスクにも注意
◆ユーロドル、ユーロ圏6月鉱工業生産に注目
予想レンジ
ドル円 131.00-136.00円
ユーロドル 0.9900-1.0400ドル
8月8日週の展望
ドル円は、パウエルFRB議長が9月の第5次利上げ幅に関して「利上げのペースはデータ次第」と述べたことで、7月の消費者物価指数(CPI)や8月ミシガン大学消費者態度指数での期待インフレ率を見極めることになる。
米7月のCPIは、前年比8.8%と予想されている。6月の9.1%からの低下が見込まれており、予想通りならば「インフレピーク説」が台頭することになりそうだ。逆に大幅に上昇していた場合、9月20-21日のFOMCでの大幅な追加利上げ観測が高まることで、ドル円の買い要因となる。
また、ミシガン大消費者態度指数で、1年先の期待インフレ率の著しい上昇が確認された場合は、9月まで待つことなく、8月中にも臨時のFOMCが開催されて緊急利上げの可能性が高まることにも注意したい。一方、CPIが低下していた場合は、当然ながら上値が重い展開が予想される。
ところで、ペロシ米下院議長の台湾訪問は、バイデン米政権の劣勢が伝えられる11月の米中間選挙を睨んだ政治的なパフォーマンスとの見方も出ている。習中国国家主席は、秋の第20回共産党大会を控えて、バイデン米大統領との会談で「火遊びをすれば自分も燃える」と警告している。実際、ペロシ議長の訪台により、政治的メンツを潰されたことになった。戦狼外交の失敗を挽回すべく、第4次台湾海峡危機の可能性には警戒しなければならないだろう。
また、ロシア政府は3日、ロシア・サハリン沖の液化天然ガス開発事業「サハリン2」の事業を引き継ぐ新たなロシア企業を設立することを決定した。日本は今後、ロシア側の求める条件に応じるかどうかの対応を迫られることになる。日本の平均LNG輸入価格は長期契約なので、10~20ドルだが、輸入量の9%を占める「サハリン2」から締め出された場合、スポット価格の40~50ドルで購入せざるを得なくなり、エネルギー危機が勃発する可能性が高まることになる。さらに、15日の米国債償還・利払いに向けた本邦機関投資家の円買い圧力にも注意しておきたい。
ユーロドルは、ユーロ圏のインフレ高進と景気減速によるスタグフレーションへの警戒感が高まる中、ユーロ圏6月鉱工業生産に注目する展開となる。また、ロシアが欧州連合(EU)による経済制裁第7弾への報復措置として天然ガスの供給を削減し、エネルギー危機の可能性が高まっているほか、イタリアの政局の不透明感なども、ユーロの上値を抑える要因となりそうだ。
8月1日週の回顧
ドル円は、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けた極東の地政学リスク回避の円買いで130.41円まで下落した後、米7月雇用統計で失業率が3.5%、非農業部門雇用者数が前月比+52.8万人だったことで134.85円まで反発した。しかし、中国が発射したミサイルが日本のEEZ内に落下したことを受けて、上値は限定的だった。ユーロドルは、6月のユーロ圏小売売上高が悪化し、スタグフレーションへの警戒感が高まったことで、1.0294ドルから1.0123ドルまで下落。しかし、再び1.02ドル台に戻すなど方向感がなかった。ユーロ円は133.40円から137.03円まで上昇した。(了)